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第68話 夢の中でも
しおりを挟む「聖夜くん……聖夜くんったら起きてよ!」
う~ん、今寝たばかりなのに……
「もう聖夜くん、これで起きないなら……えぃっ」
お腹の当たりになにかの重みを感じた気がする。
「重いなぁ……全く、一体……えっ来夢!?」
「そうだよ、聖夜くん……えへへっどうかな?」
どうかなって……緑黒の綺麗な髪を黄色のリボンで縛ったポニーテール。
ふくらみかけの胸にバレエでもしてそうな、しなやかでスレンダーな体つき。
そんなまるでロリコンアニメのヒロインみたいな女の子が透けたピンクのキャミソールで、僕のお腹の上に乗っている。
しかも、パンティまでピンクのスケスケで見ちゃいけない物が全部見えている。
「まぁ、いつもと同じだよ!見ているだけじゃ……」
ふに、ふに……
「なっ……なんで感触があるんだ……」
「ふふっふん! サキュバスは夢魔なのよ! 例え体が無くても夢の中に入りこんで逢瀬位出来るのよ……今迄随分な事を言ってくれたね……聖夜くん。今日からは来夢が搾りとってあげるから覚悟しなさい!」
そういうと来夢はさっさとキャミソールを脱ぎ捨て僕に跨ってきた。
「はぁはぁ……もう駄目……死ぬ…」
「もうだらしないわね! まだ20回しかして無いのに……」
僕は初めて本当の意味でサキュバスの恐ろしさを感じた。
理想の姿、理想の声……そして甘い香りにとんでもない快感。
自分が死ぬんじゃないか。
そういう状態なのに、体が来夢を求めて勝手に動きだす。
「本当に駄目だって……」
「そう言いながら体は正直ね。まだ私を求めているじゃない? ねぇ聖夜く~ん」
多分、普通の人間ならこの快楽に飲まれて、きっと吸い尽くされて死ぬんじゃないかな。
ただ、僕はインキュバスみたいな物だから、この快感に耐えられて、生命の危機にも気がつけたのかも知れない。
「僕が悪かったから……」
「解かれば良いのよ! 私はこれでもサキュバスの王族なんだからね。中層のインキュバスなんて簡単に逝かせられるんだから、それこそ、本気になれば30秒で……」
「解ったから」
サキュバスやインキュバスの事が嫌ってほど解った。
相手の理想の姿形、声で……考えられない程の快感を与えてくる。
今の来夢は、僕が見たロリコンアニメの主人公が本当にいたら、こんな容姿だろうという容姿で、そのアニメの声優の声で……とんでもない事をしてくる。
これに逆らえる人間なんていない。
恋愛強者の意味がようやく解った。
『理想を越えた理想の存在』そして更にエロイ。
こんな存在が相手なら、夫婦であっても恋人が居ても無意味だ。
限りなく理想に近い恋人や妻が居ても、全てにおいて理想の人間なんて存在しない。
例え、彼女や妻が居ても、自分の好きなアニメや小説から飛び出してきたような少女や、憧れのアイドルを更に『理想』にしたような存在には勝てないだろう。
サキュバスやインキュバスは『その存在になってしまう』
こんな物絶対に誰も勝てない。
「あとこれはね……夢の中の事だから、現実じゃないの。 だから、私の食事にはならないからね! ううん……寧ろ消耗しているから食事おねがい」
どう言う事だ。
◆◆◆
クソっ最低だよ……
あれは夢の中の出来事。
それじゃ実際は……
亜夢に気がつかれる前に僕はこっそりパンツを洗った。
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