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第34話 五月美樹

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それから待つこと1時間…五月美樹が連れてこられた。

俺が待っている場所は、DSSSの中にあるお見合いルーム。

美香さんの話だと、パートナーの居ない存在には憧れの場所の筈なのに…

「嫌ぁぁぁぁぁー――もう嫌ぁぁぁぁー-謝るから、謝るから虐めないでぇー――っ」

泣き叫ぶ美樹が両方から腕を押さえられ連れて来られた。

「美樹さん、落ち着いて此処には貴方を虐める人は居ませんよ…今日はお見合いですからね」

ジャージ姿に穴のあいた靴…お風呂も多分かなり入っていないのか、少し匂う。

「嘘だぁー――、そんな事言って、また酷い事言うんでしょう? もう良いよ…どうせ豚だもん…だれも人間扱いしてくれないし…」

「美香さん、これは一体…」

「当たり前じゃないですか…この肥大した胸、男性が一番嫌うものでしょう…男性が嫌い=女性も嫌い…こういう子は生きるのも大変なんです」

マジか?

確かに今は浮浪者みたいに見えるけど、ジャージごしに見てもスタイル良いけどな。

「とりあえず美樹ちゃん…そうだ、ご飯と飲み物を奢るから暴れないで」

「えっ…ごはん…ぎゅるるるるー――っ、あの、悪口なら我慢しますから…殴ったり、蹴ったりは…許して下さい…痛いのは嫌なんです」

『虐待』『虐め』それが頭に浮かんだ。

「絶対にそれはしないから大丈夫…だから暴れないで、美香さん…食事をあげて…あとシャワーを貸してあげて…」

「食事は用意しますが、シャワーは無理です…ここはDSSS、男性の為の施設です…誰の者でも無い女性は此処の場所以外は入れません」

すっかり忘れていたが、此処は男性専用宿泊施設だ。

つまりは男の為の施設だ。

「あの、本当に虐めない? ぶったり、蹴ったりしないの? 悪口も言わない?」

「しないから安心して…お腹がすいているんでしょう? ご飯を食べてから…話しようか?」

「本当? それなら良いよ、もう2日間何も食べてないから…ありがとう」

しかし、外部の人間には凄く対応が悪いな。

もってきた食事が菓子パン2個に牛乳だけだ…

それでも美味しそうに頬張って食べている。

顔は童顔で髪はセミロングの黒毛、目が大きくて凄く清楚な感じに見える。

亜美やみうと同じ位に可愛いと思う。

その可愛さはこんな物乞いみたいに汚れていても解る。

一番の違いは胸だ…この世界『貧乳は正義』と言わんばかりにスレンダーな女性が美人と言われている。

彼女には胸に巨大な塊が二つぶら下がっている。

ジャージを着ていても解る…誹謗中傷で『でかい脂肪の塊』でFカップと書いてあったが…その通り…兎も角でかい。

小学生でこれ…そう考えたら将来はGHIJと大きくなっていくんじゃないか…

まぁ、この大きさでももう充分だけどな。

美樹の手がピタリと止まった。

「やはり、気持ち悪いですよね…自分ではどうする事も出来なくて嫌になるんですよ…身長が145センチなのにこんなに大きくなって、こんな胸のせいで私、友達もいなくて..ううっ」

写真よりもっと大きく見える。

「あの…凄く大きいけど、サイズって…」

「笑っちゃいますよねHカップで92センチですって…折角痩せているのにもう化け物ですよね…」

「あの、ネットだとFカップって書いてあった気が…」

「あの時は…そのFだったんですけど、成長しちゃって…ただでさえ気持ち悪いって友達も出来ないんですよ…それなのにまた大きくなっちゃったんです…見たいんですか…このお化けみたいな塊…気持ち悪いおっぱいみたいんですよね…良いですよ…ご飯くれたし…吐いても知りませんよ…好きなだけ見て…蔑んで馬鹿にすると良いですよー――っ」

美樹は泣きながらジャージを脱いだ。

『大きくて重力に負けて無い…凄い美乳だ』

「凄い…」

「何が凄いんですか…好きなだけ罵れば良いじゃないですかー―――っ、気持ち悪いって…目が腐るって…罵れー――っグスっグスッ」

正直言えば、お風呂にかなり入ってないせいか臭い。

だが、それでも…これは触りたい。

「触っても良い」

「あの、触ったら手が腐っちゃいますよ…気持ち悪いだけですよ…そんな馬鹿な事…吐き気がするでしょう」

「吐き気がするけど触りたい…」

俺はそう言いながら手を伸ばした…この世界では女の胸に価値は無い。

前の世界なら、男の胸に触る…それ以下だ。

ふよふよ、たぷたぷ…

「凄く触り心地が良い」

「嘘です…こんな気持ち悪いもの…醜い脂肪の塊ですよ…どうせそう言って帰った後馬鹿にするんですよね…どうせネットに『キモイ女のキモイ胸触った』とか書き込んで…手が腐るかと思ったって言うんですよね…うえぇぇぇー-ん、私だってペタンコに生まれたかったよー――っ 無い乳に生まれたかったよー――こんな胸嫌だよー――だけど、仕方ないじゃない、これが私の胸なんだからー――っスンスングスグス…もう気が済んだー-ぁ、馬鹿にして触って気が済んだぁぁぁー-」

「正平様、流石に残酷です…もうやめて返してあげましょう…」

「そうだな、それじゃ『顔見知り』から始めようか?」

「ええっ…あの、この胸を見て、そんな事言うのですか? 豚みたいな体なのに」

「美香さん、豚というのはデブを言うんですよ、彼女は巨乳、もしくは爆乳です! 全然豚とは違います…断じて違います」

「正平様…正気ですか…その本当に『顔見知り』に?」

「はい」

「凄いですね…さすがCランクの王子様は…これも救っちゃうんですか…解りました 美樹さんDSSSにようこそ!」

「え~と…なにかな今『顔見知り』と聞こえたけどグスッグスっ…本当?」

「本当だよ…これで美香さん、この子にも部屋が用意されるんですよね」

「はい、食事に衣類、生活費まで全部用意します」

「それじゃ、宜しくお願い致します…それじゃ美樹ちゃん宜しく」

「あの…こんな気持ち悪い女なのに、その『顔見知り』にして貰えるなんて…ありがとうございます…正平くんって…神様みたい…美樹がんばる…生きてて良かったよ…何度この胸えぐって死のうか考えていたんだよ、グスッ…だけどね、生きてて良かった…ありがとう」

「これから宜しくね…後は美香さん頼んだよ」

「はい」

本当は体を洗ってあげたいし…Hカップを触りたいけど…順番は守らないと大きな問題になる。

「それじゃ美樹ちゃん」

後ろ髪を惹かれつつ、美香さんに美樹を連れていった貰った。






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