ブリードスキル いじめられっこ覚醒! いじめられスキルで異世界でも怖くありません……

石のやっさん

文字の大きさ
上 下
63 / 73

第63話 正体不明

しおりを挟む
奴隷商の男を呼び出して話を聞いてみた。

「この子なんだけど……」

「ああっ、それ……そろそろ廃棄予定の奴だな。まさか買うのか? 欲しいなら無料でやるよ! 尤も国の決まりで奴隷紋を刻まなきゃならないから銀貨3枚は掛かるけど……冗談だ! こんなの買うわけないな」

「いや、確かにそうだけど、なんでこんな状態で此処に居るのか気になったんだ」

「魔族と王国が今戦争が激化しているのは知っているよな? 魔族の屋敷を攻略をした時に地下室に他の奴らと共に居たらしい。全部で幾らという取引きだったので引き取らざる負えなかったんだ」

そうか……もう死ぬのも時間の問題だな。

「そうですか」

「布でもかけて使おうとしても無駄だぜ! あそこも、肛門も悲惨なもんだ。尤も鎧の上から火で焼かれたのか、恐らく他の体も大火傷状態だ……いつ死んでもおかしくない」

これは幾らなんでも駄目じゃないかな。

もう息をしているだけの死人にしか見えない。

『これはどう考えても助からないな』

『この子は死なない。それは保証してあげる』

『この状態で死なないのか』

『絶対に死なないわ。それは保証してあげる……さぁどうする?』

『どうするって……彼女について教えて貰えないのか?』

『そうね、彼女は『裏切り者』全てを裏切った存在。何故此処に居るのか解らないけど……私はギャンブルが好きなのよ! ここから先は貴方が買ったら教えてあげる。逆に買わないなら何も彼女について話さないわ』

目の前の彼女を見る。

元は凄い美人だったかも知れない。

だが、今は手足は無く目も抉られていて無い。

鎧から両目が無い首が生えている状態だ。

しかも聞いた情報では、体も火傷状態。

リリアの時とは違う。

リリアは顔は焼けていても家事は出来て手伝って貰う事が出来た。

この子は……何も出来ない。

恐らく、こちらが介護しなくちゃならない。

だが……この子の謎が凄く気になる。

「無料なんですよね……なら買います!」

「マジか……お前さん、そんな顔して変態かよ。まぁ良い廃棄する手間が省けて奴隷紋代が手にはいるんだ文句はない。そら銀貨3枚寄越して、このナイフで指を切って血をくれ……あとその状態だから直ぐに死んでも保証は無いからな」

「解りました」

つい勢いで買ってしまった。

同じ様な過ちを前にもしたような気がするけど……まぁ良いか。

◆◆◆

しかし、周りの視線が痛いな。

そりゃそうだ……手足が無く両目を抉られた女の子を抱えていれば、そういう目で見られても仕方が無い。

ちなみに、もう2回も憲兵に声を掛けられた。

奴隷紋と書類がなければ、牢屋に入っていたかも知れない。

宿屋に帰る前に一旦、外に出て草原に来た。

流石に、彼女を抱えたまま街中で来夢と交信したく無いし、事情を知らない状態で宿屋にも戻りたくない。

『さぁ来夢、彼女を購入したよ。どう言う事か教えてくれ』

『そうね、彼女を購入した事は貴方にとって運命の分かれ目だった。これは確実よ!』

『それで彼女は一体誰なんだ! 賭けとはどう言う意味があるの?』

『そうね、もう運命のサイは投げられてしまったのね。まずは奴隷紋の時の様に指を切ってから血を彼女に飲ませて』

『え~と』

『良いから!』

頭に浮かぶ来夢が怖い顔をしていたのでいう通りにした。

すると彼女はまるで赤ん坊が母親の胸からミルクを飲む様に僕の指の血を飲み始めた。

『これで良いの?』

『ええっ、良かったわね。まずは最初の賭けには勝ったみたいね……あとは、これから起こる現実を受け入れられるかどうかね』

『何が起こるの』

『それは後日のお楽しみよ』

結局来夢にはぐらかされ、彼女の正体は教えて貰えなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果

yuraaaaaaa
ファンタジー
 国際ショパンコンクール日本人初優勝。若手ピアニストの頂点に立った斎藤奏。世界中でリサイタルに呼ばれ,ワールドツアーの移動中の飛行機で突如事故に遭い墜落し死亡した。はずだった。目覚めるとそこは知らない場所で知らない土地だった。夢なのか? 現実なのか? 右手には相棒のヴァイオリンケースとヴァイオリンが……  知らない生物に追いかけられ見たこともない人に助けられた。命の恩人達に俺はお礼として音楽を奏でた。この世界では俺が奏でる楽器も音楽も知らないようだった。俺の音楽に引き寄せられ現れたのは伝説の生物黒竜。俺は突然黒竜と契約を交わす事に。黒竜と行動を共にし,街へと到着する。    街のとある酒場の端っこになんと,ピアノを見つける。聞くと伝説の冒険者が残した遺物だという。俺はピアノの存在を知らない世界でピアノを演奏をする。久々に弾いたピアノの音に俺は魂が震えた。異世界✖クラシック音楽という異色の冒険物語が今始まる。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この作品は,小説家になろう,カクヨムにも掲載しています。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...