勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん

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第56話 勇者に選ばれたのは

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結局、話しあいの結果、カイト達のパーティは解散する事になった。

マリアは、残りの人生を救世……教会に所属し回復師(ヒーラー)としての人生を送るようだ。

リタはというとマリアの護衛をしてその旅に加わるそうだ。

そういう人生も良いのかも知れない。

そして、二人の旅にリアもついて行く事を決めた。

案外、二人よりは事務仕事が得意そうだからこれはこれでよいかも知れない。

バランスがとれている。

そして、勇者パーティが解散した事により俺の仕事は無事終わりを告げる事になる。

最後の報告書を作り、冒険者ギルドを介して国に、教会に報告して無事、お役御免となる。

長いようで短い旅だった。

パーティ解散の理由は『性格の不一致』で連携がとれない。

そう報告書を仕上げた。

流石に性病については書くのはやめた。

最後までカイトから三人に謝罪は無く……

『この世界にゃ、お前達より綺麗な女は沢山いるからな……』

のカイトの捨て台詞に三人が

『最低』

『見損なったよ!』

『カイトなんて好きになるんじゃ無かった』

と応対して終わった。

◆◆◆

俺は三人を見送る為に街はずれまで来ている。

「マリア達は何処に行くんだ?」

「そうね、折角だから、まず最初は聖都に行ってみようと思うのよ! そこで修行して腕を磨くわ! 聖都なら三人一緒に腕を磨けるからね」

「うん、僕は聖教騎士団で修行するつもり」

「私も魔法の腕を磨くわ」

魔王討伐をしない今、実戦より地道に力をつけた方が確かによいかも知れない。

「多分、もう会うことは無いだろう。幸せにな」

「「「リヒトもね」」」

三人を見送り、俺はカイトが居る宿屋へ向かった。

◆◆◆

「それでカイト……これはどう言うつもりかな?」

俺にはどうしても気になっていた事があった。

「どう言うつもりとは? 何が言いたい!」

「お前、本当は性病なんかに掛かってないだろう? あの五人ともヤって無いよな?」

「どうして、そう思うんだ?」

あの子たちはオークの苗床になっていた。

オークのペニスは人間の拳くらいある。

そんな物を突っ込まれていた人間相手にヤレるわけがない。

「オークの苗床にされていた人間は……出来ないだろうが」

「いや、やったよ……裸で抱き合って手で抜いて貰った」

それなら性病になんてならないよな。

「だったら性病になんてなってないよな?」

「そうだな! 最後までヤッたなんて俺は言ってない……心が今にも壊れそうだし、恐怖にさいなまれていたから、裸で抱き合った。手でして貰ったのは……自分を卑下していて寂しそうだから、そう言う行為をしただけだ、まぁ最後までしなくても愛する形もある……それを伝えるためだ」

「話は解ったが、それならなぜ三人にそれを言わなかったんだ」

「なぁ、リヒト……お前は俺が魔王に勝てると思うか? 本音で言ってくれ!」

恐らく勝てない可能性が高い。

どう考えても伝説で聞く勇者には届いてない気がする。

「……多分勝てない」

「だろう? それなら4人で死ぬことは無いって! 俺一人が死ねば良い事だ」

「カイト……お前……」

「全員で逃げたら、それなりに責任を皆が追う事になるよな? 俺が馬鹿やってパーティを解散して、俺が一人で魔王と戦うと言うのなら……彼奴らが責任を負うことは無いよな」

「それじゃ……」

「ああっ、単独勇者になって魔王城を目指すさ……まぁ俺は恐らくたどり着けずに死ぬだろうが……彼奴らは助かる……これで良いんだ」

「なぜ、そこ迄……」

「俺が死ぬ事で、幼馴染で自分の女のあいつ等が助かるなら安いもんだ」

「そうか……」

こいつ本当に変わったな。

「お前……カッコ良いよ」

「そうか」

カイトが勇者に選ばれたのが解った気がした。


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