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第24話 吹っ掛ける
しおりを挟む「ふんぐぅハァハァ」
「あうハァハァ」
「兄さん達ゴメンよ、俺が巻きこんじゃったから…」
「兼六、これはお前が悪いんじゃあらへん、試合した結果やで、なぁ賢吾、健四郎?」
「「…」」
痛いのを堪えて無言やがコクリと頷いた。
それで良い。
そうじゃなきゃ兼六が居たたまれへん。
「なぁ、2人とも兼六が悪いと思ってないから気にしないで良いんやで! 悪いが、兄ちゃんちょっとジュースが飲みたいから買ってきてくれへんか?」
「いってくる」
「悪いけど、俺はいつものカロリーゼロのサイダーや頼むな」
「それ病院の自販機にないじゃん…仕方ないコンビニまで行ってくる」
「悪いな」
兼六は格闘技をやってない。
此処からはボクサーいや、格闘技者の話だ。
◆◆◆
「まぁ試合の結果やしかたあらへん、しかもこっちのルールにあわせてだ文句はいえんな!」
「ううっ、ああっ」
「そう…だな」
「それが解っているんならええ! まだ聞いて無いと思うが、2人ともボクサー生命は終わり…まぁ格闘技とは無縁の生活を送るしか無い…頑張りぃ」
「ううっ…」
「ああっ…」
「法律的には問題ないし、相手が正しい! だがな、俺は許せない事が一つあるんや。彼奴はプロ中のプロ! 伝説の亀岡流空手の使い手やったんだ! 人では飽き足らず獣と戦っていた亀岡仙人の弟子やで…こんなの世界チャンプが、僕素人なんです~と言って試合したようなもんや…俺はそれがゆるせないのや! あのガキに試合を申し込むつもりだ…半殺しにしたるからな」
これも八つ当たりなのは解っているんや。
会長から聞いた話では、こちら側が無理やりリングに上がらせたんだ。
素性も知らず、相手は『戦いたくない』そういっていたのを無理やりリングにあげた。
確かに相手は空手家だから格闘家だ。
だが、空手で戦ったわけじゃない。
グローブを嵌めてボクシングのルールでやって負けた。
これで因縁つけるのは明らかに可笑しい。
『こちらが全部悪い』
だがな…明らかに格下の人間を壊すような事をし、女まで奪う。
それが許せん。
悪いが、弟たち以上の地獄に落としたるわ。
翔子、お前を含んで敵討ちや。
地獄をみせたる。
俺は兼六を待たずに病室を後にした。
あと数日の我慢や。
◆◆◆
「世界チャンピオンの鶴橋時也と試合をしろ? 嫌だ!」
「なんで、受けてくれないんだ?」
「前の時にも言ったが、俺にメリットが無い」
「だから、こっちは6000万円を賭けるんだ…」
「だけど、俺は翔子を賭けるんだろう?俺は翔子の事を愛している!だから賭けない!」
「なっ、だが翔子ちゃんは健四郎が賭けたからお前の傍に居るんだろう?だったら…」
「あのな! そもそもプロボクサーが賭け試合をして良い訳? 駄目だよな! あの時は『ど素人』の俺にプロボクサーが無理難題吹っ掛けてきたから、仕方なくああいう条件で受けただけだ! 翔子は俺の恋人で大切な存在なんだから絶対に賭けない…まして相手は世界チャンピオン勝てない相手に大切な恋人賭けられるわけ無いだろう」
「翔子ちゃん、君からも言ってくれないか?」
「ええっ嫌だよ! 私、理人の恋人だもん!」
「翔子ちゃん、君は時也の恋人だろう?」
「時也なんて好きじゃない!私が好きなのは理人だから…もう放っておいてよ…」
「そんな…」
「大体、6千万なんてのもふざけていると思わない? もし私が欲しいなら『全財産』賭ける位の器量見せろ…そう言って置いて」
「翔子ちゃん、それ本気で言っているのかい? 君は時也と結婚すると思っていたんだけど」
「健四郎が負けた時点で時也との関係が終わったのよ!今の私は理人の物だよ…当たり前じゃない?」
「なぁ、どうにか試合を受けてくれないか?」
「だったら5億、それなら受ける! 時也のお金だけじゃ無くジムのお金も含めばその位用意出来るんじゃないか? あと、俺は死んでも翔子を手放す気はない。だから時也にリングで俺を殺す気で来いって伝えて…流石の俺も死んだら別れるしかない! その代わり俺も殺す気でやる。あと、今迄はボクシングのルールでやっていたけど、俺は空手が本来のスタイルだ!グローブ無しの蹴りOKのルールなら良いよ…それでもやるかい?」
「そんな…」
「すぐに決めないで良いからね、それでもやりたいなら声かけて」
此処迄吹っ掛ければ…まぁやらないよな。
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