上 下
38 / 62

第39話 南条孝蔵との交渉

しおりを挟む

「総理ですら儂との僅かな時間を欲しがるのに…」

「ああっ、そう言うのは良いんで! そちらこそ、俺の迷惑顧みず、いつも黒服送り込んでくるでしょう?おあいこでしょう?」

「警備の人間はどうした?」

「全員寝てますよ!」

「全員だと? 此処に来るまでは30人の武装した者がいた筈だ」

「亀岡流は獣と戦う技…人間より遥かに気配に敏感な獣にすらたやすく近づける…人を無力にするなど造作もない」

「ただ強いだけでなく、暗殺拳でもあるのだな…」

困った時の亀岡流。

何でも、亀岡流にしておけば問題無い。

「その気になれば、総理大臣に大統領何時でも殺せる…それが亀岡流だ!」

「ふぅ…何時でも殺せるか…お前にとっては儂もただの人…そう言う事だな? それで態々此処に来ると言う事は何か儂にようがあるのだろう」

「実は…」

「ほう…金ならもう一生贅沢できる金があるだろう! それが何故、ホストに等なりたいのだ!」

「亀岡流を使い続けると、その弊害で女を抱きたくなる…しかも、商売女じゃなく、普通の女をな…だから、この際、半分仕事にしてしまおう、そう思っただけだ」

「確かに、特殊な技だから弊害がその様にでるのか? だが、儂がその様な事をするメリットが無い。お前が言った事じゃ無いのか?メリットが無ければ動く必要が無いのだろう」

「確かに言ったな…俺が差し出すのは『塔子の情報』についてだ、もう戻って来ないとはいえ孫娘の話は聞きたくはないか?」

これは俺しか持ってない情報だ。

いかに南条財閥の総帥孝蔵でもこればかりは手に入らないだろう。

「ふっ、それは取引にならぬな…幾ら孫娘とはもう帰らぬ存在、儂は経営者だ、もう死んだ者と思う事にした!それにお前から話は聞いたところで場所が異世界であれば手を出せぬ、聞くだけ無駄だ!」

流石は財閥の長、孫娘の情報じゃ無理だったか。

「そうか、それなら交渉は決裂だな」

「馬鹿言うな!この話はビジネスとして受けて良い!」

「どういう事だ?」

「ちょっとした事情で、儂の所で…まぁ出張型の高級ホストクラブを作る案がある、そこのキャストをしてみないか? そこで物足りないなら、南条系列のホストクラブに自由に出入りも許そうじゃ無いか…勿論、年齢の事は目をつぶろう…どうだ!」

南条財閥ってホストクラブも持っているんだ。

どうだも何も…うますぎる話だ。

まさか、何かの罠か?

「裏があるんじゃないか?」

「特に裏は無い、なぁに令嬢の中には火遊びを好む者も多い『守秘義務』だけ守れば問題は無い」

「それなら、問題無い」

「それじゃ、交渉成立だ…話を詰めようか?」

話しは到って単純だった。

孝蔵が作る『出張型の高級ホストクラブ』は会員制の物。

俺は、ただスマホに連絡が来るのを待てば良い。

連絡が来たら、待ち合わせ場所に向かい、マネージャーから詳細を聞く。

その際に、条件を聞き、こちらが納得したら商談が成立。

そのまま、マネージャー同伴で女性と会い。

その後は『条件』を果たす…それだけのようだ。

最低線この仕事をこなせば、南条の他のホストクラブへも自由に出入りしても良いらしい。

裏が何かありそうな気がするが…これは都合が良い。

「これで良いか?これで良いなら契約書を作るぞ」

「構わない」

本来は未成年相手に書類など意味がない。

だが、南条の契約書だ守らなければ…まぁ地獄だろうな。

◆◆◆

これは渡りに船だった。

あの戦いを見た『令嬢』達から、リヒトに会いたいとしつこく連絡がくる。

南条にとっては…そこそこ有用な人物だ。

余り無碍には出来ない。

向こうから話が来るとは…都合が良い。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...