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第31話 朝の日常
しおりを挟む王都で暮し始めて3日が過ぎた。
ハァハァ……
また、この夢か。
もう慣れた。
眠る度に、あの嫌な光景が思い出される。
もう、終わった事なのに……
まだ忘れられないのか。
横を見ると塔子と綾子が寒いからか僕にしがみ付いて眠っている。
ほぼ下着みたいな薄着、胸やら下腹部があたっていて……男って厄介だ。
別に好きでも無いのに、下半身はしっかり反応している。
「う~ん、暗いよ怖いよ.....」
「う~ん……見えないよ……目が目が」
僕には、此奴らを抱く権利はある。
今現在は僕の奴隷だし、僕無くして生活が出来ない。
それに僕は……クラスの奴らに犯された事がある。
押さえつけられ服を剥かれた状態で塔子には背中にカッターで切られながら落書きをされた。
他の奴らには、肛門に無理やり試験管をぶち込まれた状態でひたすら腹を蹴られまくった事もある。
『おらおら、しっかり守らないと試験管が割れちゃうぞ』
『割れたら大変だよね? もうまともに、うんちできなくなっちゃうよ? ほらほら』
無理やりねじ込まれた時も痛かったけど、お尻の中で割れるかも知れない。
そう思った時は怖くて仕方が無かった。
体中痣だらけになり、僕が身動きが取れなくなった時……あいつらは……僕に……
『ジッポのオイルかけてみない?』
『え~オイルかけてどうするの?』
『勿論、火をつけるんだよ! 動けない状態の人間でもこれをすると一生懸命手で払おうとしたり悲鳴をあげたりするらしいよ?』
『ううっ、うそうだ……やめて』
『私達が嘘を言うと思う?』
びちゃっ。
『そうれっ』
『ぎゃぁぁぁぁーー熱い、熱いよーー』
僕の肉の焼ける臭いがして、物凄い熱さを感じた。
『きゃはははっ、此奴暴れていやがんの』
『なんだ、まだ動けるじゃん』
『それじゃ、押さえてけてもう一回しようか?』
『面白そうだね』
そう言って面白半分に太腿にオイルを垂らして遊び半分に焼かれた。
それは、僕がどれだけ泣きわめいてもやめてはくれなく、動けなくなるまで繰り返された。
勿論、これは同級生が行った事で……背中を切った時に塔子は居たが、焼かれた時に二人が居たかどうかは、記憶に無い。
僕は男だからレイプされたとは言えないかも知れない。
だけど、これは……ある意味レイプと同じような物じゃないのか?
背中の傷は薄れてきたが、太腿や腕の火傷の後はまだ残っている。
だが……大多数の同級生は死んだ。
大樹達生き残りも辛い人生を送る事になるだろう。
塔子と綾子は僕無くして生活が出来ない。
好きでも無い男に裸や恥ずかしい所を見せながら、逆らえない生活を死ぬまで送る事になる。
もう忘れても良い筈。
だが……心の奥底。
虐められたトラウマは、きっと生涯忘れられない……のかも知れない。
◆◆◆
ハァ~良し、やるか。
この世界の宿屋は、一階に酒場兼食堂があるか台所がついているか、その二択が多い。
やる事が多い僕は一階に酒場兼食堂がある宿を選んだ。
一階に降り、宿屋のおかみさんに食事とお湯を頼む事にした。
「すみません、またお願いしても良いですか?」
「良いよ、あんたも大変だね。 良いよ、あとで持って行ってあげるから」
「いつもすみません」
「別に良いわ、その分余分に払って貰っているからね。商売だから気にしないで」
食事やお湯は別料金が掛かる。
お湯は部屋に運んでくるけど、食事は本来は酒場で食べる物。
部屋まで運んでくれるのは、おかみさんのサービスだ。
「本当にありがとうございます」
僕はお礼を言って部屋に戻った。
◆◆◆
部屋で暫く待つと、食事とお湯をおかみさんが運んできてくれた。
「どうもスイマセン」
「商売だから気にしないで良いからね、だけど本当に大変ね、頑張ってね」
割と好意的に見て貰えている。
さぁ、ここからが本当の意味での朝の始まりだ。
「さぁ、朝だよ! 塔子に綾子、トイレは大丈夫?」
「おはようございます。ゴメン、私トイレ」
「おはよう私も、ゴメンね」
「解った」
ハァ~一応、これがあるから、トイレ付きの部屋を借りた。
少しだけ部屋代が高い。
塔子をトイレの個室迄連れていき便器の前に立たせる。
「はい、ここが便器だから、終わったら次は綾子の番だから、教えて」
「わかったわ……そのいつもごめんなさい」
「いいから、早く済ませてね」
トイレの前でしばし待つ。
「……終わったわ」
「そう……それじゃ今度は綾子の番だ」
「あははっごめんね」
同じ事を綾子にもする。
お金さえあれば、前の世界に近い部屋のように風呂や水洗便所がついた宿屋は借りられる。
だが、そんな所はべらぼうに高い。
泊るのは貴族や豪商。
到底、今の僕じゃ泊まれない。
前の世界のビジネスホテルとかがどれだけ優秀なのかが分かる。
勿論、この宿の部屋についているトイレもぼっとん便所だ。
美少女だろうが何だろうが臭い物は臭い。
二人がトイレから出たあと、貰ったお湯で今度は彼女達を拭きあげる。
「さぁ、さっさと終わらせるからね」
「あのさぁ、私の裸を見て何とも思わないの?」
「聖夜って案外紳士だよね」
男だから興味があるかないかと言えば、間違いなくある。
だが、過去の虐めが原因なのかどうか解らないが、何故かそういう気になれない。
僕にとっての女の子は『男以上に残酷な生き物』そう思える時がある。
僕の背中を最初に切ったのは塔子。
俺を押さえつけて肛門に試験管を突っ込みボコったのも女の子。
男以上に残酷な存在。
そう思える時がある。
だから僕にとって女の子は『可愛くて愛おしい存在だけど化け物みたいに怖い面がある』そう思えるんだ。
「僕は、女の子に……まぁ良いや。取り敢えずは、そう言う事はしないでやるから、ほらさっさと拭くからな」
目が見えないから、自分の汚れに自分で気がつかない。
自分では最低限の事は出来ているつもりなのだろうけど『汚い』
例えばお尻や股に用を足した時の紙がついていたり、それ以外の物も…….
それを丁寧に拭いてやる。
案外、面倒くさい。
それが終わったら、冷めきった朝食を食べさせないとならない。
最初、自分でやると言っていたが、服やテーブルを汚すから僕が食べさせてやる事にした。
「今日は綾子からだな」
「うん……ごめんね」
「良いから、食え、ほらパンだ……あーん」
羨ましい?
これが毎日だと全然楽しくはないぞ。
「今度はスープだ、ほら」
「あーん」
これを綾子と塔子2人に行ってようやく自分の食事にありつける。
これが僕の王都での朝の日常だ。
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