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第9話 仲間

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「正平くんのランクは本当はAなのだけど、その後の人生で困るから私の独断でCにしようと思うんだがどうだろうか?」

「私もその方が良いとおもうな」

13号さんと8号さんからそう勧められた。

「何かAランクにすると問題があるのでしょうか?」

「ああっ、多分Aランクになると自由が無くなる筈だよ、少なくともAランクなんて存在は私は見たことが無い、世界中に注目されるのは勿論、最悪、研究機関や権力者に囲われる事すらある、Bランクですら大変なんだよ、それでもAランクになりたいかい?」

「それならCランクで充分です、ちなみにCランクでどの位の特典があるのですか?」

「そうだな、まずDランク以上の男性には死刑および懲役が無い、どんな犯罪を犯しても、その殆どの刑が搾精で許される。それは国家転覆や女王の暗殺であっても同じだ。まぁそこ迄の大罪を犯せば20年間は免れないな」

凄いなこの世界は。

簡単に言えば20年間SEXする覚悟があればどんな事をしても許される。

そういう事だ。

「他には?」

「他はそうはないな、毎月生活費として300万円、護衛や送迎車の支給、住宅の支給に、色々な機関の無料使用、そんな感じ…ちなみに女性とデートしたり種付けをするなら、支援機関からお金が貰える、そんな感じだな、沢山の特典がありすぎて、あとで資料を渡すから読んでくれ」

「そうだね、沢山ありすぎて驚く程あるよ」

「色々と配慮ありがとうございます」

「別に良いわ、それで正平くんはどうする? ランクを偽る以上は此処を離れた方が良いだろう」

「そうだね、ランクの認定に精通検査は終わったから、此処からはどうしたいか決める時だよ」

「決めるって何を決めれば良いのか、解らないよ」

「それは住むところとか、学校に通いたいとかだな」

「そうか? そこから決めるんだな、解ったよ」


◆◆◆

結局僕はマンションを借りて、そこから小学校に通う事を選んだ。

一緒に暮らす人数を増やせば、マンションではなく豪邸らしいが余り人数は増やさず、最低限の三人を選んだ。

琴美さんに話を聞いたら、数は増やす事は可能だけど一旦増やしたら減らす事は出来ないらしい。

だから、堅実に少人数から始める事にした。

「琴美さん、これからどうすれば良いの?」

「そうですね~まずは、部屋をどれにするか決めましょう? 住んでみたい街や、通いたい場所はありますか?」

「田舎より都心の方が良いですね、特に希望は無いかな」

「欲望とかもないんですね、他の男性は欲まみれなのに素晴らしいですね~流石私のご主人さまですね、それじゃこの琴美にお任せ下さいね」

「任せた」

今、話しているのは桜木琴美さん。

8号さんだ。

奴隷になりたい、なんて言っていたから、そのまま『お世話係』として仕えて貰う事にした。

気心は知れているし、13号さんや川島さん曰く暴走するけど優秀のお墨付きだからそのまま採用した。

言葉使いが変わっているのは、正式に僕に仕える為、素に戻したかららしい。

あんまり変わってない気もするけどね。

「それじゃ、住む場所は私が決めるとして、後は護衛の2名を決めて下さい、今リストをお見せしますから」

しかし、前回もそうだけど、なんで紙の資料なんだろう?

「前から不思議に思ったんだけど、なんで紙の資料なんだ、パソコンやPADの方が楽じゃない」

「何をいっているんです、正平さん。そんな事したら沢山の女性ハッカーが自分の情報を入れ込んできますよ。それを防ぐ為にですね、紙の資料の方が安全なんです」

「そういう事だったんだ、やっと解った」

妙に未来の様な感じがするのに、可笑しいと思っていたらそういう事だったのか。

「記憶が一部無い正平さんのアシスタントをするのも私の役目ですから気にしないで良いですよ」

僕はパラパラと資料をめくった。

どの女性も軍人っぽい人ばかりな気がする。

「あれっ、この子外人なのかな?」

「外人は居ない筈ですよ、何処の国も自国の女性を優先しますから…あらっ確かに外人みたいな方ですね、ああっハーフみたいですね、こういう子好みなんですね! 1人目はこの子で良いですか?」

他の人は個性がないから同じように見えちゃうな。

この子で良いんじゃないかな?

