31 / 73
第31話 朝の日常
しおりを挟む王都で暮し始めて3日が過ぎた。
ハァハァ……
また、この夢か。
もう慣れた。
眠る度に、あの嫌な光景が思い出される。
もう、終わった事なのに……
まだ忘れられないのか。
横を見ると塔子と綾子が寒いからか僕にしがみ付いて眠っている。
ほぼ下着みたいな薄着、胸やら下腹部があたっていて……男って厄介だ。
別に好きでも無いのに、下半身はしっかり反応している。
「う~ん、暗いよ怖いよ.....」
「う~ん……見えないよ……目が目が」
僕には、此奴らを抱く権利はある。
今現在は僕の奴隷だし、僕無くして生活が出来ない。
それに僕は……クラスの奴らに犯された事がある。
押さえつけられ服を剥かれた状態で塔子には背中にカッターで切られながら落書きをされた。
他の奴らには、肛門に無理やり試験管をぶち込まれた状態でひたすら腹を蹴られまくった事もある。
『おらおら、しっかり守らないと試験管が割れちゃうぞ』
『割れたら大変だよね? もうまともに、うんちできなくなっちゃうよ? ほらほら』
無理やりねじ込まれた時も痛かったけど、お尻の中で割れるかも知れない。
そう思った時は怖くて仕方が無かった。
体中痣だらけになり、僕が身動きが取れなくなった時……あいつらは……僕に……
『ジッポのオイルかけてみない?』
『え~オイルかけてどうするの?』
『勿論、火をつけるんだよ! 動けない状態の人間でもこれをすると一生懸命手で払おうとしたり悲鳴をあげたりするらしいよ?』
『ううっ、うそうだ……やめて』
『私達が嘘を言うと思う?』
びちゃっ。
『そうれっ』
『ぎゃぁぁぁぁーー熱い、熱いよーー』
僕の肉の焼ける臭いがして、物凄い熱さを感じた。
『きゃはははっ、此奴暴れていやがんの』
『なんだ、まだ動けるじゃん』
『それじゃ、押さえてけてもう一回しようか?』
『面白そうだね』
そう言って面白半分に太腿にオイルを垂らして遊び半分に焼かれた。
それは、僕がどれだけ泣きわめいてもやめてはくれなく、動けなくなるまで繰り返された。
勿論、これは同級生が行った事で……背中を切った時に塔子は居たが、焼かれた時に二人が居たかどうかは、記憶に無い。
僕は男だからレイプされたとは言えないかも知れない。
だけど、これは……ある意味レイプと同じような物じゃないのか?
背中の傷は薄れてきたが、太腿や腕の火傷の後はまだ残っている。
だが……大多数の同級生は死んだ。
大樹達生き残りも辛い人生を送る事になるだろう。
塔子と綾子は僕無くして生活が出来ない。
好きでも無い男に裸や恥ずかしい所を見せながら、逆らえない生活を死ぬまで送る事になる。
もう忘れても良い筈。
だが……心の奥底。
虐められたトラウマは、きっと生涯忘れられない……のかも知れない。
◆◆◆
ハァ~良し、やるか。
この世界の宿屋は、一階に酒場兼食堂があるか台所がついているか、その二択が多い。
やる事が多い僕は一階に酒場兼食堂がある宿を選んだ。
一階に降り、宿屋のおかみさんに食事とお湯を頼む事にした。
「すみません、またお願いしても良いですか?」
「良いよ、あんたも大変だね。 良いよ、あとで持って行ってあげるから」
「いつもすみません」
「別に良いわ、その分余分に払って貰っているからね。商売だから気にしないで」
食事やお湯は別料金が掛かる。
お湯は部屋に運んでくるけど、食事は本来は酒場で食べる物。
部屋まで運んでくれるのは、おかみさんのサービスだ。
「本当にありがとうございます」
僕はお礼を言って部屋に戻った。
◆◆◆
部屋で暫く待つと、食事とお湯をおかみさんが運んできてくれた。
「どうもスイマセン」
「商売だから気にしないで良いからね、だけど本当に大変ね、頑張ってね」
割と好意的に見て貰えている。
さぁ、ここからが本当の意味での朝の始まりだ。
「さぁ、朝だよ! 塔子に綾子、トイレは大丈夫?」
「おはようございます。ゴメン、私トイレ」
「おはよう私も、ゴメンね」
「解った」
ハァ~一応、これがあるから、トイレ付きの部屋を借りた。
少しだけ部屋代が高い。
塔子をトイレの個室迄連れていき便器の前に立たせる。
「はい、ここが便器だから、終わったら次は綾子の番だから、教えて」
「わかったわ……そのいつもごめんなさい」
「いいから、早く済ませてね」
トイレの前でしばし待つ。
「……終わったわ」
「そう……それじゃ今度は綾子の番だ」
「あははっごめんね」
同じ事を綾子にもする。
お金さえあれば、前の世界に近い部屋のように風呂や水洗便所がついた宿屋は借りられる。
だが、そんな所はべらぼうに高い。
泊るのは貴族や豪商。
到底、今の僕じゃ泊まれない。
前の世界のビジネスホテルとかがどれだけ優秀なのかが分かる。
勿論、この宿の部屋についているトイレもぼっとん便所だ。
美少女だろうが何だろうが臭い物は臭い。
二人がトイレから出たあと、貰ったお湯で今度は彼女達を拭きあげる。
「さぁ、さっさと終わらせるからね」
「あのさぁ、私の裸を見て何とも思わないの?」
「聖夜って案外紳士だよね」
男だから興味があるかないかと言えば、間違いなくある。
だが、過去の虐めが原因なのかどうか解らないが、何故かそういう気になれない。
僕にとっての女の子は『男以上に残酷な生き物』そう思える時がある。
僕の背中を最初に切ったのは塔子。
俺を押さえつけて肛門に試験管を突っ込みボコったのも女の子。
男以上に残酷な存在。
そう思える時がある。
だから僕にとって女の子は『可愛くて愛おしい存在だけど化け物みたいに怖い面がある』そう思えるんだ。
「僕は、女の子に……まぁ良いや。取り敢えずは、そう言う事はしないでやるから、ほらさっさと拭くからな」
目が見えないから、自分の汚れに自分で気がつかない。
自分では最低限の事は出来ているつもりなのだろうけど『汚い』
例えばお尻や股に用を足した時の紙がついていたり、それ以外の物も…….
それを丁寧に拭いてやる。
案外、面倒くさい。
それが終わったら、冷めきった朝食を食べさせないとならない。
最初、自分でやると言っていたが、服やテーブルを汚すから僕が食べさせてやる事にした。
「今日は綾子からだな」
「うん……ごめんね」
「良いから、食え、ほらパンだ……あーん」
羨ましい?
これが毎日だと全然楽しくはないぞ。
「今度はスープだ、ほら」
「あーん」
これを綾子と塔子2人に行ってようやく自分の食事にありつける。
これが僕の王都での朝の日常だ。
66
お気に入りに追加
243
あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる