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第14話 此処にも居ない。
しおりを挟む「牢屋を見学したい?随分変わった願いだな」
俺は思い切って騎士にお願いをして見た。
「はい、出来るだけ重犯罪の犯罪者、可能であれば女性の方を希望します」
「何故、そんな所を見たいんだ!極力、異世界から来た方の願いを聞くように言われているが…随分変わっているな…理由を聞かせて貰っても良いか?」
本当の理由は…もしかしたら真面に見える人間が居るのじゃ無いか?
そういう希望だ。
だが、それは言えない。
だからこそ『建前が必要だ』
「俺はこれから先、冒険者か騎士になろうか悩んでいます。どちらにしても、盗賊をはじめとする犯罪者と関わらなければなりません。ならば今のうちに慣れておこう…そう思ったのです」
これでどうだ?
俺としては筋が通っているように思えるが…
「なかなか良い所に目をつけたな。確かに異世界人の多くは対人戦闘で躊躇する者も多い。良いぜ、そう言う話なら都合つけてやる。待っていな」
どうやら上手く言ったようだ。
暫く待っていると、他の騎士がやってきた。
「牢屋の囚人、しかも重犯罪者を見たいって事で良いんだな?」
「はい」
「そうか? それでなんで女の方が良いんだ? 男じゃない理由は何かあるのか?」
「俺が居た世界では、男性と女性であれば男性以上に女性の方がより残酷と言われていました。だからこその女性の凶悪な犯罪者を見たいのです」
これでどうだ。
「解った。すぐに手配しよう」
待つ事大体10分位、俺は王城の傍にある牢獄を見学させて貰う事になった。
◆◆◆
「良いか? 檻の傍には近づくなよ…そうだな、中央を歩いて声を掛けられても絶対に檻の方には行くな! 此処に居る奴らは『本当に危ない奴ら』ばかりだ…何があっても近づくなよ」
薄暗い牢や…話を聞けば、相当危ない人間ばかりのようだ。
何故か騎士や牢番はついて来てくれないようだ。
「あらあら随分と若い子が入ってきたよ」
「ねぇねぇ、こっち来てお姉さんと遊ばない?」
「良い事してあげるよ、あはははははっ」
う~ん。
なんて言えば良いのかな?
同級生や他の人間に比べれば…かなり人間に近く見える。
女幽霊、女フランケンシュタイン…そういうレベルだ。
少なくとも二目と見たくないレベルじゃない。
だが、まだまだ、悍しい存在に見える。
一つ一つ檻を見ていくが…気持ち悪い。
だが、これは俺が黒薔薇や黒牡丹と暮らしているからだ。
もし、エグゾーダス様やコーネリア様に会わないで、黒薔薇や黒牡丹に会わない人生を送っていたら…此処の人達ですら友達になりたいと思った可能性が高い。
元から交流がないせいもあるが、此処の囚人と死んでしまった聖女宇佐川聖子どちらか1人しか助けられない状況なら『迷うことなく此処の囚人』を助けるだろう。
その位の差がある。
結構、この牢屋は広いな。
まだまだ奥に続いていく。
しかし、かなり沢山の囚人が居るんだな。
「私と遊ばない?」
「ねぇねぇ、こっちにおいでよ」
ひたすら無視をして歩いた。
どの囚人も…凄く悍しく醜い。
進むにつれ気のせいか、少しマシになっている気がする。
かなり奥まできた。
此処が突き当りのようだ。
真面な人間に見える存在も数人は居た。
尤もその多くは人間には辛うじて見えるが『とんでもないブサイク』で普通の女の子に見える存在は2人のみ。
犯罪者なら…もしかしたら綺麗に見えるのかも知れない。
そう考えていたが、残念ながらそうでは無いらしい。
少なくとも異世界の犯罪者が全員美女や美少女に見えない以上は…他に何か『綺麗に見える』条件が必要なのかも知れない。
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