「それじゃ1人目はこの子で決定と…あと一人か、誰にしようかな? あっこの子が良いや」

「2人目はこの子ですね、これでとりあえず決まりましたね、早速、護衛部に行って貰い受けにいきましょう」

これから一緒に暮らす三人は雇うと言うより『仕える』というのが正しくなる。

所属は、男性保護施設、男性保護機関になるが守相手は自分を選んだ主人になる。

簡単に言えば自分を選んだ主人の派閥に入る感じだ。

そこ迄厳しくは無いが武士の士官に近い。

実際に仕える男性同士が仲が悪いと同じ組織なのに、この仕えた女性同士顔を合わせても挨拶すらしない事も少なくない。

ちなみにこの仕事は琴美さんから聞いた話では倍率は500倍を超えるとの事だ。

男性に選んで貰えれば一緒に暮らす事が出来、運が良ければお手付き…夢のような職業なのだとか。

「僕みたいな子供で良いのかな、凄い倍率で採用された人達なんでしょう?」

「大丈夫ですよ! 500倍の倍率で試験に受かっても、その中から男性に選ばれるのは物凄く低いんですよ!絶対に凄く喜びますから安心ですよ!」

「だけど琴美さんもそうだけど、この二人も物凄い美人ですよ」

「あの、この際だから正平さんに少しお話をしますね。正平さんは記憶が無いから解らないと思いますが、女の子に生まれると大変なんですよ?一生懸命努力しないと男性に会う事すらできないんです。
頭の良い学校じゃないとクラスに1人男性が居れば良い方、その1人も引き篭もりで学校に来ない。一生懸命勉強して頭の良い学校に入ってようやく男性との接点が持てる、でもクラス40名に対し男子は多くて5人、だから男の子は王様気どりです。性格も悪い人間も少なくありません…それでもですね、それでもですね男性と触れ合えただけ幸せなんです…実際に私は研究職だから、少しは触れ合いはありますが、性格の良い男性なんて正平さんが初めてですよ」

凄いなこの世界…琴美さんもこれから会う二人の女性も凄い美人だ。

そんな美人が努力しないと恋愛すら出来ない世界なんだ、此処は。

◆◆◆

「正平さんお待ちしておりました、先程、琴美様から連絡を頂いたご指名の二人は準備が出来ております…どうぞこちらでお待ちください! あと琴美さんはすみませんが別室の方でお待ちを」

「解りました、正平さん良い人だと良いですね」

「うん」

僕は本来はかなり年配の精神を持っている筈なのだが、どうも体の影響か子供みたいな思考になる。

個室で待っていると1人目の女性が入ってきた。

◆◆◆

「北条エルミナですわ、貴方は凄くお目が高いですわね…護衛の一人は私で決まりですわね! 絶対に後悔させませんわ!」

写真で見た通りだ。

プラチナブランドの綺麗な髪でシャギーの髪型。

お姫様みたいに写真では見えた。

「気になった事があるのですが聞いても宜しいですか?」

「何でも聞いて欲しいのですわ」

肌も白くてシミも無い、凄く綺麗に見える。

「髪が凄く綺麗ですね、え~と」

「大丈夫ですわ、私はそのスエーデン人とのハーフですの…やはり此の髪じゃ嫌ですわよね、目もこんな色ですし…昔から男の子には嫌われまして、老婆みたいと…不愉快にして申し訳ございませんでしたわ」

「そんな事ありませんよ! 風で流れるような美しい髪、プラチナブロンドですよね…綺麗だ」

「あの…平気ですの?ああっそんな急に」

「ごめんなさい、余りに綺麗な髪なのでつい触ってしまいました女性の大切な髪に触るなんて」

「そんな事ありませんわ、お好きならそのまま触って頂いて構いませんわ」
「ありがとう、やはりサラサラして綺麗だ、目だってグリーンアイって言うんですよね、まるで宝石みたい」

「あの正平様、顔が近いですわ…その私は男性に免疫がありませんのですわ」

こんな綺麗なのに…まるで人形が人間になったらこうなる。

そういう感じにしか見えない。

「僕はこの通り、只の子供です、本当に貴方を選んでも良いですか?」

「あの…それって私が仕えて良い、そういう事ですの?」

「エルミナさんさえ良かったらですが」

エルミナさんは急に僕の前に片膝をついた。

「私の祖先はスエーデンの貴族らしいですわ、貴族が王に仕えるように精神誠意仕えさせていただきますわ! 獲物は拳銃を使いますの…正平様の敵は全て撃ち殺して差し上げますわ」

SPみたいな物だから拳銃が必要なのか。

「ありがとうございます」

「こちらの方こそ、末永く宜しくお願いいたしますわ」

凄く綺麗な笑顔でエルミナさんは去っていった。

◆◆◆

「千葉千鶴ともうします。宜しくお願いします」

写真の通り剣道少女だ。

軍服みたいな服の写真の中で剣道着を着ていたから目に入ってきたんだ。

黒髪でポニーテール、黒目、彼女も凛として綺麗だ。
「侍みたいでカッコ良いですね」

「あははっ良く、汗臭そうって言われるよ、無理しなくても良いんだよ」

「剣道って僕から見たらカッコ良いいですよ」

「えっ君って剣道やっている子に嫌悪感がないの?そんな子滅多に居ないよ」

「一生懸命竹刀を振る姿は凄く綺麗だと思います…本当に、特に千鶴さんみたいな綺麗な方が振るなら余計です」

「きみ変わっているね、そんな事言われたのは初めてだよ」

「初めてという事は前にも話があったんですね」

「まぁね、ほら私って黒髪、黒目だし、無難だから、前に1回声が掛かったんだ…ただその時の条件が『汗臭いから剣道を辞める事』だったから血の涙を流して諦めたよ…まぁ性格も悪そうだったのもあるけどね」

剣道少女から剣道とったら…意味がないな。

「剣道小町から剣道とったら美しさ半減なのに馬鹿だなその男は、カラス髪の綺麗な美少女が刀を振るう…最高なのに」

「あああっ、正平様は、本当にそう思うの…汗臭いとかむさいとか言ったりしない?」

「本当に凛々しく思えますよ…もし僕みたいな子供で良いなら護衛になって貰えませんか」

「私で良いのか…今更駄目とかなしだよ、解った一生正平様を守ろう、この刀に掛けてな…命を掛けて…約束します」


「お願いします」

「こちらこそ宜しくお願いします」

こうして、僕の新しい生活を一緒に歩む仲間ができた。

















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