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第30話 対戦相手
しおりを挟む異世界からは『知識と経験しか持ち帰る事は出来ない』その筈だ。
それでも『異世界帰り』は優秀だ。
特に『経験』が素晴らしい。
人の命の価値が低い世界で命がけで生きて来た。
その経験が、ある意味貴重だ。
今の日本には『人を躊躇なく殺せるような存在は居ない』
だが、あの理人という少年は、それ以上を持っている気がする。
異世界では一流の戦士だった小林に銃を持たせて様子を見させていたが…あっさりと気づかれて腕を千切りおった。
『腕を引き千切る』そんな事一流の格闘家や軍人でもまず出来ないだろう。
つまり、理人という少年にはまだ、何かがある筈だ。
此方の調べでは、東洋チャンプに世界チャンプをスクラップにしたそうだ。
特に世界チャンプの時也は、ビッグマウスだが、此処暫くの日本人のボクサーでは最強と評判だった。
それがたった1発で壊された。
『あれは、異世界の戦士その物です』
そう小林は言っていた。
そこから、考えられる事は…異世界でジョブやスキルに頼らず生きて来た。
そして自力で体を鍛え上げ帰って来た…そう言う事なのだろう。
恐らくは『亀岡流』が絡んでいるのではないか?
異世界で魔物と戦っていた『亀岡流』の後継者。
オークやオーガと戦っていたかも知れぬ少年。
是非、南条…いや儂の護衛として欲しい物だ。
その全容が解るなら200億等安い物じゃ。
「水沢…考えられる最強の猛獣を用意しろ」
「ハッ」
200億円も払うのだ、精々楽しませて貰うとするかのう。
◆◆◆
「孝蔵様、世界中から聞いた情報を基に探した、恐らくは最強と思われる生物がこれです!」
「これは…恐竜か…」
「違います!ワニです!」
「ワニ…これがか?」
「南条財閥で最強の動物はなにか? 考えたすえの答えがこの化け物です!当初は虎、白熊、サイ、カバ、ゾウを想定していたのですが、これを見つけた為、急遽中止に…恐らく此奴なら水のなかでも相当の強者になります」
確かに言うのも解る。
こんな大きなワニは見た事が無い。
「それでこのワニの大きさは…」
「イリエワニは最大で7メートルと言われていますが、この個体は10メートル、体重1トン…これはギネスの記録を越え、その強さは学者の話ではティラノサウルスとすら戦える強さがあるそうです」
流石にこれをぶつけて良いのだろうか?
まるで映画に出てくるような化け物。
此奴なら異世界でもオークやオーガをエサに出来る可能性すらある。
「それで、この化け物はどうしたんだ?」
「とある、富豪がペットとして飼っている物です」
「万が一怪我や殺してしまった時の責任は大丈夫なのか?」
「大丈夫です…『ははははっ、このワニと戦う人間が居るって?ライフルを持たせても殺されるだけだ…素手? それは只の残酷ショーさぁ!その戦いを見せてくれるなら無償で貸してあげるさぁ…死んだ場合?その人間は素手何だろう?絶対にあり得ないが…文句は言わないよ…その代り此奴がそいつを食っても文句言うなよ?』だそうです」
「そうか…」
「どうですか?」
「よし、此奴をぶつけて見るか…」
ファイトマネーが200億なんだからこの位の相手でも文句は言えんだろう。
死んでしまったらそれまでだ…
◆◆◆
「さぁ、君の試合が決まったぞ…」
「本気で言っているのか?200億だぞ?嘘じゃ無く本当に払うんだよな?」
「ああっ勿論払うとも!ただ、勝者の総どりで良いか? 負けても払うんじゃ君も本気にならないだろう?」
「それで、相手は? 虎かライオンか? まさか水中でシャチと戦えとか言わないよな?」
「そこ迄、我々は鬼じゃない…君の相手は、ワニだ」
「ワニ?」
はぁ~やってくれる。
大型のワニは水辺ではライオンより強いって聞く。
まぁカバやサイ、ゾウじゃないだけマシか…
「良いぜ、やってやるよ! その代り勝ったら、即金で払えよ!」
「我々は南条だ、約束は守る」
「そう、なら良いや」
ワニ位ならどうにかなるだろう。
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