16 / 54
第16話 謎の美女 霧崎京子② キメラ
しおりを挟む「まず、簡単に説明すると『霧崎京子』まぁ、あたいだが、異世界からの転移者だったが、魔族との戦いで死んだんだ…」
死んだ?
死んだのなら何故此処に居るんだ…幽霊なのか?
「まさか、幽霊とかそういう話なのか?」
「近いけど違うな! あたいの場合は『キメラ』なんだよ…正確には複合製キメラの試作品…異世界人霧崎京子の死体をベースに色々な魔物を魔法や魔術を使い合成して対魔族、魔王ようの兵器として作られた…その失敗作があたいだ! あたいの体には沢山の魔物の遺伝子が組み込まれていて、その姿になりその力を使いこなす様に作られたんだけど…」
彼女は涙目になり言いにくそうにしていた。
今聞いただけでもかなり酷く感じるが、これ以上の何かがあるのだろう。
「…」
「笑える事に、変身したその姿は元の魔物を越える程醜く、そしてその、能力は本物に及ばない…そして何より…」
更に顔が歪み、辛そうに見えた。
だから、俺はただ黙って話を聞く事しか出来なかった。
「…」
「あたいは数日に一度『人間を食べない』と生きていけない、正確には脳みそや内臓が多分必要なんだ…と思う…だけど食べるだけなら、骨でも肉でもなんでも食べられる…わ。食べないと体に耐えきれない程の激痛が走り、バラバラにされるような痛みが走り…研究者の話では最後に死ぬらしいわ…あははははっ、わはははは、本当の化け物なのよ」
「霧崎さん。自分の事、化け物って呼んでいるけど、随分辛そうだな」
「そうだね…どうせ、こんな化け物を作るなら、心や記憶なんて全部無くせば良かったんだよ! でも、あたいは、あたいには霧崎京子の感情や記憶がそのままあるんだ! 外見は兎も角、あたいの中身は『ただの化け物』だ…流石に…あんたも引くだろう」
近くには『化け物の雌』に見える死体の頭部が転がっている。
この目になった時からきっと俺は壊れていたに違いない。
だって、俺にはそれが『動物の頭』にしか見えない。
しいて言うなら『寄食癖のある美女』にしか霧崎京子?が思えなかった。
俺は…『狂っている』そう認めるべきだな。
この目の影響で、人類はもう『魔物』や『家畜』となんら変わらない。
聖女であった宇佐川聖子は友達では無かったが同級生である以上、挨拶位はしていた。
それが殺されても、悲しく思えなかった。
この体が人であっても、もう俺は『人ではないのだろう』
「引かないな。俺の仲間が同級生を殺した…その話を聞いても、特に思う事は無かった。寧ろ俺の為にそれをしてくれたと聞いた時、嬉しく思えた程だ。今も目の前で、自分を化け物だという、凄い美人が人間を殺して食べているが…別に何とも思わない。美人が寄食をしていて…何て絵面だ…そう思ってしまっただけだ」
「そうなんだ? 寄食? どう言う事?」
綺麗な美女が『猿の脳味噌を食べている』『虫を食べている』そんな感じだな。
「霧崎さんでもあるんだよな…簡単に言うなら美女が『猿の脳味噌』や『豚の頭』を食べて居る感じだよ」
「それだけなの?」
「それだけだ。よく考えれば俺自身が『邪神側の人間』だから、人間なんてどうでも良い立場だし…何より霧崎さんは凄い美人だ。此処迄の美人には俺は4人しか会った事は無いから」
「そう? なら正直に言うよ!私は霧崎京子であって霧崎京子じゃ多分無い…見ての通り擬態している、何か別の生物だ。そして捕食対象は人間何だよ…そんなあたいを『美人』だ『綺麗だ』って可笑しいだろう…それに霧崎京子の姿は本来の姿じゃない…本物の私は…世にも悍しい化け物だ」
不思議だ…俺の目には『霧崎京子』の姿に擬態をしていても美人に見える。
黒目、黒髪のすらっとした大人びた美人だ。
見方によっては大人びた高校生に見えるが、良くブレて天使や綺麗なサキュバス風悪魔にも見える。
その一つの姿はさっきの天使の姿だ。
まぁ口の周りは血だらけだから、ちょっとしたホラークィーンだな。
兎も角重要なのは…バグなのか解らないが『どの姿も美人』に見える。
だから、仲間として絶対に欲しい。
「それでも良いから、俺の仲間になってくれない」
「え~と、あたいは化け物だよ?」
「それで良い」
「人間を食べるけど?」
「構わない」
「本当に聞くけど…あたいは美人なのか?」
「ああっ、凄い美人だ」
「これでも?」
そう言うと霧崎さんは姿を変えた。
「天使みたいだ」
「これなら…」
「サキュバス風、エロイお姉さん」
「これは?」
「未亡人風、大人の色気のある美女」
「これは?」
「ケモ耳獣人お姉さん」
「これは?」
「巨乳のグラマーなグラビアアイドル、もしくはAVギャル風セクシー美女」
「これは」
