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第52話 【過去】平城綾子SIDE 心に鬼が......
しおりを挟む今思えば、馬鹿な事を考え、馬鹿な事をした。
それが良くわかるわ。
だけど、あの時の私は……異世界に来ておかしくなっていた。
そうとしか思えないわ。
しかも、相手が理人くんだったから、それもあるかも知れない。
私は、昔から良く本を読んでいる。
私の読書は悪食で、ジャンルを問わず、推理物からライトノベル、歴史物までなんでも読むのよ。
そして私程では無いけど、良く同じクラスで本を読んでいるのが理人くんだった。
良く図書館で会うけど……理人くんが良く読んでいるのはライトノベル。
私のように悪食でなんでも読むのじゃ無くライトノベル専門だった。
別に友達では無いけど、良く図書館であうから、顔見知り位のつき合いはあったの。
そんな私達が異世界に転移した。
まるでライトノベルの世界その物。
ファンタジーの始まり。
しかも、女神様からのチートつき。
これでテンションが上がらない訳ないよね。
どんなチートを貰ったのかは後にならないと解らない。
行ってからのお楽しみだった。
自分がどんなジョブなのか、今から楽しみだわ。
皆も凄くはしゃいでいる。
魔法が使える。
剣の才能がある……それだけで確かに凄いわよね。
そして、ついにきた私の番。
私は……『大魔道』
当たりちゅうの当たり。
「やった、私、大魔道だってさ、魔法も最初から4つもあるよ......当たりかなこれは」
思わずガッツポーズをとってしまったわ。
測定していた人の驚いた顔に、この世界でも最高のジョブの一つ。
これでテンションが上がらない筈がない。
測定検査の紙を思わず見続けちゃったわ。
暫く見ていると理人くんが話しかけてきたの。
「平城さん、大魔道なんて凄いね!俺はこれからなんだけど、どれだけ凄いのか気になるから、参考に教えてくれないかな?」
余り普段は話した事が無いけど、まぁ知り合いではあるから見せる位はなんてこと無いわね。
「良いよその代わり理人君の測定が終わったら私にも見せてね」
他の人との差もしっかりと知っておきたいしね。
「OK」
「それじゃあ、はい」
平城 綾子
LV 1
HP 180
MP 1800
ジョブ 大魔道 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、闇魔法レベル1 火魔法レベル1 風魔法レベル1 水魔法レベル1
うんうん、流石に驚いているわね。
五職だから、最高のジョブだもん。
「凄い!」
驚いているわね。
当たり前よね。
五職、五大ジョブなんだから。
「何でも五大ジョブの1つらしいよ!だけど、まだ他のジョブ 勇者も聖女も大賢者、剣聖も出ていないから理人君にもチャンスはあると思う」
「そうだね」
まだ、勇者も剣聖も賢者も出てないからね。
良いジョブに当たると良いね。
会話もしたし、少し気になるから暫く、理人くんの方を見ていたのよね。
そうしたら……
なにやら、測定をしている人が驚いていたわ。
「まさか?そんな…このジョブとスキルは…」
「あのどうかされたのですか?」
「いや、余り、異世界人には出ないジョブが出たので、驚いただけです」
「そうなのですか?」
気になるわ。
もう、五職は揃ったから、そんな凄いジョブがあるとは思えない。
果たしてどんなジョブなのかな?
気になる。
「かなり低いステータスですね、気を落とさず頑張って下さいね」
「頑張ります!参考に教えて頂けますか?このステータスだとどの位の能力なのでしょうか?」
「村人でももっと強いですね、恐らくは子供位でしょうか? 本当に気を落とさずに頑張って下さいね」
なんだ、驚いて損したわ。
しかし、どんな酷いジョブにスキルなのかしら。
「平城さん、俺のステータスなんだけど」
「あっ理人君も終わったんだね、どれどれ えっ本当なのこれ!」
「恥ずかしい話、本当なんだ」
「なんて言って良いのかな…」
「他の人のステータスもそんなに高いの?」
「そうだね、さっき騎士の工藤君と魔法使いの法子のステータスを見せて貰ったんだけど!こんな感じだったと思う」
工藤 祐一
LV 1
HP 200
MP 50
ジョブ 騎士 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、剣術レベル1 水魔法レベル1
坂本 法子
LV 1
HP 60
MP 190
ジョブ 魔法使い 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、火魔法レベル1 水魔法レベル1
「そうか?まぁ頑張るよ」
「何を言って良いか解らないけど、頑張ってね!」
「解ったよ」
「気を落とさずに頑張ってね、あっゴメン呼ばれたから」
「うん、引き留めて悪かったね」
「じゃぁね」
私はなんとか動揺を隠さずに話し終えた。
敢えて気がつかない振りをしたのよ。
黒木 理人
LV 1
HP 20
MP 10
ジョブ 盗賊 異世界人
スキル:翻訳.アイテム収納、強奪(通常)
特殊スキル:スキル強奪
『スキル強奪』を持っているじゃない!
これが、どんな凄いスキルか知っている。
私が読んだライトノベルの主人公が持っていたスキルで。
他人のスキルを自在に盗める最強のスキルだわ。
本当の所は解らない。
だけど、私はスキルを奪われたくない。
今現在、ここはスキルの宝庫。
恐らく、理人くんは手を出してくる筈。
今のうちにどうにかしないと……盗まれたら終わりだ。
私は……心を鬼にして決めた。
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