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第11話 最初の犠牲者
しおりを挟む「黒牡丹…本当に可愛らしくて、綺麗で愛おしくなりますわ」
「姉さま…本当にそう思います」
今、私達は瞳様の横で寝顔を見ていますわ。
私達の事を『可愛い』『綺麗』『美少女』と隙あらば、愛でてきますが、こうしてみる瞳様もかなりの美男子ですわ。
しかし、これ程までの美男子なので、前髪で顔を隠してわざと野暮ったい姿にしているのは何か事情があるのかも知れませんわね。
「しかし不思議な方ですわね。初めて会った時から『愛されて』しかも私達を本当に大切にしてくれている…今迄の不幸が嘘の様ですわね」
「本当に凄く幸せで…さっきだって、食事をしただけなのに凄く嬉しそうだった…愛を実感した」
人形として自分達の容姿が良くないのは解っていましたわ。
だって私達の制作者は『邪神エグゾーダス様』が作られた存在なのですから、当たり前ですわ。
人形というものは心を込めて作れば自然と製作者に似る物なのですわ。
『邪神』に似た人形…愛されにくいのは解りますわ。
ですが、味方の魔王や魔族にまで嫌われるとは思っていませんでしたわ。
本当に腹が立ちますわね。
ですが…それは『本物の愛』を手に入れるまでの試練だったのですわ。
今となっては、魔王に嫌われて良かったのですわ。
そうでなければ…私は瞳様の人形には慣れなかったのですから。
だから…これは運命なのですわ。
「それで黒牡丹、この辺りで瞳様に恩を返しませんか?私良い事を思いつきましたの」
「私も思いついた…」
多分、黒牡丹も同じ事を考えていたようですわ。
◆◆◆
「嫌ぁぁーーっ化け物――っ」
「煩いのですわ…今の一言高くつきますわよ」
「楽に殺さない」
すぐに用意して置いた猿轡をして声を出せない様にしましたわ。
「うぐっうううーーっううっ」
「これで大丈夫ですわね、聖女宇佐川…これでもう声を出せませんわね!化け物って言った事後悔させてあげますわ」
「楽に殺してあげない…」
顔を真っ青にしながら震えている。
当たり前ですわ。
今はまだ只の小娘。
可哀そうに漏らしてますわね。
「うぐっうぐううううーーっ」
「あらあら、魔王と戦おうと言う方がこの程度でお漏らし? それじゃ…残酷に殺してあげますわ」
「それじゃ…」
ブチブチッ。
ザクザク。
「うぐっうううんうわぁぁぁーーーうっ」
黒牡丹は凄く怪力ですの。
簡単に腕を引き千切りましたわ。
私は爪を伸ばして片目をえぐりましたわ。
「うぐっうぐっスンスン…たふけて」
うふふっ怖いでしょうね。
引き千切られた腕を黒牡丹が吸うと萎んでいき、やがて骨だけになった。
皮はモグモグしているわね。
「この目玉もあげるわ」
「そこに置いておいて…肉、肉…この肉…美味しい」
「うぐうっひくひくうぐぅぅぅぅぅーー」
「もう気が晴れましたわ…楽に殺してあげますわ…感謝しなさい。牡丹、吸い付いて吸って良いわ」
「うん…いただきます」
私は首筋に吸い付き血を吸い始めましたわ。
黒牡丹はお腹に吸い付き『肉を吸い始め』ましたわ。
結構バランスが良いのですわ。
私が血を吸い、黒牡丹が肉を吸うと最後に残るのは骨だけになりますのですわ。
そして、他に重要な物が1つ。
「ちゅぶっううんぐうんぐぷはぁっ、生娘ですね、血の味はなかなかですわね」
「うんぐっちゅうちゅうちゅるうんぐモグモグ…肉、肉…美味い肉」
「うぐうぐううーーったふけてーーっ」
もう見た感じは『老婆』見たいですわね。
今の彼女を見て、彼女が若い女性だとは誰も思わないですわね。
どう見ても老婆ですわ。
私は鏡を取り出し、老婆みたいになった宇佐川に見せましたわ。
「どうです? 老婆見たいですわね…貴方ももう充分醜くいですわ」
「醜い」
そのまま私や黒牡丹が吸い続けると老婆がやがてミイラみたいな見た目になり、最後は骨と皮だけになりましたわ。
牡丹が皮を最後に食べて…残ったのは『人石』と『骨』だけ。
骨は脆いから…黒牡丹が潰しながら窓から捨てましたわ。
砂みたいな位小粒になる迄潰しましたから、風に飛ばされ発見されることはまずありませんわね。
後はこの人石を瞳様にあげるだけですわ。
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