勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん

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第51話 勇者カイトSIDE 犠牲①

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まさか、両方とも居たのか。

深く潜っていくと……オークキング、オークジェネラルが居た。

しかもそれだけじゃない。

オークナイトまでいやがる。

まるでオークの王国みたいだ。

途中から隠密行動をとっていたから、相手は気がついていない。

俺達か気がつかれないようにヒソヒソ声で話す。

『どうする? 引くかやるか? これは危ない話だ。皆の意見を聞きたい』

『これを野放しにしたら、大変な事になるわ。 やらない選択は無いわ』

『そうだね、これは野放しに出来ないね』

『正直、怖い……だけど逃げる選択は無いよ』

正直に言えば体が震えている。

俺が死ぬ分には構わない。

だが、俺のパーティは俺を除き女だ。

死より辛い事が負ければ待っている。

実際に前にゴブリンに遅れをとって危なかった事がある。

だが……それでも俺達は勇者パーティだ。

ヤルしかない。

仲間が腹を括った。

それならば、俺が臆病になっている場合じゃない。

俺は……勇気ある者。

勇者なのだから!

『リタ、今回はリアとマリアを守っていてくれ』

『リアは後方支援で攻撃魔法』

『マリアは待機、もし誰かが負傷したら回復にまわってくれ! 俺が突っ込むから!』

俺は剣を構えそのままオークの群れに突っ込んでいった。

「キサマドコカラアラワレタ、コロセ」

オークキングが俺に気がついて命令を下してきた。

「フッ、ニンゲンガ、コノニンズウニカテルトオモッテイルノカ」

オークジェネラルが高笑いしているのが解る。

「ワタシガキリステテヤロウ」

オークナイトが自信満々に俺を斬ると言ってきた。

確かに女三人を含む四人パーティだから甘く見たんだな。

だが、俺は勇者だ!

冒険者じゃない。

オークを前にしたからか、心がたかぶった。

目の前のオークを斬り伏せ、すぐに次のオークに向かう。

俺がオークを斬っている間にも、後ろからファイヤーボールが飛んでいき、近くのオークが燃えていく。

ほぼ固定砲台となったリア、それを守るリタ。

この布陣は鉄壁で崩せない。

自分でも驚くほどに体が動く。

オークを数体斬り殺した先に、そいつが居た。

「オレハオークノキシ……ジンジョウニショウブダ」

「これほどの人数相手に戦って居るのに今更だ! オークは只の害獣だ!」

「ソウカ……ナラバシネ」

だが、今の俺にはオークナイトの剣ですら、ゆっくりに見えた。

オークナイトの剣を弾き、そのまま首を斬りに行く。

「ギャァァァァーーッ」

断末魔の声をあげてオークナイトの首を斬り落とした。

その間も、俺の後ろからはファイヤーボールがオークの群れに降り注ぐ。

オークは瞬く間に数を減らしていき、オークキングとオークジェネラル……その周辺のオーク以外既に死んでいた。

「ハァハァ、残りはお前達だけだ……」

「フッハハハハハ」

オークキングが笑った気がした。

「……?」

「コレデモオマエハキレルノカ……デキナイダロウ」

残ったオークたちは、裸の女を大きな木の盾に括りつけていた。

「なっ……」

そうか、オークは人間の女を苗床にしている。

それを使ってきたのか……

ヤバいな、リアが動揺してファイヤーボールを止めている。

まだまだ沢山のオークが居る。

リタも動揺している。

「助けて……助けて……」

「いやぁぁぁぁーー助けて」

苗床になっていたせいか、女は皆壊れているようだ。

不味いな。

後方で戦っている俺の仲間は『女』だ。

「グハハハハッ……ケンヤツエヲステロ、コノジョウタイデタタカエマエ」

ヤバいな。

このままじゃ、リタが剣を捨てようとしている。

「ごめんね……助けてあげれなくて」

心から女に謝った。

此処で俺が剣を捨てても、彼女達は助からない。

ただ、俺の幼馴染三人が苗床になり、俺が死ぬだけだ。

勘違いしちゃいけない。

「豚野郎! 地獄に落としてやる!」

そう叫び、盾をよけながら斬った。

だが、オークは狡猾だった。

俺の太刀筋に盾を持ってくる。

「そんな……ぐふっ……」

そのまま斬るしかない。

間違っちゃいけない。

これしか方法が無いんだ。

「キサマタチハ、オナジニンゲンヲギセイニスルノカ」

俺に対して、女の盾が意味をなさないと解るとオークたちは盾を手放した。

人一人縛り付けた盾は重いのだろう。

「此処までの事をしたんだ……お前等は絶対に許さない! 全員皆殺しだーー」

◆◆◆

「ハァハァ、ゼイゼイ」

オークジェネラルやオークキングも含み。

全員を斬り殺した。

一人目の女性を斬った時にオークたちは女を括りつけた盾を投げ捨てたから……犠牲者は1人だけですんだ。

「ゴメン」

斬り捨てた女の子1人の死体に手を合わせた。

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