上 下
10 / 60

第10話 旅立ち

しおりを挟む

「それで、良くあたいのツケを含む金を払えたな…リヒトも金なんて無いだろう?」

「それは体で返す約束でどうにかしました」

「体で…まさか?」

顔を赤くしているから絶対に変な事考えていそうだな。

「いやレイラ姉さんの思うような事じゃ無くて、カイト達勇者パーティの手伝いをする約束で貰い受けたんだ…」

「成程、それじゃ仕方ねーな! あたいも一緒に戦ってやる」

そんな物騒な事…俺はしない。

大体、凄腕の冒険者ゼウスのおじさんも言っていたもの。

『強い物と戦わない』のが冒険者。

充分な安全領域を保ち、自分が絶対に失敗しない所で戦う。

そうしない奴は死んでいくって。

「いや、一緒には戦わないよ、俺はただ旅のサポートをするだけ、まぁ野営の時の見張りはするかも知れないけど、それ以上は関わらない!」

「あのさ、カイト達は幼馴染で友達じゃないのか?」

「友達で幼馴染だけど…親友じゃないから、利害関係でしか考える必要ないよ」

「どういう事?」

「だって、友達だって言っても人生の中で子供の時に少し遊んだだけ…レイラ姉さんが知っての通り俺は大人に混じって仕事ばかりしていたから、そこ迄親しくないよ」

「まぁ、言われてみればそんな気がするよ」

「でしょう?貸し借りも友情も無い、ただ子供の頃遊んだ顔見知り相手に命まで賭けられない、だから魔国までお世話をして、そこでお別れ!それだけの事です」

「随分とまぁ、ドライだな!」

「ある意味、俺の仲が良いのはレイラ姉さん…他は冒険者のゼウスさん、ついで、一緒に働いて居た大人の村の人…ほら、全然仲良く無さそうじゃない?」

「ありゃ…そうだなリヒトが遊んでいるのは…うん見た事が無い」

「でしょう? だからレイラ姉さんが絡んで無ければ1人で旅立ってどこかの街で冒険者として暮らす、そんな人生ですよ」

「あっなんだか、ゴメン」

「まぁ、気を取り直して…という訳で暫くしたら一緒に旅立ってねお願い」

「まぁ、あたいは奴隷だから構わないけど? あたいは一体何をすれば良いんだ!」

「まずは、俺とパーティを組んで、ゴブリンやオークの討伐…まぁまずはそれ位かな、ゆくゆくは嫁さんに…」

「あはははっブレないね…まぁ良いや、一緒にパーティを組んで一緒に討伐…それで良いんだ…良いよ」

「それじゃ頼んだよ!」

「解ったよ」

これで話は纏まった。

◆◆◆

俺はもうこの村に戻って来ることはない。

田畑を手放して…家を中身ごと買い取って貰う。

これでもう此処での日々は終わりだ。

カイト達勇者パーティを送っていくなか、住みやすい場所を見つけそこに住めば良い。

◆◆◆

「それじゃ、カイトまずは何処に向かうんだ?」

「そうだな、まずは隣町に行って装備を整え、少し弱い魔物を討伐しようと思う」

「解った、それじゃ俺は先に隣町に行って拠点となる宿屋他の手配をしておくから2日間程後にきてくれ」

「なんだ、一緒に行かないのか?」

「ああっ、先に出て、街を調べて色々と手配した方が多分旅は快適だぞ」

「そう言う物か?」

「そういうもんだ…それじゃ、あと、パーティをどうするか決まったか?通常パーティかハーレムパーティか?」

「それが…まだな…」

「そうだな、街に行くまでには決めておくよ」

「こればかりは早く決めて置いて貰わないと困るからな…それじゃ俺達は今日にでも旅立つから、2日後に隣町の冒険者ギルドにお昼過ぎに来てくれ」

「解ったよ、皆で行く」

「それじゃ、待っているからな」

こうして勇者パーティに先んじて俺達は旅に出る事にした。

◆◆◆

「あたいの方も整理は済んだよ…とは言っても家はとうに借金の方に入っていたから身一つだけど…」

「それじゃ行こうか」

「ああっ」

こうして俺達は村を離れた。










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。 城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。 速人は気づく。 この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ! この世界の攻略法を俺は知っている! そして自分のステータスを見て気づく。 そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ! こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。 一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。 そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。 順調に強くなっていく中速人は気づく。 俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。 更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。 強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 カクヨムとアルファポリス同時掲載。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

ブリードスキル いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……

石のやっさん
ファンタジー
虐められ自殺までした僕が異世界転移......もう知らない。 主人公である竜崎聖夜はクラスで酷いイジメにあっていた。 その執拗なイジメに耐えかねて屋上から飛び降り自殺をした瞬間。 聖夜のクラスが光輝き女神イシュタスの元に召喚されてしまう。 話しを聞くと他の皆は既に異世界ルミナスに転移ずみ。 聖夜は自殺し、死んでいたので蘇生したぶん後になったのだと言う。 聖夜は異世界ルミナスに行きたくなかったが、転移魔法はクラス全員に掛かっているため、拒否できない。 しかも、自分のジョブやスキルは、クラスの情報でイシュタスが勝手に決めていた。 そのステータスに絶望したが……実は。 おもいつきで書き始めたので更新はゆっくりになるかも知れません。 いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません…… からタイトルを『ブリードスキル いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……』に変更しました。 カクヨムコン9に出品予定でしたが、期間内に10万文字まで書けそうも無いのでカクヨムコン出品取り消しました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで日間・週間・月間総合1位獲得!ありがとうございます。 社畜として働き、いつものように寝て起きると、俺はゲーム『ブレイブクエストファンタジー』とよく似た世界のモブ『ゲット』に転生していた。俺は物語序盤で盗賊に襲われて死ぬ運命だ。しかも主人公のダストは俺を手下のようにこき使う。 「主人公にこき使われるのはもうごめんだ!死ぬのもごめんだ!俺がゲームのストーリーを覆してやる!」 幼いころから努力を続けていると、ゲームヒロインが俺に好意を寄せている? いや、気のせいだ。俺はしょせんモブ! 今は死亡フラグを解決する!そして次のステップに進む! 一方、同じく転生したダストは主人公キャラを利用して成り上がろうとするが、ダンジョンのお宝はすでに無く、仲間にするはずの美人キャラには見限られ、努力を嫌ったことでどんどん衰退していく。

処理中です...