14 / 54
第14話 此処にも居ない。
しおりを挟む「牢屋を見学したい?随分変わった願いだな」
俺は思い切って騎士にお願いをして見た。
「はい、出来るだけ重犯罪の犯罪者、可能であれば女性の方を希望します」
「何故、そんな所を見たいんだ!極力、異世界から来た方の願いを聞くように言われているが…随分変わっているな…理由を聞かせて貰っても良いか?」
本当の理由は…もしかしたら真面に見える人間が居るのじゃ無いか?
そういう希望だ。
だが、それは言えない。
だからこそ『建前が必要だ』
「俺はこれから先、冒険者か騎士になろうか悩んでいます。どちらにしても、盗賊をはじめとする犯罪者と関わらなければなりません。ならば今のうちに慣れておこう…そう思ったのです」
これでどうだ?
俺としては筋が通っているように思えるが…
「なかなか良い所に目をつけたな。確かに異世界人の多くは対人戦闘で躊躇する者も多い。良いぜ、そう言う話なら都合つけてやる。待っていな」
どうやら上手く言ったようだ。
暫く待っていると、他の騎士がやってきた。
「牢屋の囚人、しかも重犯罪者を見たいって事で良いんだな?」
「はい」
「そうか? それでなんで女の方が良いんだ? 男じゃない理由は何かあるのか?」
「俺が居た世界では、男性と女性であれば男性以上に女性の方がより残酷と言われていました。だからこその女性の凶悪な犯罪者を見たいのです」
これでどうだ。
「解った。すぐに手配しよう」
待つ事大体10分位、俺は王城の傍にある牢獄を見学させて貰う事になった。
◆◆◆
「良いか? 檻の傍には近づくなよ…そうだな、中央を歩いて声を掛けられても絶対に檻の方には行くな! 此処に居る奴らは『本当に危ない奴ら』ばかりだ…何があっても近づくなよ」
薄暗い牢や…話を聞けば、相当危ない人間ばかりのようだ。
何故か騎士や牢番はついて来てくれないようだ。
「あらあら随分と若い子が入ってきたよ」
「ねぇねぇ、こっち来てお姉さんと遊ばない?」
「良い事してあげるよ、あはははははっ」
う~ん。
なんて言えば良いのかな?
同級生や他の人間に比べれば…かなり人間に近く見える。
女幽霊、女フランケンシュタイン…そういうレベルだ。
少なくとも二目と見たくないレベルじゃない。
だが、まだまだ、悍しい存在に見える。
一つ一つ檻を見ていくが…気持ち悪い。
だが、これは俺が黒薔薇や黒牡丹と暮らしているからだ。
もし、エグゾーダス様やコーネリア様に会わないで、黒薔薇や黒牡丹に会わない人生を送っていたら…此処の人達ですら友達になりたいと思った可能性が高い。
元から交流がないせいもあるが、此処の囚人と死んでしまった聖女宇佐川聖子どちらか1人しか助けられない状況なら『迷うことなく此処の囚人』を助けるだろう。
その位の差がある。
結構、この牢屋は広いな。
まだまだ奥に続いていく。
しかし、かなり沢山の囚人が居るんだな。
「私と遊ばない?」
「ねぇねぇ、こっちにおいでよ」
ひたすら無視をして歩いた。
どの囚人も…凄く悍しく醜い。
進むにつれ気のせいか、少しマシになっている気がする。
かなり奥まできた。
此処が突き当りのようだ。
真面な人間に見える存在も数人は居た。
尤もその多くは人間には辛うじて見えるが『とんでもないブサイク』で普通の女の子に見える存在は2人のみ。
犯罪者なら…もしかしたら綺麗に見えるのかも知れない。
そう考えていたが、残念ながらそうでは無いらしい。
少なくとも異世界の犯罪者が全員美女や美少女に見えない以上は…他に何か『綺麗に見える』条件が必要なのかも知れない。
3
お気に入りに追加
413
あなたにおすすめの小説

ただ貴方の傍にいたい〜醜いイケメン騎士と異世界の稀人
花野はる
恋愛
日本で暮らす相川花純は、成人の思い出として、振袖姿を残そうと写真館へやって来た。
そこで着飾り、いざ撮影室へ足を踏み入れたら異世界へ転移した。
森の中で困っていると、仮面の騎士が助けてくれた。その騎士は騎士団の団長様で、すごく素敵なのに醜くて仮面を被っていると言う。
孤独な騎士と異世界でひとりぼっちになった花純の一途な恋愛ストーリー。
初投稿です。よろしくお願いします。

星の勇者たち でも三十九番目だけ、なんかヘン!
月芝
ファンタジー
来たる災厄に対抗すべく異世界に召喚された勇者たち。
その数、三十九人。
そこは剣と魔法とスチームパンクの世界にて、
ファンタジー、きたーっ!
と喜んだのも束の間、なんと勇者なのに魔法が使えないだと?
でも安心して下さい。
代わりといってはなんですが、転移特典にて星のチカラが宿ってる。
他にも恩恵で言語能力やら、身体強化などもついている。
そのチカラで魔法みたいなことが可能にて、チートで俺ツエーも夢じゃない。
はずなのだが、三十九番目の主人公だけ、とんだポンコツだった。
授かったのは「なんじゃコレ?」という、がっかりスキル。
試しに使ってみれば、手の中にあらわれたのはカリカリ梅にて、えぇーっ!
本来であれば強化されているはずの体力面では、現地の子どもにも劣る虚弱体質。
ただの高校生の男子にて、学校での成績は中の下ぐらい。
特別な知識も技能もありゃしない。
おまけに言語翻訳機能もバグっているから、会話はこなせるけれども、
文字の読み書きがまるでダメときたもんだ。
そのせいで星クズ判定にて即戦力外通告をされ、島流しの憂き目に……。
異世界Q&A
えっ、魔法の無詠唱?
そんなの当たり前じゃん。
っていうか、そもそも星の勇者たちはスキル以外は使えないし、残念!
えっ、唐揚げにポテトチップスにラーメンやカレーで食革命?
いやいや、ふつうに揚げ物類は昔からあるから。スイーツ類も充実している。
異世界の食文化を舐めんなよ。あと米もあるから心配するな。
えっ、アイデアグッズで一攫千金? 知識チート?
あー、それもちょっと厳しいかな。たいていの品は便利な魔道具があるから。
なにせギガラニカってば魔法とスチームパンクが融合した超高度文明だし。
えっ、ならばチートスキルで無双する?
それは……出来なくはない。けど、いきなりはちょっと無理かなぁ。
神さまからもらったチカラも鍛えないと育たないし、実践ではまるで役に立たないもの。
ゲームやアニメとは違うから。
というか、ぶっちゃけ浮かれて調子に乗っていたら、わりとすぐに死ぬよ。マジで。
それから死に戻りとか、復活の呪文なんてないから。
一発退場なので、そこんところよろしく。
「異世界の片隅で引き篭りたい少女。」の正統系譜。
こんなスキルで異世界転移はイヤだ!シリーズの第二弾。
ないない尽くしの異世界転移。
環境問題にも一石を投じる……かもしれない、笑撃の問題作。
星クズの勇者の明日はどっちだ。

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる