勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん

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第29話 盗賊討伐依頼 終了

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人を殺すのは思った以上にストレスが溜まっていたようだ。

盗賊っていってもいたいけな子供だった。

頭の中に未だに嫌悪感がある。

だが、冒険者だから仕方が無い。

これも仕事なんだから。

今、村から悲鳴が聞こえてくる。

俺が火をつけたからだ。

運が良かった。

今夜は風が強いから火の回りが早い。

村が火の海になっているのが此処からでも見える。

恐らく、今は一生懸命火を消している状態だ。

この作戦の肝は実は火じゃない。

人間は火事にあうと汗をかくからか、水が欲しくなる。

火事で死んでいく人より喉が渇きその後、水を飲み死んでいく人の方が多い。

これは冒険者のゼウスさんから教わった方法だ。

こんな方法は、他の誰からも聞いた事が無い。

ゼウスさんは言っていた。

『盗賊に人権は無い。だから殺すと決めたら魔物だと思って殺せ』

そして、その話の流れで、負けた場合、自分がどうなるか、仲間がどうなるか。その悲惨さを語っていた。

だから、俺は容赦しない。

しかし、本当にあの人は凄い。

冒険者の戦い方やスタイルは皆が秘匿して教えてくれないのに、親切に教えてくれるんだよな。

かなり待っているが、こちらに来る者はいない。

今の所は誰も来ない。

だが、もう暫く様子を見た方が良い。

飲み水に放り込んだのは、やや遅効性の毒。

即死性の毒だと最初に死んだ人間が出た時点で、残りの人間が飲まない。

まだだ。

火事が治まり、声が聞こえなくなったその時まで待つんだ。

「ハァハァ」

「なんだ、あの火事は、それに水に毒が入っていた……ハァハァ誰かが火をつけたんだ。仕組まれたんだきっと」

「なんでこんな目に私が合わないといけないのよ……この前は盗賊に襲われて、今度は何者かに襲われて……」

「まぁ、これで盗賊たちも終わりだ、散々良い思いもしたんだから良いじゃないか?」

「そうね」

少し、心が痛んだが『良い思いもした』そう言ったのだから、盗賊だ。これで此奴らを殺すのに躊躇はなくなった。

「どうして、こんな目に遭うのか? 最初の1回目の時は不幸だったかも知れない! だが、そこからはお前達が『盗賊』になったからだ」

「なっ、貴様が焼き討ちをしたのかこの悪魔……」

俺は話している最中に男の腹を裂いた。

裂いた瞬間、体から内臓が飛び出す。

もう終わりだ。

人間なら首位簡単に跳ねられるが、少しでもリスクを抑えるために胴を狙った。

「盗賊の話など聞く必要は無いな」

「待って、私は逆らえなかったの! 盗賊に襲われた状態で服従以外なにが出来るのよ! 私はいたいけな女なのよ……」

「同情はする。だが、この村が盗賊村になって数年、どう考えても逃げるチャンスはあった筈だ! それにその間に何人もの人間が殺された情報がある」

「私達になにが出来るっていうの! 怖くて逃げられなかったのよ」

「違うな……あんたの服装を見れば分かる。そんな立派な身なりをしている時点で、あんたは盗賊だよ! 最初は奪われたのかも知れない。だが、あんたはいつも間にか奪う側になった。村娘じゃ絶対にそんな贅沢な身なりは出来ないからな」

「そんな……」

「それに、俺は冒険者だ! 勇者や英雄じゃない。法律で決まり、全員殺す依頼が来たからここに来た。悪いが生死の判断は俺は出来ない……ごめんな」

「お前なんか……」

少し同情した。

だから首を跳ねた。

これなら楽に死ねる。

もう一人は……

「俺は何も言わない! 元はこの村の農夫だったが、盗賊に襲われ妻を犯され親父は殺された! 最初は恨んでいたが、気がつくと俺も盗賊になった……女も犯し殺したし、男も殺し、その恩恵に預かった! だが、後悔はしていない! 死ねーー」

何を言おうが盗賊だ。

俺は腹を裂くように斬り殺した。

「ううっ、痛ぇぇぇ」

内臓が飛び出しているから、もう助からないだろう。

村の方からの声がしなくなったから、男に背を向け俺は村に向かった。

◆◆◆

しかし、最初に子供を殺した時と違い吐き気に襲われない。

随分慣れたものだ。

そう思っていたが……

村の惨状を見た瞬間、吐き気が俺を襲ってきた。

水を飲んで毒が回って死んだ死体が山ほどあり苦悶の表情で死んでいた。

何かを恨んで死んでいった顔をしている。

火で焼けた黒焦げの死体。

見た瞬間戻しそうになった。

だが、それでも、虫の息だった者に俺は情け容赦なく止めを刺した。

これで良い。

盗賊の討伐はこれで終わりだ。

通信水晶という画像と音声が送れる水晶を使い、村の状況を撮影しながら討伐が終わった事を冒険者ギルドにも報告した。

討伐後の盗賊の持ち物は討伐者の物なんて時代もあったが、今は違う。

この村の討伐が終わった報告をすれば、残った金品は冒険者ギルドが回収して、その土地の領主と半々で分ける。

そのギルドの取り分の10パーセントが貰えるらしいから、全体の5パーセントが俺の取り分。

尤も此処まで燃やしてしまったからかなり少ないと思う。

あとは冒険者ギルドの回収専門要員が来るのを待って、本当の意味での依頼も終わりだ。

◆◆◆

夜が明け、お昼位になる頃、冒険者ギルドの職員5人が到着した。

余り、死体を見たくないから、村の入り口で野営しながら待っていた。

「貴方が今回の依頼を受けた、リヒト様ですね」

「ハイ……」

眠い目をこすりながら返事をした。

「お疲れの所すいませんが、現状を見させて頂いて宜しいですか? 」

「どうぞ……」

村の光景を見るなり職員は驚きの表情になった。

「こんな残酷な方法で討伐したのですか?」

「盗賊は人間でありませんから」

そう笑顔で答えた。

「こんな燃やしてしまっては、折角の戦利品が勿体ないですよ」

「流石に一人でこの人数を相手に出来る力は有りませんので、問題はないですよね?」

「問題は確かにありません……」

「そう、 良かった。 それなら疲れたので街に戻って休みたいのですが宜しいですか?」

「生き残りがいないのが今確認取れましたので、依頼終了です。 こちらの書類にサインして頂いてもう帰っても大丈夫です」

「ふわぁあ、後はお願いいたします」

あくびをしながら答え俺はサインをしてその場を後にした。

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