上 下
38 / 50

第41話 逃げ出す

しおりを挟む

ふぅ~一度関係を持ってしまうと流されやすくなってしまうな。

今、横で満足そうにスヤスヤとミウが裸で寝ている。

やはり、避妊紋を自分に刻んで良かった。

こんな歯止めが効かない生活をしていたら、多分すぐに子供が出来てしまう。

スレンダーで綺麗な肢体。

小さいけど触り心地の良い胸とお尻…嵌まっているのは俺も同じだ。

ミウだけじゃない。

俺も愛情に飢えていたんだな。

ミウが自分の命より大切に思える程…愛おしい。

歯止めが効かなくなる程誰かを好きになるなんて思わなかった。

ミウの寝顔に後ろ髪をひかれつつ起こさないように俺は隣の部屋に移った。

さてと…此処から俺は何処に逃げた方が良いのか『霊的(天使)自動書機』に相談だ。

これは、前の世界でいう、こっくりさんの進化系で。ボードにペンがついている。

これで、心霊を通り越して天使と会話が出来る。

このボードに手を置いて、聞きたい事を天使に聞くと自動的に手が動いて紙に答えが書かれていく。

エンジェル様…エンジェル様…

「これから、この場所を離れようと思うのですが…何時位が良いでしょうか?」

手がボードごと動き、紙に文字を書き始めた。

『みっかいない』

3日以内?随分と早いな。

「それは何故でしょうか?」

『せんそう』

戦争?

まさか、魔族との戦争が起きる…そう言う事か?

「それでは、何処に逃げれば宜しいのでしょうか?」

『テイコク』

「聖教国でない理由はありますか」

『ツギハココ』

つまり、王国、聖教国、帝国の順に戦争に巻き込まれるから、聖教国では無く帝国に逃げなさい。

そういう事か?

最後に…

「勇者達、異世界人は魔王に勝てますか?」

『アクマデヨソウ…カテナイ シヌ』

やはり勝てないか?

「答えて頂き有難うございました…どうぞお帰り下さい」

俺がそう言うと手から力が抜けた気がした。

これで、方針が決まった。

帝国に逃げる…それだけだ。

そして、同級生には構わない。

天使が『勝てないで死ぬ』って事は恐らく、本当に勝てないのだろう。

しかし…この天使は何者なのだろうか?

女神のしもべみたいな者なら『勝てない』とは言わないだろう。

まぁ良い。

此処は大樹達の事を考えても離れるべき場所だ。

その後は、しっかり様子を見るべきだ。

他の事ならどうにかなるかも知れないが『戦争』だけはどうしようもない。

そこは回避しないとな。

俺は『運が良い』

城を追い出されたからこその自由がある。

借りも貸しも無い…

『魔族からは逃げる』

そこを主軸に、俺は考えて行動する。

それだけだ。

◆◆◆

「おはよう!ミウ」

「おはよう! 理人…早いね…どうかしたの?」

「うん、そろそろ王国を離れて帝国に向かおうと思ってね」

「随分急だね? 何かあったの?」

「いや、嫌な予感がするんだ…昔から結構こういう嫌な予感は当たるから、すぐに行動しようと思って」

「まぁ、ミウは別に構わないよ…知合いが居る訳でも無いし…うん、理人がそうしたいならそうすれば良いよ」

「ありがとう、それじゃ、早速準備して、朝食は外食で済まして行こうか?」

「うん…だけど、本当に急だね?」

「まぁね」

部屋の物を片端からアイテム収納に突っ込んだ。

冒険者ギルドの口座はこの世界共通でATMみたいな物だからこのままで問題はない。

「それで、帝国にはどうやって行くの?」

出来るだけ早く生きたいけど…

「一番早く行く方法は、なんだと思う?」

「う~ん、やっぱり空竜艇が一番で次は馬車じゃないかな?」

「まぁ良いや、行ってみよう」

結局、俺達は朝食を食べてから、それぞれの乗り場に行ってみた。

空竜艇は1週間に1度しか出てなく、昨日でたばかりだった。

『3日間』そういうお告げがあったから…次回じゃ間に合わない。

馬車は乗り合いと貸し切りがあったが…他人と一緒は気が引けるから貸し切りにした。

「貸し切りなんて凄いね」

「まぁ余裕があるからこれ位良いんじゃない」

「ミウ、馬車で旅行なんて初めて」

「俺もだよ!」

「お客様、帝国行きの馬車の準備が出来ましたよ」

「それじゃ行こうか?」

「うん」

王国でこれから何が起こるのか解らない。

俺達は『天使』のお告げに従い…王国を後にした。









しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。

karashima_s
ファンタジー
 地球にダンジョンが出来て10年。 その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。  ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。 ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。  当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。  運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。  新田 蓮(あらた れん)もその一人である。  高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。 そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。 ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。 必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。 落ちた。 落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。 落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。 「XXXサバイバルセットが使用されました…。」 そして落ちた所が…。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...