異世界を下から見て生きる ~元中年オヤジの活躍を全くしない異世界ライフ~

石のやっさん

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第49話 奇跡再び

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昨日は凄かった。

散々、お風呂で楽しんだ後にベッドに移動。

そこ迄でヘトヘトだったのに、メリッサに乞われて幽体離脱して……そこに霊子が違う姿で乱入してきて3人で……

驚いた事に死人憑きである霊子にはもう一つの姿があった。

多分、この姿が本来の霊子の姿なのかも知れない。

今現在の霊子も質素な美人だったが、霊体になった霊子は流石は、元遊女セクシーと言うか妖艶というか艶やかな魅力があった。

花魁とか太夫……はたまた時代劇のお姫様みたいな容姿だった。

その姿で乱れるものだから、霊体だと消耗が激しいというのに結構な時間、いたしてしまった。

凄く消耗した状態で体に戻ったら……アリスがむくれながら待っていた。

眠っていたから良いだろう……そう思っていたのに、しっかり目を覚ましていた。 

その分の埋め合わせでそこから、今度はアリスだけを相手に……結果、もう朝、いや、お昼近くになっていた。

魔族と戦ってもいないのに……目の前がオレンジに見えて死ぬかと思った。

◆◆◆

暫くして目が覚めた。

どうやら、俺は気絶してしまったようだ。

三人は流石に満足したみたいで横でスース―と寝息をたてて寝ている。

シャワーを浴びて俺は久しぶりに1人で外出する事にした。

そして、今日も俺は冒険者ギルドに来ている。

心配性なのは解る。

だが、俺には優れたジョブもスキルも無い。

あの優しい女神イシュタス様が、なにか不思議な力と神剣を授けてくれたが、それでも生徒達には及ばない筈だ。

俺1人なら兎も角、今の俺には愛すべき3人の恋人がいる。

少しでもより安全な場所で生活したい。

だから、本当にここ帝国が安全なのか、それが知りたかった。

「帝国が安全かどうかですか? 聖教国や王国に比べれば安全ですが、完璧に安全かと言えば、そうとは言い切れません」

受付嬢がそう答えた。

「そうなのか?」

「はい、陸路という意味では帝国に来るには魔族は聖教国を越え王国を越えてこないといけません。ですが唯一の例外があります」

「例外?」

例外があるのか……

「はい、魔族四天王第三軍団長フェザー率いる空の軍団。 この軍団だけは空が飛べるので二つの国を飛び越えて帝国迄襲ってきます。 定期的に牽制の意味でしょうか……帝都が襲われます」

魔族四天王第三軍団長フェザー。

いまの内容からすると、俺達にとっては最悪の相手だ。

メリッサは幽霊だから関係ないが、霊子もアリスもスピードタイプ。

そんな長距離を飛べるような相手だスピードもあるに違いない。

戦うのは心配だ。

それにミステの特殊能力『死に掛けたら空を飛んで逃がしてくれる』との相性も最悪だ。

昔、学校の裏庭でカラスに襲われて死んでいた猫を見た事がある。

あの状態になりかねない。

しかもそれが一体じゃなく軍団というのだから複数いる。

聞いた話では勝機は見いだせない。

「帝国にその対抗手段はないのですか?」

「今の帝国にはありません。かってはペガサスナイト、竜騎士からなる風の騎士団があったのですが、前回の襲来でフェザーに皆殺しにされてしまいました。軍団ではなくたった1人の魔族フェザーにです」

フェザーってそこ迄強いのか。

「フェザーって……」

「赤き死の天使と呼ばれています。その高速のスピードから繰り出される攻撃には誰もついて行けません。金髪の女性で赤い甲冑を身に纏った天使に見間違える美人です。ですが手には大きな鎌を持っています……その鎌で空の騎士団がペガサスや空竜共々首を跳ねられ殺されました。 空から沢山の首が降ってきた事は今でも忘れられません」

最悪だ……此処でもまだ安全じゃ無かった。

うん? 待てよ……

「フェザーは帝国なら何処でも現れるのか?」

「いえ、恐らく牽制の為か帝都だけです……あっ」

「良い事を教えてくれてありがとう」

俺は笑顔で受付嬢に挨拶をした。

「逃げる気ですか? その清々しい笑顔逃げる気ですね!」

「べ、別に逃げないよ? 仲間の一人が体調が悪いから温泉がある場所に移住を考えていただけだよ」

受付嬢はハァ~と溜息をついた。

「そうですよね……お連れの方冒険者登録も出来ない位顔色悪いですもんね……」

ここにきて霊子が死人憑きで顔色が悪いのが役にたったぞ。

「そうなんだ! だから、何処かの温泉で療養生活でもしようと思ってな」

「へぇ~! そうですかぁ~ですがそれなら、医療技術が進んだ帝国治療院がお勧めです! なんならギルドが推薦状を用意しますよ」

「いや……良いよ」

「そうですか……やはり逃げるのですね」

「すまない、家族が大事なんだ」

もう、三人は家族みたいなものだ。

アリス達を失う可能性があるならどんなに言われても逃げた方が良い。

「そうですよね……それは誰しも同じですもんね。 私が幾ら此処を離れられないとは言え引き留めるのは間違っていますね……スミマセンでした」

「すまないな……」

俺は苦笑いしながら、ギルドを立ち去ろうとしたが……

上から高笑いが聞こえて来た。

「ふっはははははっ! 魔族四天王が一人フェザーの殺戮タイムだぁぁぁぁぁーー」

「まさか、これが……」

「ええっ、フェザーのジェノサイドダンス……空を回遊しながら今日のターゲットを見定めます」

「帝国は動かないのか?」

「昔は戦おうとしましたが、幾ら騎士や兵隊を送っても殺されてしまうので今は放置の方針です……自分が選ばれないように建物から出ない……そうして暴虐が過ぎ去るのを待つしかないのです」

「そうか……」

入口近くの冒険者が入り口を締めた。

俺は近くの窓から外を見た。

確かに凄い美人だ。

金髪の髪にスレンダーなスタイル。

まるでハリウッドスターが霞む位の美人だ。

あれ程の美人は女神イシュタスを除いてみた事が無い。

だが、問題は……嘘だろう。

アリスは何故あんな所に居るんだ。

皆が建物に隠れているのに……

声を出すのは不味い。

だが、アリスに死なれたくない。

俺は入り口に行き、アリスに無言で手招きをした。

「あっ、リヒト様ぁ~」

ああっ……ヤバい。

いま、フェザーがアリスの方を見た。

「今日の最初の獲物はぁーーお前だぁぁぁぁーー」

クソッ……やるしかない。

俺は扉から飛び出し冒険者ギルドから外へ出た。

「フェザーーーーっ俺と勝負だぁぁぁぁーーっ」

俺はミステを構えフェザーを挑発した。

『ミステ逃げるのは無しだ行くぞ』

『主の技量じゃ死ぬぞ……あれは勇者でも無理だ……あと言われるまでも無く我でも逃げられぬ』

『そうか……』

楽しかったな……

孤独で生きて来た俺に三人もの恋人が出来た。

死にたくない。

だが、目の前でアリスが死ぬ位なら、俺が死んだ方がましだ。

すんでの所でフェザーの大釜が止まる。

アリスから俺へターゲットを変えて凄いスピードでフェザーが飛んでくる。

「私に戦いを挑むとはな! ならば、その勇気に免じ先にお前を殺してやろう……あの女はそれから殺す」

「俺に免じて、アリスは殺さないとかならないのかぁぁぁぁーー」

「ならんな」

ならばせめて一太刀浴びせてやる。

「ミステぇぇぇぇぇーーーっ」

『無理だ主……』

俺の首が宙に舞った気がした。

いや舞った……一瞬だが俺はフェザーを下に見ていた。

「ふっははははっ、私のスピードに追い付く存在はこの世には……えっ」

『主……意地が届いたぞ……首を跳ねられながらも意地で刺しに行ったから一太刀浴びせた……見事だ』

「ハァハァ、貴様ぁぁぁぁーーこのフェザーを傷つけるとはな、だがこの程度の傷、たかがかすり傷……うわぁぁぁぁ離せぇぇぇーーぐはっ」

何が起きたのか解らない。

跳ねられた筈の首が自分の体に戻ってくっついていた。

そしてミステを持つ反対側の手がしっかりとフェザーの羽を掴んでいた。

これなら……いける。

俺はそのままミステでフェザーを滅多刺しにした。

お腹をひたすら刺し、引き裂いた。

「ごふっぐふっ……やめ……やぁめよぉぉぉぉーー」

きっと俺を哀れんだイシュタス様が力を貸してくれたんだ。

奇跡が起きている。

フェザーが俺の首を狩り、首が舞う度にそのまま体に戻り繋がる。

こんな奇跡を起こせる存在は女神イシュタス様だけだ。

「やめるわけないだろうがぁぁぁぁーー! お前等が居なければ安全に暮らせるんだぁぁぁぁーー俺の家族の為に死ねーーっ」

「お前はぁ……人間じゃない、ハァハァ化け物だ……ぐはっハァハァ……」

「俺は……」

流石にミステで滅多刺しにし腹を引き裂いたから......その結果……流石のフェザーも死んだ。

『主……もう死んでいる』

「そうか……あっ、これヤバいな」

周りをキョロキョロ見回す

アリスが泣き叫んでいる以外誰も居ない。

だったら……俺はアイテム収納にフェザーを放り込みアリスの手を引いて……その場を立ち去った。




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