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第23話 三者三様
しおりを挟む「よう?ボクシング最強主義者の大橋が空手家になんのようだ?」
「飛鳥、そう言わないでくれ、こんど異種格闘戦をする事になったんだが、その相手が『空手家』なんだ!手を貸してくれないか?」
俺と飛鳥はボクシングと空手、どちらが強いか、若い頃から良く話した。
ボクシングでプロになった俺と世界的な空手家になった飛鳥。
互いに、どちらが強いか譲らなかった。
だが亀岡流は想定外だ。
空手について学びたいなら飛鳥しかいない。
「で、試合するのは誰だ!」
「時也だ…」
「時也? 馬鹿じゃねーの?時也なら簡単だろう?蹴りに気をつけて、接近してジャブ、そこからアッパーかストレートを打てばまず負けないだろう!並みの空手家ならそれで終わりだ」
「それで終わらないから、飛鳥に相談したんだ…」
「時也が勝てない格闘家が国内に居るのか? まさかヘビー級の格闘家か?」
「いや、見た感じ軽いな…だが凄腕の空手家だ」
「誰だ!俺の知っている奴か!」
「黒木理人、亀岡仙人の弟子だ!」
「ふっ冗談を!あれは都市伝説だ、確かに獣と戦ったが勝っていない。最後のはガンを嘆いての入水自殺って言うのが本当の所だ!シャチ?大きなホオジロザメ?鯨?あれは頭がいかれた爺の戯言だ!」
「俺もそう思っていた!だがな『亀岡流飛竜拳』俺はこの目で見た!東洋チャンプが一撃で顎を砕かれた。その前にはインターハイ2位プロで通用する奴が防御した腕が折れて顎は粉々だ」
「冗談だろう?」
「冗談なら良かったんだがな…あと3戦で世界戦までいける筈のボクサーがおしゃかだよ…」
「揶揄っているわけじゃねーんだな!」
「ああっ」
「そうか!亀岡流があるのなら俺も見てみたい、俺をセコンドにつけてくれるなら…良いぜ、空手ってもんを叩きこんでやる」
「助かる」
「それで期間は?」
「1週間だ!」
「1週間!良いぜ、1週間でハンマーで殴られても防げる防御を教えてやる! 攻撃は、まぁ自分で頑張れ…ただ、地獄だぜ!」
「地獄、おっさん何言っているん! 余裕に決まっている」
「そうか…それじゃ始めようか?」
飛鳥が教えてくれるなら大丈夫だ。
これで時也の勝ちだ。
◆◆◆
貰った封筒には100万円の束が3つ入っていた。
300万円か、南条財閥にとっちゃ、はした金だろうな。
よく考えたら、あの時銃を持って襲わせた。
俺がバンパイアやインキュバスじゃなければ大怪我。
下手したら死んでいたかも知れない。
これは、その口止めも入っている。
そういう事だ。
「どうかしたの?理人?ニコニコして!」
「いや、ちょっと臨時収入が入ったから、好きな物奢ってやるよ!その後、ラブホでも行こうか?」
「えっ良いの? ならしゃぶしゃぶが良いな」
「何故、しゃぶしゃぶが良いんだ?」
「別にこだわりは無いけど、お肉が食べたいから! それにほら、そこに食べ放題のお店があるじゃん」
「あっ…本当だ!」
今の俺はそんな沢山食べられない。
それを言うのは無粋だな。
食後に翔子(の血と精)を食べるんだから、好きな物を食べさせてやれば良い。
「でしょう? 此処で良い?」
「翔子が食べたい物で良いよ」
「それじゃ、此処で良いんじゃない? ほらっ」
翔子が指さした先にはラブホがあった。
「確かに、良いね」
「でしょう!」
翔子は俺に抱き着いているし、周りから見たらバカップルに見えているんだろうな。
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