5 / 54
第5話 人形は嫁に入りますか?
しおりを挟む「久しぶりに目が覚めたわね」
「姉さま、姉さま…どうします…まだ殺します?」
「そうね…私達を蔑ろにした存在等皆殺しにして差し上げますわ」
凄い、美少女二人が、凄く物騒な事を話している。
だが、小柄で可愛い彼女達から発せられると冗談か劇の様に思える。
「黒薔薇、黒牡丹、ひさしいのう…」
「ひさしぶりね」
「「エグゾーダス様にコーネリア様!」」
「うむ…ひさしいのう、それでじゃ、この度お前達の貰い手が決まったので、顔合わせをしようと思ってのう」
「なかなかの子よ」
息を吹き返し、動いている彼女達はどう見ても人間の美少女にしか見えない。
「エグゾーダス様、私は人形なのですわ。本来は愛でて愛される存在なのですわ…ですが、今迄誰からも愛されて居ないのですわ…私を所有する条件はただ一つだけですわ。ただただ、私を愛してくれれば良いのですわ。もしそれが出来る方なら、こちらから望んで所有者になって頂きますわ。ですが出来ないなら、前と同じで恐らく殺してしまいますわ。この容姿ですから諦めましたわ…ですからまた眠らせて欲しいのですわ」
「私も姉さまと同じ…姉さまと同じように…ただ愛でて愛して貰えるならそれで良い…無理ならきっと殺してしまいます…愛されるのは無理ですから…誰かをまた殺す前に…眠りたい」
これ程の美少女が愛されないなんて…
こんな人形が前の世界にあったら、恐らく俺は借金地獄になっても買うよ…間違いなく。
「そうかのう? そやつは、我やコーネリアを美しいと言い続ける存在じゃ、顔に出さないようにしておるが、さっきから顔が赤くなって本当に困るのじゃ、のうコーネリア」
「本当に、さっきから顔が真っ赤になって困りますね…目を真っすぐ見て話してくるのは反則です。そんな経験数百年ぶりですので心がときめいてしまいます…送り出さなくてはならないのが残念です。正直いえば、貴方達と代わりたい位です…本気で」
「エグゾーダス様とコーネリア様が美しい…なんの冗談ですの?」
「流石に、それは無い…」
今迄の人生辛い事ばかりだったけど、此処は天国だ。
絶世の美女と美少女が戯れている。
凄い眼福だ。
「我を愚弄するか!殺すぞ!」
「あらあら、私の事を美しいという事が、冗談…壊しちゃおうかしら」
不味い。
俺は間に飛び込む様に割り込んだ。
「俺が代わりに謝るから止めてあげて下さい」
「只の冗談じゃよ、お主にやる物じゃ壊さん」
「そうですよ? 私がそんな事する訳無いじゃないですか?ねっ黒薔薇に黒牡丹」
「これは何時もの…冗談ですわ。嫌です…え~と庇って下さいましたの?」
「姉さま、姉さま…この人私達を庇いましたよ」
「エグゾーダス様、コーネリア様、もしかしてこの方が…もしかして私達を欲している方ですの?」
「姉さま、姉さま、嫌な目じゃ無く怖がっていませんよ」
美少女二人が此方を見つめてくる。
こんな経験が無いから、つい顔が赤くなってしまう。
「あの…貴方はエグゾーダス様やコーネリア様が美しく見えるそうですが…私はどう見えますの?」
人形には見えない美少女が体を震わせながら聞いてきた。
まるで告白を受けているみたいだ。
「美しい白髪に赤い目、貴族風の髪型に透き通る様な白い肌の美少女に見えます。ゴシックロリータの服が凄く似合いますね」
「嘘…本当にそう見えますの? あの、貴方にとって私は愛でる対象なのでしょうか?」
「勿論です…貴方の様に綺麗な人形は俺の人生で初めて見ました」
「ああっ…本当に、本当に生まれて来て良かったですわ」
「あの…姉さまだけでなく私はどう貴方の目に映るのでしょうか?」
「俺の目には黒髪に黒目、おかっぱ頭で肌は白く日本のお嬢様の様な美少女に見えます。黒地に牡丹をあしらった着物が良く似合っています」
「姉さま、姉さま、私…美少女って言われちゃいました…どうしましょう、本当にどうしましょう」
「これは、愛でる対象…そう言う事ですわね」
「姉さま…私達愛でて貰えるのですね…うっうっ良かった…」
美少女が涙ぐみながら喜んでくれる光景、思わず此方も泣けてきた。
「俺で良ければ、幾らでも愛でます。だけど、どうすれば良いの?」
「それじゃ、ご主人様…それでは」
「それでは」
「ちょっと待って…流石にこんな所じゃ恥ずかしい」
「恥ずかしがる事はありませんわ」
「痛くしないから」
いきなり押し倒され、黒薔薇に馬乗りされた。
黒牡丹に至っては俺のベルトを外し、ズボンを摺り降ろしている。
「そう言うのは初めてだから…恥ずかしいからせめて人前では止めて欲しい」
相手が美少女だと振りほどけない…というかそれ以前に、物凄い力でどうする事も出来ない。
「大丈夫、私も初めてですわ」
「私も…一緒です経験を積みましょう」
「頼むから…はぁ~、せめて優しく…」
「うん、もう我慢できませんわぁぁぁーーあ~むっ」
「それじゃ、私も…うんぐっ」
黒薔薇の顔がキスするような距離まで近づき、そのまま首筋にキスされた。
それより、黒牡丹だ。俺の下腹部に顔を埋めて吸い付く様なキスをしている。
女の子特有の良い匂い…人形だって言うけど人間と変わらない。
首筋に黒薔薇が顔を埋めて貪るようなキスをしているから、体が密着して顔が赤くなる。
「うんうぐっちゅっ、ぷはぁうんぐ」
耳元にその音が聞こえてくる。
そして下半身がもっとヤバい。
黒牡丹が、下腹部に吸い付く様なキスをしているから、凄い絵面になっている。
美少女が下半身に顔を埋めて貪る様なキス。
男の部分に首筋があたっていて…本当にヤバい。
「ハァハァ凄いのですわ…ああっああ」
「うんぐ、うんぐ…ぷはぁっ凄い…」
「あんた達、いい加減にしなさい! 嬉しいのは解るし『初めてだから』仕方ないですが…それ以上は…」
コーネリア様の手の傍に巨大な氷が浮かんでいる。
「お前等、我を無視して随分楽しそうじゃのう?」
「ご主人様、申し訳ありませんでした…ですわ。その初めての吸血でしたので夢中になってしまいましたわ…ですが、これで私は身も心も瞳様のものですわ」
「私も肉吸いは初めて…姉さまと同じで夢中になった…私ももう瞳様のもの」
「まぁ二人にとって、これは嫁ぐ為の儀式みたいな物だから仕方がないのう…だがやり過ぎじゃ」
「嫁ぐ?」
今、嫁ぐって言わなかったか?
「その通りですよ。人形は所有者を決めたら、生涯その相手と共に生きます。まして黒薔薇と黒牡丹は吸血人形と肉吸人形、初めて血を吸った人間、肉を吸った人間と生死を共にしますから、人間の婚姻となんら変わりません…嫁いだみたいな物なんですよ」
確かに普通の人形は捨てらない限りずうっと一緒に居るよな。
俺がこの二人を捨てるなんて絶対にない。
そう考えたらあながち間違いでもないのか…
「これから、宜しく」
「ご主人様、末永くお願い致しますわ」
「死ぬまで…一緒…お願いいたします」
「さてと、人形と契約が無事終わったようじゃから、次は我らの番じゃな」
「沢山の祝福を差し上げますから、楽しみにして下さいね」
祝福=チート? ジョブやスキルみたいな物か? どんな物をくれるのか今から楽しみだ。
3
お気に入りに追加
413
あなたにおすすめの小説

