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第22話 搾精

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搾精施設に来た。

男性は定期的に、この施設に来ないといけない。

DSSSの中でもその奥にあり、此処にはいれるのは専門スタッフと男性だけ。

近くに部屋があり、そこで友人、護衛、関係者は待つことになる。

大体、やる事は解っているが…なんでこんなメンドクサイ事しなくちゃいけないんだ。

そんな事しなくても…直にやれば良いだけなのに。

「いや…男性の方かい?」

この世界で初めてみる男だ…中年くらいかな。

「はい、そう言えば此処ではどんな事が…」

「此処は地獄だ…僕は、僕はこんなシステムなんて無くなれば良いと思うよー――っ! うわぁぁぁぁぁぁー―――ん」

なんだ? 

ヨロヨロしながら、泣いて走っていってしまった。

◆◆◆

「記憶が一部無い…そう聞いておりますから、説明しますがこの施設では搾精…精子を搾り取らせて頂きます…個室に入ると専用の器具がありますので、その中に精子をお出しください…これは義務なので出すまで退室は認められておりません…貴重な男性の方に苦痛を与えて申し訳ございませんが、宜しくお願い致します」

そう言って通された部屋は…ラブホテルと病院の個室を合わせた様な部屋だった。

ただ違うのが…テーブルの上にオナホの様な物が3本置いてある事だ。

意味が解った…このオナホを使って精子を出せ…そう言うことだ。

ただ、問題が…何処にも『ネタ』が無い。

前の世界なら、抜くのにアダルトDVDやらエロ本がある筈だが、この部屋には全くない。

インターホンを鳴らした。

「はい、どうかされましたか?」

流石に『ネタをくれ』とは言いにくい。

「普通は…そのこういう事をする時は女性をイメージする物を使わないと出来ないんじゃないかな…」

「はぁ~心細いのは解りますが、混乱しないで下さい、女が傍に居ると出る物も出ませんよ」

嘘だろう…じゃあこの世界の男は、何をイメージして抜くんだよ。

俺の常識では女の裸やエロい事を考えて抜くんだろう?

ネタが全くない状態で…どうしろと言うんだ。

「そうだ、スマホ…スマホを持ち込ませてくれないか?」

「この施設は、集中して貰う為の施設ですから、通信機器の持ち込みは一切禁止です」

この世界の男は可笑しいのか…

女性をイメージしないで、どう発情しろと言うんだ。

いや可笑しいのは解っていたが、此処迄なのか?

「解った…了解した」

何だか凄く虚しいな…本当なら女性が幾らでもいる世界で…なんで想像しながら…抜かなくちゃならないんだ。

テレビだけ辛うじてあったから、音声を消して…想像しながら…本当に虚しいな。

◆◆◆

「ご苦労様でした…凄いですね2時間でこの部屋から出られた、なんて最短記録です」

なんだか早漏と言われているみたいで、嫌だな。

「そうですか…あれ、3本…嘘…」

「どうかしましたか?」

「いえ、普通は12時間掛けて、1本採取出来るか出来ないかなのに…貴方、出たいからって不正しましたね」

「俺はそんな事していない」

「それをこれから調べるから!一旦部屋にお戻りください!」

まぁ、不正はしていないから…問題ないか。

「解ったよ」


◆◆◆

「「本当に申し訳ございません」」

明らかに、偉そうな感じの人が目の前に居て、さっきのお姉さんを土下座させて、頭を踏んでいた。

「本当にスミマセンでした…だけど、あんな早さで3回も搾精できる人間なんて…知らなかったので…許して下さい」

「貴方ね…男性に無実の罪を着させたあげく、男性の抜いている姿を録画とはいえ見たのよ…これは重罪よ…重罪…場合によっては死罪もあり得るわ」

「そんな…仕方ありません…迷惑かけました…死んで償います」

「ちょっと待って、そこ迄大げさにしなくても良いですから!」

「いいえ、正平様、あなたの年齢ならまだ、ご学友にもそういった姿を見せて居ない筈です…それを職員が事もあろうに寝れ衣を着せて見てしまった…これは重罪です」

「正平様…もう良いんです…庇ってくれてありがとう…死んで償いますから」

そんな事されたらトラウマになるぞ。

「そんな事されたら、搾精の度に貴方の顔が浮かんで出る物も出なくなります…今回の事は『無かった』そうして貰えませんか?」

「男性の貴方がそう言うなら…ほら良かったわね、正平様に感謝しなさいよ」


「ありがとうございます…ありがとうございます」

ふぅ…良かった。

「それで正平様、義務は1つだけですので2つ分は買い取りさせて頂きます、1本600万、合計1200万…後日正平様の口座に振り込んでおきます」

「そう…なんですか?」

「はい…流石に2本目以降が買い取りになると言うのは知らない方が多いので驚かれたでしょうが、1回に2つ以上提出しても次回が免除にはなりません…お許し下さい」

「もしかして、何か免除になる方法とかってあるの?」

「形上はありますが、これは絶対に出来ませんよ」

「ある事はあるんですね」

「確かにありますが…無理ですね『だって1か月に1回女性とSEXをして中出しをする』そんなの伝説のAランクじゃなくちゃ出来ませんから…」

その方が遥かに楽だが…言えないな。

◆◆◆

「正平さん、なんで私達から目を逸らすのですか?」

「正平様…辛かったのですか?」

「正平様、大変でしたのね…」

「正平くん…」

流石に目が見れない…さっき迄抜きネタにしていたんだから…

「いや、何でもない」

顔が赤くなり、これしか言えなかった。










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