「美少女の魔女っ子が大人になった姿」
「これは?」
「変身するサイボーグ美少女の10年後かな」
凄いな、服は変わらないけど、コスプレじゃなくて中身が色々な美女に変わっていく。
どこからか『変わるわよ』という声が聞こえてきそうだ。
これは空耳だな。
「呆れたぞ…どの醜い姿も…全部美女なのか? 良いよ、これから先、あたいは生涯1人で過ごすと思っていた。だが霧崎京子の心がやたらと寂しがる。人を殺している癖に食べている癖に『寂しい』と涙が出る時がある…だから良いよ仲間になってあげるよ…こんな化け物で良いんだよな?」
「ああっ構わないさ」
「それじゃ宜しくな! それでなんて呼べば良いのかな?」
「瞳で構わない」
「女みたいな名前だな」
「良く言われる、それで俺はなんて呼べば良い?」
「そうだね、確か、死ぬ前は京子かお京が多かったから、京子かお京どちらでも良いよ」
「それじゃ、お京でこれで良いのか?」
「うんうん、構わないよ。瞳」
これでいつも傍に居て貰える3人目の仲間が出来た。
だが、これでまた一つ疑問が出てきた。
2
お気に入りに追加
413
あなたにおすすめの小説

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です
花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。
けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。
そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。
醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。
多分短い話になると思われます。
サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

星の勇者たち でも三十九番目だけ、なんかヘン!
月芝
ファンタジー
来たる災厄に対抗すべく異世界に召喚された勇者たち。
その数、三十九人。
そこは剣と魔法とスチームパンクの世界にて、
ファンタジー、きたーっ!
と喜んだのも束の間、なんと勇者なのに魔法が使えないだと?
でも安心して下さい。
代わりといってはなんですが、転移特典にて星のチカラが宿ってる。
他にも恩恵で言語能力やら、身体強化などもついている。
そのチカラで魔法みたいなことが可能にて、チートで俺ツエーも夢じゃない。
はずなのだが、三十九番目の主人公だけ、とんだポンコツだった。
授かったのは「なんじゃコレ?」という、がっかりスキル。
試しに使ってみれば、手の中にあらわれたのはカリカリ梅にて、えぇーっ!
本来であれば強化されているはずの体力面では、現地の子どもにも劣る虚弱体質。
ただの高校生の男子にて、学校での成績は中の下ぐらい。
特別な知識も技能もありゃしない。
おまけに言語翻訳機能もバグっているから、会話はこなせるけれども、
文字の読み書きがまるでダメときたもんだ。
そのせいで星クズ判定にて即戦力外通告をされ、島流しの憂き目に……。
異世界Q&A
えっ、魔法の無詠唱?
そんなの当たり前じゃん。
っていうか、そもそも星の勇者たちはスキル以外は使えないし、残念!
えっ、唐揚げにポテトチップスにラーメンやカレーで食革命?
いやいや、ふつうに揚げ物類は昔からあるから。スイーツ類も充実している。
異世界の食文化を舐めんなよ。あと米もあるから心配するな。
えっ、アイデアグッズで一攫千金? 知識チート?
あー、それもちょっと厳しいかな。たいていの品は便利な魔道具があるから。
なにせギガラニカってば魔法とスチームパンクが融合した超高度文明だし。
えっ、ならばチートスキルで無双する?
それは……出来なくはない。けど、いきなりはちょっと無理かなぁ。
神さまからもらったチカラも鍛えないと育たないし、実践ではまるで役に立たないもの。
ゲームやアニメとは違うから。
というか、ぶっちゃけ浮かれて調子に乗っていたら、わりとすぐに死ぬよ。マジで。
それから死に戻りとか、復活の呪文なんてないから。
一発退場なので、そこんところよろしく。
「異世界の片隅で引き篭りたい少女。」の正統系譜。
こんなスキルで異世界転移はイヤだ!シリーズの第二弾。
ないない尽くしの異世界転移。
環境問題にも一石を投じる……かもしれない、笑撃の問題作。
星クズの勇者の明日はどっちだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる