勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん

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第48話 変わるリア

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最後はリアだ。

リアは良くいえば天真爛漫。

悪くいえば、甘ったれで我儘だ。

そして……流されやすい。

他の三人とは流石に違う気が……

「ファイヤーボール」

近くの森で、ひたすらファイヤーボールを撃っていた。

此処暫く、こんな姿を見ていなかった。

いや、勇者パーティを組んでから、修行をしっかりしている場面なんて見た事は無かった。

これが、本当にリアなのか?

森の中を走り回りひたすらファィヤーボールを撃っていた。

「ハァハァ、ファイヤーボール」

恐らくまだ呪文は一つしか使えないのかも知れない。

だが、こうやって動き回り魔法を使っていれば、体力や魔力がつく。

地味だけど良い練習だし、基本と言えば基本だ。

本来当たり前の事だが、リアが行っているのを見るのは新鮮だ。

「ファイヤーボール……あれ、リヒト……どうかしたの?」

「いや、ただ様子を見に来ただけだから……」

「そう、それなら休憩しようかな?」

「皆もそうだけど、随分頑張っているね」

「直接被害にあっている人を見るとね、少しでも頑張らなくちゃと思うんだ。皆もそうだけど、あの日にリヒトに言われた『勇者の旅は救世の旅。人々を救う旅でもあるんだ。その旅の中でオークやオーガ等に襲われている村や町を救う。助けてあげれば『勇者様ありがとう』となる。その反面、今みたいにサボっていると、村や町が滅んで『なんで勇者様来てくれなかったの』と生き残った人に一生恨まれる。そのうち、歩くだけで石をぶつけられるようになる事すらある。それが嫌なら『死ぬ程努力する。それだけだ』って奴。あれが後になって心に響いたんだよ。実際に数人だけど、魔族の被害にあった人を見ちゃうと『やらなくちゃ』そう思ったんだよ!』

やはり女神が選んだだけの事はある。

根底の部分は四人とも腐ってなかったんだな。

「そうか……」

「今更だけどね。 あと言っておくけど、前みたいに爛れた生活は今は送ってないよ? 馬鹿みたいに、暇さえあればやりっぱなしなんてしていないからね。いつ、遊びに来ても大丈夫だから」

以前は尋ねるといつも、行為の跡だったもんな。

「随分、生々しいはなしだな」

「いや……私だって恥ずかしいけど、散々みっともない所見られちゃったから、弁明位はしておこうと思って……」

「まぁ解ったよ」

もう爛れた生活送って無いのか。

随分と成長した気がする。

もしかしたら、勇者パーティって強くなるだけじゃなく、性格も変わっていくのか?

そう思えてならない。

しかし、四人とも良く変わった。

まさか、リアがこんな短期間でこんなに変わるなんて思わなかったな。

◆◆◆

暫く話していると、リアの顔が今迄以上に真剣な顔のなった。

「それで、リヒトはどの位まで私達のサポートが出来るの?」

まさかリアから聞かれると思わなかった。

「そろそろ、限界に近い……」


今現在、この近くに居る魔物はオーガ。

冒険者が普通に対処できるギリギリの魔物だ。

それは俺も同じだ。

「そうだよね……そろそろお別れが近いよね」

「ゴメンな……俺は四職じゃないから、オーガを狩るのが限界なんだ。それに何処からも支援が貰えないから、金銭的な事もある。恐らくあと、村を二つ越えた次の街辺り……城塞都市ギルメド辺りで離れる事になると思う」

「そうだよね、あそこが人間が普通に暮らせるギリギリの街。そこから先は魔物どころか魔族すら頻繁に現れる場所だからね」

大体、ギルメドの街ですら、大きな城塞を築いて魔族や魔物を防いでいるんだ。

以前のカイト達なら、もっと手前で終わらせるつもりだったけど、ギリギリまではついて行く気になったんだ。

だが、どう考えても『そこが限界』それ以上は無理だ。

「まぁ、俺はただの人間だからな。どんなに鍛えても其処から先へはいけないよ」

「そうよね、わかったわ……そうすると、事務や手配も其処から先は自分でしないとならないのね」

「そうだな……すまないね」

「良いのよ、確かに、その通りだね……悪いけど、どうしたらよいか教えて頂戴ね」

悪いけど……随分変わったな。

「了解」

修行の邪魔をしちゃ悪いのから俺はその場をあとにした。


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