29 / 54
第29話 第二部スタート前 王都にて
しおりを挟むしかし、マリンは等身がかなり可笑しい。
体型は胸とお尻が大きなグラビア体型。
秋葉系残念グラビア…DVDが5枚位出して引退…そんな感じだが。
手足が無かったのをそのまま復元したからか…八頭身なのに小さい。
7/10とか8/10フィギュアとかが近いのかも知れない。
パチンコ屋に立っている等身大フィギュアって等身大なのに何故か130cmだったりするじゃん…あんな感じだ。
その為、この先、服や下着のサイズに困るような気がする。
黒薔薇や黒牡丹以上に…人形みたいだ。
身長を計ってみたら135cm…175cmのグラビア女性をそのままの等身大で小さくした感じだから…完全にフィギュア…生きている人形みたいだ。
まぁ良いや。
「こんな…こんな醜い姿なんて…私は私は…」
マリンは相も変わらず…自分は醜いとワナワナしている。
俺達はもう、そのまま街中を歩いている。
黒薔薇も黒牡丹も一緒に京子は擬態もほぼ外してだ。
「黒薔薇、黒牡丹にお京、ついでにマリンも欲しい物があったら、自由にして良いんだよ」
「化け物だ…」
「何故騎士団が来ないんだぁぁぁぁーーーー」
「衛兵、衛兵を呼べーーーっ」
幾ら呼んでも無駄だな…城の主力は全滅。
街には居るかも知れないが…たかが知れているだろう。
「いま、私の事化け物って言った? 言ったよね? なんでそんな事をうわ、うわうわぁぁぁぁぁーーー」
泣き喚いたマリンが『化け物』と叫んだ男の頭を掴んで潰した。
多分、俺が作ったせいか、力が尋常じゃ無くトマトを握りつぶしたように頭が爆ぜた。
「うわぁぁぁぁん、私は化け物…私は化け物…そう…人間は全部敵…人間が人間が憎い…美しい人間が憎い…」
「ひっ…化け物…」
「今化け物って言ったよね?」
マリンは女の方を向くと、素早く動き、その女の頭を掴んだ。
そして、その女の顔を地面に擦りつけるとまるで大根おろしの様に顔を押し付け、おろし始めた。
グシャぐちゃぐしゃ。
「きゃぁぁぁぁぁーーたす、たふけてーーーっ」
「うふふふっ、私の様に醜くなれば化け物なんて呼ばないよね?」
グシャぐちゃぐしゃっ。
「…たふけて…」
俺が作ったからなのか、体は普通の人間より二回り以上小さいのに、なかなか強いな。
地面に鼻やら目やらがこびりついている。
「うふふふふっ、今の貴方の方が醜いわぁぁぁーーー」
「…」
相手はもう死んでいるのに笑いながら顔を地面に押し付け摺り下ろしている姿には王女の面影は無いな。
「あれはもう王女じゃないですわね…もう完全にこちら側の者ですわ」
「なかなか…凄い」
「あははははっマリンちゃんももう立派な化け物だ」
「はぁ~あのな…俺には皆は、美女、美少女…三人には及ばないけどマリンも可愛い。だから、余り化け物って言葉は使わないで欲しい。俺にとっては『人間』が化け物なんだからな」
「そうでしたわ…ごめんなさいですわ」
「ごめん」
「そうだね…悪かったよ」
「まぁ良いや。マリン俺達はその辺のお店に居るから、気が済んだら追いかけて来いよ」
「うふふふっ死ね、死ね死んじゃえーーーっ」
「嫌ぁぁぁぁお母さん助けてぇぇぇぇぇーー」
次は子供にターゲットに移して、同じように顔をおろしている。
辺り一面に鼻やら目やら耳が散乱している。
『顔面おろし』が随分気にいったようで、女を捕まえると片端からおろしていっている。
「うふふふ、ほら貴方も同じよ?」
まぁ、主力はもう居ないから…放って置いても大丈夫だな。
「この宝石良いですわね」
「…綺麗」
「私はあまり興味ないけど…あっ凄い時計がある」
皆で宝石商に居るが誰も咎めない。
当たり前だ…咎める側の人間は皆、死んでいるのだから。
欲しい物は取り放題だ。
酷い事をしているのか?
