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第7話 邪神SIDE 旅立ちと真実
しおりを挟む俺の目が覚めると、美人なお姉さんと美少女が覗き込んでくる。
「此処は…天国かな…」
「寝ぼけておるな」
「寝ぼけていますね」
思い出した…
「すみません、俺にとってはまるで天国の様な状態だったのでつい…」
「別に良いのじゃ…それでもう瞳には我が考えられるだけの『祝福』を与えて置いた。本来はステータスで自分の状態を見られるのだが我らは邪神じゃからバレると不味い…そこで自分でも鑑定を掛けないと偽装されたステータスしか見られないようにしたから注意するのじゃ」
「ありがとうございます…それで黒薔薇と黒牡丹は何処に居るのでしょうか?見当たりませんが」
「二人は心が宿っていても『人形』じゃから、アイテム収納の中で暮らしておる…瞳が呼べば出てくるし、自分から勝手に出てくる事もある。まぁそれは諦めるのじゃな…それでは頑張るのじゃ」
「頑張ってね」
「はい」
こうして俺は異世界ブリエールへと旅立った。
◆◆◆
しかし解らぬな…我は、邪神、この世の者に恐れられる存在じゃ。
第一我は恐怖の象徴とさえ言われ、見た目は恐怖その物、他の神々からは例える事が出来ない位悍ましいと言われておる。
普通の人間なら一瞬、勇者ですらも例外ではなく、見た瞬間に心臓が止まる位悍しく恐ろしい容姿をしている。と言う話じゃ。
事実、大昔我が下界に降りた時は僅かな時間で、数千単位の人間が我を見て死んだ。
魔族から見ても我は醜く見え、魔王ですら直視し続ければ死ぬ。
全ての疫災の元凶と言われ人には災いと不幸を与える存在。
それが、魔王や魔族が信仰する邪神…我だ。
こんな容姿に生まれたから、我は…『女』としての幸せ等味わった事などない…何故、女に作ったのだと、創造神を呪った事もあるわ。
我の目を見て話す少年、瞳…生まれて初めてトキメキを感じるのは致し方なかろうが…
「行ってしまったな」
「行ってしまいましたね……」
それにコーネリアにも美しいというのだから驚きじゃ。
髪は細いが全てが蛇。
その昔は美しい美女だったが『女神より美しい』と評判になり、とある女神の怒りを買い…恐ろしい化け物に変えられた。
そこから、力をつけ我に連なる邪神となった。
その容姿は見た者は恐怖で石に変わる程恐ろしい。
上級魔族や魔王ですら直視できず、長く見ていると石になる。
その我らを、綺麗だ、美女だ、美少女だと言いより…本当に愛おしそうに見つめてくる。
我は男から目を見つめられた事などないわ。
「久々に、心がときめいてしまいました」
「コーネリアは良い…我は初めての体験じゃ。誰かに愛される等、初めての経験じゃ」
「まぁ、私は呪いに掛かる迄は美女でしたからね…恋愛した事も沢山の男性からモテた経験もありますからね」
「ふっ…それも数百年も前の話じゃな」
「あらあら、遠い昔から処女で、キス一つ経験の無いエグゾーダス様に言われたくはありませんね」
「貴様ぁぁぁぁーーコーネリア、おのれーーっ」
「それで、瞳に何かしたんでしょう?」
「勿論じゃ、魂を一応括っておいた…もし死ぬような事があれば我の元に戻るようにな。あれは我の未来の夫じゃ」
「ずるいですよ! だったら私も夫にし…呆れた…あっ!」
「何じゃ」
「あのエグゾーダス様…不老不死でほぼ不死身…死なないでは無いですか?」
「うむ…それなら神の資格を身に着けた時にでも遭いに行くかのう…コーネリアは留守番じゃ…」
「ずるいですよ!」
流石に我らはこれでも『女神』
人間の男に懸想など普通はせぬ…だが、それでも瞳には心が惹かれおる。
しかし…どんな思考でああなるのじゃ。
我らもそうだが、黒薔薇も黒牡丹も我ら並みに『醜く恐ろしい』
我が折角、魔王の護衛用に作ったのだが、我の美的感覚が可笑しいと言われ…黒薔薇が老婆の様な白い髪に血のような赤い目。魔王や魔族が『見た瞬間に悲鳴をあげて逃げ出したくなるからお返しします』そう言われてしまった。
そして黒牡丹はくすんだ様な黒い髪に呪われたような黒い目。
見たら、そんな機能はつけていないのじゃが、呪われた人形みたいで同じく、魔王や魔族が『見た瞬間に悲鳴をあげて逃げ出したくなるからお返しします』そう言われてしまった。
返す前に、怒らせた魔王は重体、魔族の幹部に死人が出た…から返して貰って、眠りにつかせていた。
そんな2体の人形が『美少女』に見えるという瞳。
瞳は一体何者なのじゃ。
まぁ良い…多分じゃが、瞳にとって異世界は楽しい物になるじゃろう。
『魔族や魔物の映像』を嬉しそうに見ていたからな。
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