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母子団欒

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貰ったお金は取り敢えず持って帰ってきた。

幸いな事に母子家庭なのに俺の部屋はあった。

百合子に聞いた話では、家賃が安いので親父が死んだ後そのまま住み着いているそうだ。

家に帰ってからは部屋に直行して金から5万円だけ取り出し残りの金は机に隠した。

一応鍵が掛かるから少しだけ安心だ。

「百合子、ちょっとバイト代が入ったからすき焼きでも食べに行かないか?」

お袋、お母さん、母さん、色々考えておれは「百合子」と名前で呼ぶ事にした。

会った事も無いが、ややこしいが此奴は俺の娘でもあるのだ。

良く、あの翔子や俺から生まれたのに真面目に育ったもんだ。

不思議で仕方ない。

「竜星ちゃんがバイト?」

「まぁな! 脅されてお金を払う為に働いていたからな! これからは払うつもりは無いから自分の為に使おうと思って」

翔子の面影があるせいか、俺は百合子に甘くなる。

それもあるが、少し俺にも似ていて「娘」だと言うのが嫌程解る。

まぁ、俺が死んでなければ此奴を育てていた。

そう考えたら...罪滅ぼしも良いだろう!


「そう、それなら奢って貰おうかな?」

少し張り込んで近所の食べ放題に行った。

「ここで良いか? 百合子」

「さっきから気になっているのだけど? 自分の母親を呼びつけ? まぁ勇ましくなったのなら良いわ...案外此処高いわよ?」

「全然平気だ、任せておいてくれ!」

「そう? なら任せるわ!」


すき焼きの食べ放題は、国産牛コースで1人4980円、それにドリンクバーを足しても充分足りる。

「良いの? 随分張り込んでいるけど大丈夫なの?」


ただでさえ、百合子の食べさせて貰っていたのに、家の金迄脅されて持ち出していた。

俺のした事では無いといえ申し訳ない気がする。


「大丈夫だよ、結構収入の良いバイトだから」


百合子も俺も金は無く、多分彼奴らの家より苦しい。

なのに、食い物にされていたんだ...これからはたっぷり搾り取ってやるよ。

あっそうか? 徹夜は、家なき子の上に借金を量産されるかも知れないから家以下になるか...まぁ良いや。


「それじゃ、牛肉10皿追加!」

「竜星幾ら何でも頼み過ぎよ!」

「大丈夫だってこの位はさぁ」


しかし、見れば見る程、百合子はみすぼらしいな...母子家庭だから当たり前か。


まぁ、あいつ等から搾り取れば、少しは幸せな生活が送れるだろう。

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