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第37話 リリアSIDE 可愛いと言うのなら

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寝てしまわれましたわ。

この方は一体どう言う方なのでしょうか?

この顔の私を見ても普通に接してきます。

奴隷……それも誰も買い手がつかなかった最悪の醜い奴隷。

あの奴隷商でも晒し物、見世物のように扱われてきた存在。

多分、購入する人が居ても……普通には扱われない。

実際に奴隷に落ちる前でも、給金は叩かれ、酒場でも裏方仕事を半値以下でしていましたわ。

私が人として生きていたのは、お父様がいた頃だけ。

その時も……メイドの子と蔑まれてきました。

ここでもまだ地獄が続く。 そう思っていましたわ。

ですが……介護と言いましても、目が見えないだけでそこ迄大変な物じゃないです。

私みたいな者に介護させる位ですから、良くて寝たきり。

最悪、疫病患者かも知れない。

そこまで覚悟していましたが……蓋をあけてみれば、目が見えないだけの人間二人の介護。

拍子抜けでしたわ。

酒場で下働きを夜遅くまでして母の看病をしていた時に比べれば楽ですわ。

あの時は……殆ど寝ていませんでしたから。

それに、私は本当に奴隷なんでしょうか?

そう思う待遇です。

ご主人様と同じ物を食べ、同じように椅子に座り……お土産と称して砂糖菓子や果実水まで買って貰える。

そして寝るのはベッドです。

これは……どう考えても平民の中でもそこそこ裕福な暮らししている人となんら変わりません。

こんな醜い女買って貰えただけでも感謝しないといけないのに、この待遇です。

本当に困ってしまいます。

私はこの顔になってから、愛された事がありません。

『好きだ』『愛している』そう言っていた方もいましたが、この顔になった途端に去っていきましたわ。

そんな私に聖夜様は普通に……ううん、違いますね。

明らかに優しく接してくれます。

当人はそう言うと否定しそうですが、明らかな『優しい』そんな人です。

聖夜様は顔に傷はありません。

ですが、体には信じられない程の傷があります。

特に太腿の所にある傷は、私の顔の火傷に匹敵する位酷い傷です。

だから、なのでしょうか?

私の顔を見ても、嫌な顔一つしないで接してくれます。

いいえ、それ処か……

『凄く綺麗で可愛くて、性格も良いから本来なら100点満点の女の子だよ。だけど、顔が焼けているから1点マイナスで99点。ちなみに辛口だからアイドル、この世界じゃ歌姫っていうのかな? そんな女の子でも60点しかつけたことは無い。ちなみにライア王女が40点位で、あの二人は30点位かな……本当は人に点数なんてつけちゃいけないんだけど、敢えていうなら、そんな点数になる。 僕にとって顔が焼けているなんてそんな物だよ』

これ、凄い……殺し文句ですわ。

だって……あの美姫と名高いライア王女が40点なのに私が99点なんて……

しかも、真っすぐに私を見つめて真剣に、そして愛おしそうな目で見つめてくるのです。

元々奴隷だから拒否権なんて無いのに……

それなのに、こんな口説き方されたら……

もう応えるしかありません。

違いますね……きっと私も聖夜様の事が好きなのだと思います。

私は顔が醜くくなっても、決してそういう女じゃありません。

ですが……こんなに大切にしてくれたなら。

此処まで優しく誠意をもって接してくれるなら……受け入れたい。

そう思ったのですが……

「そうですの……そこまでおっしゃられるなら私も女として、しっかり伽の相手も……痛っ、なにしますの?」

軽く頭を叩かれてしまいました。

「そういうのはまだ良いから……ほら、もう夜も遅いし寝よう」

「……解りましたわ。ですが、私は何時でも聖夜様を受け入れる準備は……」

「早く寝ようか?」

「わ、解りましたわ」

そして、聖夜様は……私に背を向けて寝ていますわ。

仕方ありませんね。

私は聖夜様の背中にしがみ付くようにしましたわ。

夜は寒いし……こんな私でも好きなのですから、この位宜しいですよね?

だってライア王女の倍以上私が可愛いと言うなら……嬉しいですわよね。

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