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第5話 人形は嫁に入りますか?
しおりを挟む「久しぶりに目が覚めたわね」
「姉さま、姉さま…どうします…まだ殺します?」
「そうね…私達を蔑ろにした存在等皆殺しにして差し上げますわ」
凄い、美少女二人が、凄く物騒な事を話している。
だが、小柄で可愛い彼女達から発せられると冗談か劇の様に思える。
「黒薔薇、黒牡丹、ひさしいのう…」
「ひさしぶりね」
「「エグゾーダス様にコーネリア様!」」
「うむ…ひさしいのう、それでじゃ、この度お前達の貰い手が決まったので、顔合わせをしようと思ってのう」
「なかなかの子よ」
息を吹き返し、動いている彼女達はどう見ても人間の美少女にしか見えない。
「エグゾーダス様、私は人形なのですわ。本来は愛でて愛される存在なのですわ…ですが、今迄誰からも愛されて居ないのですわ…私を所有する条件はただ一つだけですわ。ただただ、私を愛してくれれば良いのですわ。もしそれが出来る方なら、こちらから望んで所有者になって頂きますわ。ですが出来ないなら、前と同じで恐らく殺してしまいますわ。この容姿ですから諦めましたわ…ですからまた眠らせて欲しいのですわ」
「私も姉さまと同じ…姉さまと同じように…ただ愛でて愛して貰えるならそれで良い…無理ならきっと殺してしまいます…愛されるのは無理ですから…誰かをまた殺す前に…眠りたい」
これ程の美少女が愛されないなんて…
こんな人形が前の世界にあったら、恐らく俺は借金地獄になっても買うよ…間違いなく。
「そうかのう? そやつは、我やコーネリアを美しいと言い続ける存在じゃ、顔に出さないようにしておるが、さっきから顔が赤くなって本当に困るのじゃ、のうコーネリア」
「本当に、さっきから顔が真っ赤になって困りますね…目を真っすぐ見て話してくるのは反則です。そんな経験数百年ぶりですので心がときめいてしまいます…送り出さなくてはならないのが残念です。正直いえば、貴方達と代わりたい位です…本気で」
「エグゾーダス様とコーネリア様が美しい…なんの冗談ですの?」
「流石に、それは無い…」
今迄の人生辛い事ばかりだったけど、此処は天国だ。
絶世の美女と美少女が戯れている。
凄い眼福だ。
「我を愚弄するか!殺すぞ!」
「あらあら、私の事を美しいという事が、冗談…壊しちゃおうかしら」
不味い。
俺は間に飛び込む様に割り込んだ。
「俺が代わりに謝るから止めてあげて下さい」
「只の冗談じゃよ、お主にやる物じゃ壊さん」
「そうですよ? 私がそんな事する訳無いじゃないですか?ねっ黒薔薇に黒牡丹」
「これは何時もの…冗談ですわ。嫌です…え~と庇って下さいましたの?」
「姉さま、姉さま…この人私達を庇いましたよ」
「エグゾーダス様、コーネリア様、もしかしてこの方が…もしかして私達を欲している方ですの?」
「姉さま、姉さま、嫌な目じゃ無く怖がっていませんよ」
美少女二人が此方を見つめてくる。
こんな経験が無いから、つい顔が赤くなってしまう。
「あの…貴方はエグゾーダス様やコーネリア様が美しく見えるそうですが…私はどう見えますの?」
人形には見えない美少女が体を震わせながら聞いてきた。
まるで告白を受けているみたいだ。
「美しい白髪に赤い目、貴族風の髪型に透き通る様な白い肌の美少女に見えます。ゴシックロリータの服が凄く似合いますね」
「嘘…本当にそう見えますの? あの、貴方にとって私は愛でる対象なのでしょうか?」
「勿論です…貴方の様に綺麗な人形は俺の人生で初めて見ました」
「ああっ…本当に、本当に生まれて来て良かったですわ」
