僕はその昔、魔法の国の王女の従者をしていた。

石のやっさん

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第15話 それは永遠を意味する

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ぐぅ~っ。

宿屋に帰るとすぐにメリーのお腹が可愛らしく鳴った。

「お腹がすいているんだ」

「すみません、奴隷商では真面にご飯を貰ってなかったんで……ナイト様、食材があればメリーが何か作ります。これでもメイドしていたから、家事は一通りできますから」

「そうなんだ、それでメリーはどんな物が好き?」

「メリーはお肉が好きですが、余りものを頂ければ充分です。奴隷ですから」

ぐうっ。

かなりお腹がすいているんだな。

それなら……

「マジック、マジ―アー! お肉を使ったご馳走をお願い」

魔法って原理は解らないけど、これだけで、七面鳥の丸焼きから、ステーキにハンバーグがテーブルいっぱいに出てくるんだよな。

「あの……凄い、流石は神様、ご飯まで出せるなんて、こんなのメリー見た事がありません」

「まぁ、余り神様は下界に降りてこないからね」

魔法の国の住民という説明をするのがメンドクサイから神様でいいや。

案外、魔法の国の住民って下界では神やら魔王やら女神とかかってに名乗っているから嘘じゃないし……まぁいいや。

「そうなんですね」

「さぁ、気にしないで好きなだけ食べて」

「はい」

しかし、凄い食べっぷりだな。

相当飢えていたんだ。

凄い勢いで食べていく。

それも仕方ないか。

体は治したけど、かなりガリガリだ。

「可哀そうに」

「うん!? メリーの顔に何かついていますか?」

「いいや、何もついて無いよ! そろそろデザートでも出そうか? マジック、マジ―アー! ケーキよ出ろ」

大きなショートケーキ1ホール。

なかなか大きい。

「これも食べて良いんですか?」

「ああっ構わないお食べ」

「はい」

メリーは思う存分食事を食べて……

「うぷっ、おえっげろげろげろーーー! すみません、うぷっ」

盛大に吐いた。

まぁ無理もない、真面に食べていない子にご馳走を食べさせたらこうなる。

今日はお粥位にしておけば良かったのかもね。

「大丈夫だから、マジック、マジ―アー!綺麗にして」

これで良いか。

◆◆◆

「あの、私はナイト様の為に何をすれば良いのでしょうか?」

「そうだな、さっきみたいにしてくれれば良いよ」

「そ、それは……あのエッチな事をすれば良いんですか? 私あれだけは自信があるんです! ナイト様みたいに優しくしてくれるならメリー頑張ります」

「違う」

「え~違うんですか?」

「僕たちは、大抵のことは自分で出来てしまう。例えば、もしメリーの体が欲しければ、マジック、マジ―アー!メリーよ……まぁ顕現すると責任が生じるから途中でやめたけど」

「今、一瞬私が現れました」

「僕たちはその気になれば、人間ですら作れてしまう」

「それじゃ……私なんか……」

「それは違う、作れるのはメリーモドキでメリーじゃない。僕がメーリーを作っても『それは僕に都合の良いメリー』なんだ」

「それって……」

「心が無いとは言わないけど、僕に都合の良い逆らわないメリー、姿かたちは同じだけど似て非なるもの。なんでも出来る僕らに出来ない事は『心』の再現なんだ。だから、僕がメリーに望む物は純粋な愛情……そして、傍に居てくれる。その二つかな」

「そうなのですね……解りました。メリーは生涯ナイト様を愛します。そして離れません。ええっ絶対に」

そうは言っても本当に出来るのかな。

僕と共に死なない人生を歩むことが。


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