ただ貴方の傍にいたい〜醜いイケメン騎士と異世界の稀人
花野はる
恋愛
日本で暮らす相川花純は、成人の思い出として、振袖姿を残そうと写真館へやって来た。
そこで着飾り、いざ撮影室へ足を踏み入れたら異世界へ転移した。
森の中で困っていると、仮面の騎士が助けてくれた。その騎士は騎士団の団長様で、すごく素敵なのに醜くて仮面を被っていると言う。
孤独な騎士と異世界でひとりぼっちになった花純の一途な恋愛ストーリー。
初投稿です。よろしくお願いします。

星の勇者たち でも三十九番目だけ、なんかヘン!
月芝
ファンタジー
来たる災厄に対抗すべく異世界に召喚された勇者たち。
その数、三十九人。
そこは剣と魔法とスチームパンクの世界にて、
ファンタジー、きたーっ!
と喜んだのも束の間、なんと勇者なのに魔法が使えないだと?
でも安心して下さい。
代わりといってはなんですが、転移特典にて星のチカラが宿ってる。
他にも恩恵で言語能力やら、身体強化などもついている。
そのチカラで魔法みたいなことが可能にて、チートで俺ツエーも夢じゃない。
はずなのだが、三十九番目の主人公だけ、とんだポンコツだった。
授かったのは「なんじゃコレ?」という、がっかりスキル。
試しに使ってみれば、手の中にあらわれたのはカリカリ梅にて、えぇーっ!
本来であれば強化されているはずの体力面では、現地の子どもにも劣る虚弱体質。
ただの高校生の男子にて、学校での成績は中の下ぐらい。
特別な知識も技能もありゃしない。
おまけに言語翻訳機能もバグっているから、会話はこなせるけれども、
文字の読み書きがまるでダメときたもんだ。
そのせいで星クズ判定にて即戦力外通告をされ、島流しの憂き目に……。
異世界Q&A
えっ、魔法の無詠唱?
そんなの当たり前じゃん。
っていうか、そもそも星の勇者たちはスキル以外は使えないし、残念!
えっ、唐揚げにポテトチップスにラーメンやカレーで食革命?
いやいや、ふつうに揚げ物類は昔からあるから。スイーツ類も充実している。
異世界の食文化を舐めんなよ。あと米もあるから心配するな。
えっ、アイデアグッズで一攫千金? 知識チート?
あー、それもちょっと厳しいかな。たいていの品は便利な魔道具があるから。
なにせギガラニカってば魔法とスチームパンクが融合した超高度文明だし。
えっ、ならばチートスキルで無双する?
それは……出来なくはない。けど、いきなりはちょっと無理かなぁ。
神さまからもらったチカラも鍛えないと育たないし、実践ではまるで役に立たないもの。
ゲームやアニメとは違うから。
というか、ぶっちゃけ浮かれて調子に乗っていたら、わりとすぐに死ぬよ。マジで。
それから死に戻りとか、復活の呪文なんてないから。
一発退場なので、そこんところよろしく。
「異世界の片隅で引き篭りたい少女。」の正統系譜。
こんなスキルで異世界転移はイヤだ!シリーズの第二弾。
ないない尽くしの異世界転移。
環境問題にも一石を投じる……かもしれない、笑撃の問題作。
星クズの勇者の明日はどっちだ。

おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる