僕はその昔、魔法の国の王女の従者をしていた。

石のやっさん

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第12話 出て行く

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魔法使いカブラの記憶が戻った以上、もう学ぶ必要も無いな。

出来ない事は無いし、恐い物なんてなんにも無い。

知識すらもう、必要な物は学んだ。

だから、思い切って1週間たたないけど出て行く事にした。

「此処を出て行きたい? まぁ気持ちは解るが本当に良いのか? 出て行ったら最後、そこからは自分一人で生きて行く事になるんだぞ!」

「構いません」

「そうか……なら俺から言うことは無い。すぐに上に話してきてやる」

特に誰かが止める事も無く、僕はそのままお城から出て行く事になった。

「そら、これがお城からの身分証明と当座の生活費だ。これで会う事も無いだろうが……まぁ達者で暮せ」

「ありがとうございます」

少し寂しいな。

お城の王様やお姫様は兎も角、同級生も見送りなし。

上辺だけの付き合いで友情をはぐくんで来なかったんだから仕方ないな。

まぁ良いや。

これから先で欲しい物は手に入れれば良いや。

「それじゃぁな」

僕に指導してくれた兵士に見送られながら僕は城を後にした。

◆◆◆

という訳で、城から出たんだけど……この世界はこの世界で凄いな。

治安が悪い。

「命が欲しければ身ぐるみ置いていきやがれ」

いきなりこれだ。

ひぃふぅみぃよぉ……ざっと5人。

「たった5人で何するの?」

「渡さないなら、ひどい目にあわせるぞ」

「悪い事いわねー、金目の物を置いていけ」

「僕は平和主義で人を傷つけるのは嫌いなんだ! マジック、マジ―アー!ネズミになれーっ!」

本当は虫に変えるんだけど、可哀そうだからネズミにした。

僕って慈悲深いよね。

「マジック、マジ―アー!ネズミになれーっ!」

「マジック、マジ―アー!ネズミになれーっ!」

しかし、街道を歩いているだけでゴブリンや盗賊に結構会うもんだな。

ハァ~本当に治安が悪い。

僕は本当に戦闘が嫌いなんだよ。

ハァ~殺したり傷つけたりするのが嫌だから全部、ネズミにしているけど……結構めんどくさいんだよね。

しかし、1人で旅するのも、なんだかな~。

誰かが一緒に居た方が楽しいよね。

どうしようかな?

この世界は魔法の国の掟を守らなくて良いんだよな。

それなら……

ゼロから作るか?

それとも、蘇生でもするか?

この世界にも奴隷はいるらしいから買うか?

それとも拾ってしまうか。

どうしようかな?

ゼロから作るのは大変だし、スラムがあるようだから、そこに行けば食事にありつけないような子が拾える。

お金や宝石なら魔法で幾らでも作れるから奴隷を買うのも良いかも知れない。

『蘇生』

それもありだけど、それが原因で僕は人間にされて魔法の国から追い出された。

でも……ここの世界は魔法の国に全く干渉されない。

なら『蘇生』もありだな。

さっきから、魔物や盗賊に良く出くわす。

そのせいか、骨も沢山ある。

材料に事欠かないよね。
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