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第62話 自分の人生が解らない
しおりを挟む『LOVE』に戻ってみたら……もう南条が動いたのか、優斗達がまさに南条の黒服軍団に連れていかれている所だった。
「これは?」
その場で指示をしている男に話かけた。
「理人様のおかげで、ようやく全容がわかりました。この者達は南条の方で処分します」
処分?
まぁ解らないけど……もう彼等に会う事は無いだろう。
「そう」
「約束通り、このLOVEは……」
「それなんだけど、店は要らないし……ついでを言うと今回の騒動でビルが一つ手に入りそうだから、LOVEと併せて物々交換を孝蔵さんにおねがいしてくれない?」
「一応、伝えておきます」
今の現状なら、LOVEもドラゴンの牙が入っていたビルも要らないからな。
◆◆◆
暫くすると南条孝蔵とアポイントが取れて、今の俺は南条邸に居る。
俺は南条孝蔵にLOVEを貰う権利の放棄とドラゴンの牙のビルの権利証と交換にタワマンの部屋を5個欲しいと頼んだ。
「タワマン5つは吹っ掛け過ぎではないか?」
「5棟じゃなくて5部屋、それも都心部じゃなくて少し田舎の方の物で構わないよ! ただ出来る事ならコンセルジュ付きで警備がしっかりした物が希望だ。警備会社も南条の物が良いんですが……」
「なんだ5部屋、それも少し田舎で良いのか?」
「1部屋は小さくて良いけど、残り4部屋は大きい場所が良いんだ」
「それなら……」
何か思いついたように南条孝蔵が口を開いた。
◆◆◆
「こんな所に引っ越すんだ凄いね」
「部屋も凄く豪華だ、セキュリティもばっちりからね」
「まぁ、私は理人と一緒なら何処でも良いよ」
翔子と一緒に孝蔵が用意してくれたタワマンに引っ越してきた。
このタワマンはトリプルタワー南条という名前で大きなタワマン3つから出来ている。
その一つに俺と翔子が住み、他の棟の4部屋には実は『コマ横キッズ』に住んで貰っている。
あの後、あの場に居た女の子が声を掛け、その人数は38人まで膨れ上がった。
全員が全員行き場のない子だったので『俺の物』にした。
俺の食料ではあるけど……元はもっと不幸だったから、今の方が多分幸せだ。
勿論、彼女達の部屋はかなり大きな部屋を選んで貰った。
最強に近い力に、お金があり、女にモテる人生……きっと誰もが羨むと思う。
だけど、自分が人でない化け物なのだと考えるとどうなのだろうか?
全てを手に入れたようで全てを失った気もする。
幸せなのか不幸なのか自分でも分からない。
今はただ、そんな人生を生きていくだけだ。
第一部 完
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