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第3話 解らない

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可笑しいな…私は死んだはずなのに。

何故生きているんだ。

此処は病院でも無いし、歌舞伎町でもない。

本当にどこか解らない。

体の痛みはもうない。

気のせいかかなり若返った気がする。

まぁ、そんな事あるわけがないか。

こんな所に居ても仕方が無い。

少し歩けば此処がどこか解る場所に出るだろう。

どう見ても此処は日本だ。

だが、此処がどこか解らない。

繁華街なのに見覚えが無い…新宿、渋谷、六本木、何処とも違う。

標識を見ても似ている様で違う。

なんだ此処『ニュー新宿』『ニュー東京』

私が知っている場所じゃない。

「こんな遅くに一体何をしているんだ」

婦警さんだ…

「あの…どうやら私は記憶が可笑しくなったみたいなんです」

「え~と家出じゃなくて…嘘、少年…男の子だよ、これは大変ですね、すぐに保護します。すぐに本庁の方に行きましょう」

男の子…嘘だ、私は60歳の老人の筈だ…だが、ミラーに写った姿は、どう見ても子供にしか見えない。

来た車はパトカーではあるがリムジンだった。

「パトカーのリムジンなんて初めてみました」

「何を言っているのですか? 貴重な男の子ですよ! この位は当たり前ですよ!」

『貴重な男の子』だって…そう言えば、今の今まで女性しか見ていない。

リムジンに乗ると、お菓子やジュースがこれでもかとあって、更にテレビにはゲーム機までついていた。


「すごいですね」

私がそう言うと…

「はぁ? もしかして、そこ迄深刻な記憶喪失なんですか? 男性なんですからこの位当たり前じゃないですか?」

う~んよくわからない。

本当に私は可笑しくなってしまったようだ。

「そうですね、なんだか記憶が混乱しているみたいです…すみません」

「あの…ごめんなさい、男性に頭を下げさせるなんて、酷いことを本当に申し訳ないわ」


謝るのは私の方なのに…逆に頭を下げられてしまった。

「いえ」

私はリムジンのパトカーに乗って警察に…行かなかった。

何だこれ、凄い厳重な警備の建物。

凄い数のミニスカポリス風の女性が立っている。

建物についているプレートには『男性保護施設』と書いてあった。

此処は絶対に私が知っている日本ではない…それだけは解った。

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