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第27話 【閑話】上條麻里奈の伝説

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私の名前は麻里奈…11歳の女の子。

私のお母さんは少し変わった人だった。

何でも…先祖に凄まじいビッチの『上條まみ』という人が居て…

それを血統書見せて自慢していたのよ。

1000人の男に抱かれた女。

男とSEXしまくりで、それを映像にして売っていたとか…

凄い話だよね。

なんでもAVギャルっていうらしいの。

最も戦争の前…更に凄く大昔…

まだ男女の人数が今みたいになる前の話…

私のお母さんはそれが…それだけが自慢だった。

危ない妄想おばさん…そう思った。

だけど、こんなに信じているって事はきっと、お母さんのお母さんに騙されているんだろうな…そう思っていたんだけど…

凄い映像を見せられちゃった…

凄かったよ~女1人に男3人とか、あり得ないよね…

しかも、貪りつくようにしているんだもん…

凄いよ。

普通に…良い母親だったかも知れないよ…よくある虐待とかも無かったし…きっちり5歳まで育ててくれたし…

「それじゃ、義務の5年間が終わったから小学校にいってね…私は新しい精子をまた買って、当たりの男の子引けるように頑張るから」

それがお母さんだった人の最後の言葉…

よく考えたら友人みたいに話していたけど…名前…聞かなかったよ。

もしかしたら聞いたのかも知れないけど…忘れちゃった。

◆◆◆

小学校に入ったの…お金が無いから公立。

もう…私はこの時点で負け組なのよ…稼げる子はこの時点で私立に入ったり…もっと凄い子はアイドルとかになる…5歳の時点の私は資産が殆どないから…公立の小学校に入るしかなかったのよ…

そこからは…もう惨めな毎日…男の子はクラスに1名は居る筈なんだけど…出会ったことは無い。

上級生のお姉さん曰く…

『公立に来る男なんてFランクの引き篭もりだから6年間1度も来ないよ…名前だけ』

なんだって…

実際にはこの6年間は学校の授業よりもお金儲けを覚えて…男に貢お金を作る時間なのよ…

でも、公立レベルだと凄い子でも6年間で1千万位のお金を手に入れられたら良い方なのよ…

公立やアイドルを目指す子とは差がもうありすぎ…

あちらは最低でも億単位はため込んでいたりするのに…

まぁ中には溶かしちゃう子もいるらしいけど。

基本的には天と地位の差があるのよ…

麻里奈も一緒…貰ったお小遣いや肉体労働で稼いだお金も溶かしちゃって…支給品だけで暮らす生活…

男の子に会う事もない…実質、もう大人になって精子を買って、産むしか方法が無い…本当に悲しい人生しかない…

だから、私は…私のご先祖様とお母さんに聞いた伝説のAVギャル『上條まみ』が着ていた様な服をオーダーしたのよ。

髪をツインテールにして白いキャミソールに超がつく水色のミニスカートに白と水色の縞々のパンツに水色の縞々の二―ソックス。

どうせ…選んで貰えないんだもん…だったらこれで過ごそう…そう思ったの。

「麻里奈…貴方ね、その服装は男性が嫌悪感を感じる服じゃないの…人生を諦めたのかな」

「これは、そう私のアイデンティよ! 伝説のロリビッチなんだから」

「まぁ良いわ…此処にいる時点で男性との出会いなんて無い…好きにしなさい」

まぁ匙を投げたのよ…

「麻里奈…幾ら何でもそれは無いんじゃない」

「まぁ…うちらじゃ男性に選ばれるわけが無いから好き勝手もありかな」

うん…そんなの麻里奈も解っている。

資産がゼロ…男に貢ぐお金もゼロ…

世の中の男は…麻里奈が此処に居る事なんか誰も知らない。

唯一の男性との接触は…男性保護施設の資料に登録がしてあるだけなのよ。

こんなの…宝くじで5億円が当たる可能性より、男性との出会いは低いよ。

人生は終わり…これが麻里奈の人生。

死ぬまでに一度で良いから…男と話したいな…

◆◆◆

そんなある日…校長から呼び出しがあったのよ…

『嘘、上條麻里奈ですか? わが校始まっての問題児…えっ男性が指名したんですか…あのキモイ服装なのに…』

廊下迄電話の声が聞こえてきたのよ。

私に指名が入った。

「麻里奈…指名が入ったわ…多分、貴方には最初で最後のチャンスよ…言ってらっしゃい」

「はい」

男性保護施設からの迎いのヘリが来た…

態々ヘリが来ると言うという事は…急ぎ私が必要だという事だ。

ヘリに乗り込み男性保護施設に向かったの…

「ハァハァ~ゼィゼィ…ハァハァ、上條麻里奈いそいできましたぁ~うわぁ~凄く綺麗ね、うん凄く二枚目、こんな子が私を指名してくれるなんて、嘘信じられない」

信じられる訳がないよ…麻里奈の目の前に居たのは…天使の様に可愛い同じ位の男の子なんだから…

麻里奈の暗い未来がね…輝ける未来になった瞬間なの…

でも、この天使の様な男の子が…天使どころか神様みたいな子なのに…更に驚いたんだけどね…

◆◆◆

凄い物ね…公立の小学校から『ご学友』なんて快挙、恐らく初めてだわね。

しかも資産が全くない子が選ばれたなんて、知ったせいか、連日マスコミがこの小学校に押しかける始末。

上條麻里奈は…己を貫き通した結果、奇跡を手にした。

『伝説のビッチ 上條麻里奈』

それがこの小学校での彼女の呼び名。

後輩の女の子たちは羨ましそうに彼女を見ていたし…彼女は聞いてきた者には惜しげなく自分の話をした…

その結果、この小学校は…

『ビッチ』のファッションが流行ってしまった。

だが、2人目の麻里奈になれる人は無いわ。

男性保護施設から…

『上條さんを好んだ男性は特別なんです! 複数の男性から吐き気がするからそのファッション止めて欲しい』

とクレームが来た。

だが…我が小学校はもう駄目だわ…

目の前で上條麻里奈を見ていたんだから…

男性に嫌われるはずのロリビッチが成功を収める瞬間を見てしまった。

上條麻里奈…多分、貴方はわが校一の問題児だわよ。
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