いや、してない筈だ。
勇者が恐らくしているのだから『元魔界の勇者』である俺やその仲間がやって悪い事は無い。
勇者は魔国に踏み込んでからも旅は続く。
魔国に入った勇者が魔族から『パンを下さい』とか『肉を下さい』とお金を払い買うわけが無い。
そもそも通貨も違うし、もし買うとしたら毒を盛られかねない。
それじゃ『勇者は何をしているのか?』
強盗、殺人のオンパレードだ。
そうでもしなければ『魔王城』にたどり着けない。
つまり、魔国に入ってからの勇者は…魔族や魔王にとって最悪の犯罪者に過ぎない。
それに人間の肉屋には『オークの肉』を始め魔物の肉が並んでいた。
世の中はライトノベルや漫画の様に綺麗な世界じゃない。
どう考えても『勇者パーティ』や魔国に押し入る人間は魔族側から見れば…殺戮者であり、犯罪者だ。
俺が今やっている事は…人間側の勇者が今迄やっていた事となんら変わらない筈だ。
それにオークからしたら自分の仲間を食う種族。
獣系の魔物からしたら、自分の皮を剥いで着ている恐ろしい敵だ。
『弱肉強食』そして『戦争』そう考えたらやり過ぎではない。
食べる為に狩る。
欲しい物があるから殺して奪う。
それこそが『魔族と人間』の適切な関係だ。
「凄いな、腕時計があるなんて思わなかったな、俺も貰おうか」
宝石に興味は無いが腕時計は欲しいな。
「うん、貰っちゃいなよ」
「そうするよ、黒薔薇に黒牡丹、それにお京は綺麗だし、宝石や宝飾品が凄く似合うよ…アイテム収納に幾らでも入るから、選ばないで全部貰っちゃえば良いよ」
「そうですわね、取り敢えず全部頂いちゃいますわ」
「…選ぶ必要はなかった…」
「そうだね、幾らでも入るんだから、全部貰っちゃおう」
まるで三人組の赤か緑のジャケットが似合う怪盗の様に、こちらの三人も全てを異次元に放り込んでいく。
宝石商に高級な洋服店…武器屋に防具や…欲しい物は全部奪い放り込む。
邪魔する奴は、最初は邪眼で石にしていたが…全員食料になるので殺していった。
途中に、騎士や兵士、冒険者が邪魔しに来たが…躊躇なく殺した。
奴隷商にも顔を出し…全員『お肉』になって貰った。
スラムからお店、貴族街まで全てに必要な物はあった。
どんな人間でも『体』は持っている。
誰からもこれは奪える。
片端から殺して行った…流石に逃げ出す者は放って置いた…
あはははっ、醜い者しか居ない。
俺にとって見える全てが化け物…
『勇者』の気持ちが解る。
周りが全部悍しく醜い化け物なんだから…殺しても全然気持ちが咎めない。
何日経っただろうか…
エルドラン王国の王都に人は居なくなっていた。
嫌がらせみたいに、騎士や兵士や冒険者がやってきたが、全員返り討ちにした。
欲しい物は全部、アイテム収納に放り込んでいった。
「誰かまだやり残した事や欲しい物はある?」
「流石にありませんわね」
「無い…」
「食料ももう充分だし、もう何も要らないかな」
そりゃそうだ、もう此処はゴーストタウンだから人も居ないし、欲しい物も無い。
結局、王城から旅立ってすぐ傍の王都で…こんなに時間を使うなんてな…これでもう欲しい物は何もないから…本当の意味での…
旅立ちだ。
2
お気に入りに追加
413
あなたにおすすめの小説

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です
花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。
けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。
そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。
醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。
多分短い話になると思われます。
サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

星の勇者たち でも三十九番目だけ、なんかヘン!
月芝
ファンタジー
来たる災厄に対抗すべく異世界に召喚された勇者たち。
その数、三十九人。
そこは剣と魔法とスチームパンクの世界にて、
ファンタジー、きたーっ!
と喜んだのも束の間、なんと勇者なのに魔法が使えないだと?
でも安心して下さい。
代わりといってはなんですが、転移特典にて星のチカラが宿ってる。
他にも恩恵で言語能力やら、身体強化などもついている。
そのチカラで魔法みたいなことが可能にて、チートで俺ツエーも夢じゃない。
はずなのだが、三十九番目の主人公だけ、とんだポンコツだった。
授かったのは「なんじゃコレ?」という、がっかりスキル。
試しに使ってみれば、手の中にあらわれたのはカリカリ梅にて、えぇーっ!
本来であれば強化されているはずの体力面では、現地の子どもにも劣る虚弱体質。
ただの高校生の男子にて、学校での成績は中の下ぐらい。
特別な知識も技能もありゃしない。
おまけに言語翻訳機能もバグっているから、会話はこなせるけれども、
文字の読み書きがまるでダメときたもんだ。
そのせいで星クズ判定にて即戦力外通告をされ、島流しの憂き目に……。
異世界Q&A
えっ、魔法の無詠唱?
そんなの当たり前じゃん。
っていうか、そもそも星の勇者たちはスキル以外は使えないし、残念!
えっ、唐揚げにポテトチップスにラーメンやカレーで食革命?
いやいや、ふつうに揚げ物類は昔からあるから。スイーツ類も充実している。
異世界の食文化を舐めんなよ。あと米もあるから心配するな。
えっ、アイデアグッズで一攫千金? 知識チート?
あー、それもちょっと厳しいかな。たいていの品は便利な魔道具があるから。
なにせギガラニカってば魔法とスチームパンクが融合した超高度文明だし。
えっ、ならばチートスキルで無双する?
それは……出来なくはない。けど、いきなりはちょっと無理かなぁ。
神さまからもらったチカラも鍛えないと育たないし、実践ではまるで役に立たないもの。
ゲームやアニメとは違うから。
というか、ぶっちゃけ浮かれて調子に乗っていたら、わりとすぐに死ぬよ。マジで。
それから死に戻りとか、復活の呪文なんてないから。
一発退場なので、そこんところよろしく。
「異世界の片隅で引き篭りたい少女。」の正統系譜。
こんなスキルで異世界転移はイヤだ!シリーズの第二弾。
ないない尽くしの異世界転移。
環境問題にも一石を投じる……かもしれない、笑撃の問題作。
星クズの勇者の明日はどっちだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる