上 下
8 / 50

第8話 冒険者ギルドにて

しおりを挟む
あの王女やってくれる。

俺が貰ったお金は金貨1枚。

門番のおっちゃんに聞いた話では金貨1枚約10万円。

あのクソ王女ふざけるなよ…これ、普通に一般人の月の収入の半分位だ。だが俺は何も持っていない。此処から必要な装備を揃えたり生活に必要な道具を揃えたらお金なんて全然残らない。

まず、武器屋でも見てみるか…多分街の外を出歩くにはナイフ位は必要そうだ。

武器屋に入った。

やはり危惧した通りだった。

昔は日本でも刃物は高額だった。

戦うような刃物は、日本で言うなら刀だ。

高額じゃない訳ないじゃないか。

これは買えないな。

見た感じ、戦いに使える様な感じの武器は最低でも金貨2枚はする。

これを買ったらもう生活は出来ない。

「駆け出しの冒険者かい? 武器は命を預ける物だ!高いのは当たり前だ、田舎から出て来たなら働きながら金を貯めるといいぞ…金貨5枚を目標に貯めな」

全然足りないな。

駄目だ。

「そうですね、金を貯めたらまた来ます」

「そうだな、だが冒険者目指すなら、これだけは買って置いた方が良い」

小さなナイフ1本に袋?

「それは一体何故ですか?」

「街の外に出るなら、身を守る最低線のナイフは必要だぞ! これでも刺せばゴブリン位なら逃げる…まぁ複数、もしくはオークに出会ったらおしまいだが、それでも持つべきだ。あと、アイテムを入れる袋は必要だぜ」

俺たちは異世界人…運が良い。

俺たちには『アイテム収納』のスキルがある。

だから袋は要らない。

「おじさん、袋は要らないから、そのナイフ幾ら?」

「ああっ、これは冒険者組合から援助が出ているから銀貨2枚で良いぞ」

1本銀貨2枚=2万円位か。

刃渡り30センチのナイフが2万円…これは仕方ないな

「今持ち合わせが少ないので、あとで来ます」

武器屋を出た後、街を少し見てみたが『物価が高い』

一か月どころか、このお金じゃ1週間生活出来るかどうかだ。

はやく働かないと生活が出来なくなる。

『騙された』そんな気が余計強くなった。

異世界でも同じだ…まして此奴は『命』や『人生』が掛った時に騙した。

この国の王族は『悪人』この事は絶対に忘れない。

取り敢えず冒険者ギルドに行こう。

そして、すぐにカジノだ。

良く考えたら『宿賃』が必要だし、生活に必要な物を揃えるなら全然足りないじゃないか。


◆◆冒険者ギルドにて◆◆◆

見た感じは酒場が併設されていて、いかにも荒くれ者が集う場所...そんな感じに見えるな。

流石に小説や漫画みたいに絡まれる事はない…無いとよいな。

考えても仕方ない。

俺は意を決してカウンターへと向かった。

「初めて見る方ですね!今日はご依頼ですか?」

綺麗なお姉さん、耳が頭にあるお姉さんがそう聞いてきた。

流石は異世界…獣人だ。

確かに武器は持っていないから『冒険者になりたい』人間には見えないかも知れないな。

「登録を頼みたいのですが、お願い出来ますか? 王城からの身元保証書類もあります」

「はい、登録ですね、その身分証明書は冒険者の登録では使う必要はありませんよ。こちらの用紙にご記入お願いします。文字は書けますか?」

翻訳の影響なのか、何故かこの世界の文字が書ける様な気がする。

「はい大丈夫です」

どういう意味か何故か理解でき、ひらめいた文字をそのまま書いた。

「これで宜しいでしょうか?」

俺は 名前とジョブしか書いていない。

実際になにが出来るのか、自分達も解らない。

仕方ないだろう。

「構いませんよ、冒険者ギルドは来るものは拒まず。 訳ありの方でも犯罪者で無い限りどなたでもOKです、ですが『無能』ですか…充分気をつけて下さいね…子供並みの事しか恐らく出来ません」

「はい」

ちなみに、どういう仕組みか解らないが犯罪歴があると紙が赤くなり、ギルマスと面接になるらしいわ。

軽い犯罪なら、なれるらしいから、かなり敷居は低いのかも知れない。

「それじゃ、これで登録しますね」

「ありがとうございます!」

「但し、冒険者は、自己責任の厳しい世界だという事は頭に置いて下さいね」

「解りました」

「それではご説明させて頂きます」


説明内容は、
冒険者の階級は 上からS級、A級、B級、C級、D級、E級、F級にわかれている。

上に行くのは難しく、B級まで上がれば一流と言われている。

殆どの冒険者が、D級まででそれ以上は少数。

級を上げる方法は依頼をこなすか、大きな功績を上げるしか方法はない。

B級以上になるとテストがあるそうだ。

ギルドは冒険者同士の揉め事には関わらない。

もし、揉めてしまったら自分で解決する事。

素材の買取はお金だけでなくポイントも付くので率先してやる方が良いらしいわ。

死んでしまった冒険者のプレートを見つけて持ってくれば、そのプレートに応じたお金が貰える。

そんな感じだった。

「解りました」

「はい、これがF級冒険者のプレートです、再発行にはお金が掛かりますので大切にお持ちください、またプレートが身分証明書を兼ねます」

なんだ、これなら貰った身分証明は必要ないじゃないか…

まぁ、今考えても仕方がないな。

ギルドとは関係ないしな。

「ありがとうございます」


お礼を言い立ち去ろうとすると受付嬢が話し掛けてきた。

「冒険者は実績が全てです、実績があれば上に昇り詰められます。『無能』では難しいと思いますが頑張って下さい」

「はい」

さぁ、これからカジノだ。

もしこの『イーグルコイン』が本物なら…此処から巻き返しが出来る。



しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。

karashima_s
ファンタジー
 地球にダンジョンが出来て10年。 その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。  ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。 ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。  当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。  運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。  新田 蓮(あらた れん)もその一人である。  高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。 そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。 ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。 必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。 落ちた。 落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。 落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。 「XXXサバイバルセットが使用されました…。」 そして落ちた所が…。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

隣国は魔法世界

各務みづほ
ファンタジー
【魔法なんてあり得ないーー理系女子ライサ、魔法世界へ行く】 隣接する二つの国、科学技術の発達した国と、魔法使いの住む国。 この相反する二つの世界は、古来より敵対し、戦争を繰り返し、そして領土を分断した後に現在休戦していた。 科学世界メルレーン王国の少女ライサは、人々の間で禁断とされているこの境界の壁を越え、隣国の魔法世界オスフォード王国に足を踏み入れる。 それは再び始まる戦乱の幕開けであった。 ⚫︎恋愛要素ありの王国ファンタジーです。科学vs魔法。三部構成で、第一部は冒険編から始まります。 ⚫︎異世界ですが転生、転移ではありません。 ⚫︎挿絵のあるお話に◆をつけています。 ⚫︎外伝「隣国は科学世界 ー隣国は魔法世界 another storyー」もよろしくお願いいたします。

処理中です...