「あの…姉さまだけでなく私はどう貴方の目に映るのでしょうか?」
「俺の目には黒髪に黒目、おかっぱ頭で肌は白く日本のお嬢様の様な美少女に見えます。黒地に牡丹をあしらった着物が良く似合っています」
「姉さま、姉さま、私…美少女って言われちゃいました…どうしましょう、本当にどうしましょう」
「これは、愛でる対象…そう言う事ですわね」
「姉さま…私達愛でて貰えるのですね…うっうっ良かった…」
美少女が涙ぐみながら喜んでくれる光景、思わず此方も泣けてきた。
「俺で良ければ、幾らでも愛でます。だけど、どうすれば良いの?」
「それじゃ、ご主人様…それでは」
「それでは」
「ちょっと待って…流石にこんな所じゃ恥ずかしい」
「恥ずかしがる事はありませんわ」
「痛くしないから」
いきなり押し倒され、黒薔薇に馬乗りされた。
黒牡丹に至っては俺のベルトを外し、ズボンを摺り降ろしている。
「そう言うのは初めてだから…恥ずかしいからせめて人前では止めて欲しい」
相手が美少女だと振りほどけない…というかそれ以前に、物凄い力でどうする事も出来ない。
「大丈夫、私も初めてですわ」
「私も…一緒です経験を積みましょう」
「頼むから…はぁ~、せめて優しく…」
「うん、もう我慢できませんわぁぁぁーーあ~むっ」
「それじゃ、私も…うんぐっ」
黒薔薇の顔がキスするような距離まで近づき、そのまま首筋にキスされた。
それより、黒牡丹だ。俺の下腹部に顔を埋めて吸い付く様なキスをしている。
女の子特有の良い匂い…人形だって言うけど人間と変わらない。
首筋に黒薔薇が顔を埋めて貪るようなキスをしているから、体が密着して顔が赤くなる。
「うんうぐっちゅっ、ぷはぁうんぐ」
耳元にその音が聞こえてくる。
そして下半身がもっとヤバい。
黒牡丹が、下腹部に吸い付く様なキスをしているから、凄い絵面になっている。
美少女が下半身に顔を埋めて貪る様なキス。
男の部分に首筋があたっていて…本当にヤバい。
「ハァハァ凄いのですわ…ああっああ」
「うんぐ、うんぐ…ぷはぁっ凄い…」
「あんた達、いい加減にしなさい! 嬉しいのは解るし『初めてだから』仕方ないですが…それ以上は…」
コーネリア様の手の傍に巨大な氷が浮かんでいる。
「お前等、我を無視して随分楽しそうじゃのう?」
「ご主人様、申し訳ありませんでした…ですわ。その初めての吸血でしたので夢中になってしまいましたわ…ですが、これで私は身も心も瞳様のものですわ」
「私も肉吸いは初めて…姉さまと同じで夢中になった…私ももう瞳様のもの」
「まぁ二人にとって、これは嫁ぐ為の儀式みたいな物だから仕方がないのう…だがやり過ぎじゃ」
「嫁ぐ?」
今、嫁ぐって言わなかったか?
「その通りですよ。人形は所有者を決めたら、生涯その相手と共に生きます。まして黒薔薇と黒牡丹は吸血人形と肉吸人形、初めて血を吸った人間、肉を吸った人間と生死を共にしますから、人間の婚姻となんら変わりません…嫁いだみたいな物なんですよ」
確かに普通の人形は捨てらない限りずうっと一緒に居るよな。
俺がこの二人を捨てるなんて絶対にない。
そう考えたらあながち間違いでもないのか…
「これから、宜しく」
「ご主人様、末永くお願い致しますわ」
「死ぬまで…一緒…お願いいたします」
「さてと、人形と契約が無事終わったようじゃから、次は我らの番じゃな」
「沢山の祝福を差し上げますから、楽しみにして下さいね」
祝福=チート? ジョブやスキルみたいな物か? どんな物をくれるのか今から楽しみだ。
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