僕はその昔、魔法の国の王女の従者をしていた。

石のやっさん

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第10話 復活

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追いだされる。

それは決まったがすぐにという訳じゃないみたいだ。

期間は1週間。

ただ、体力的にも他の皆にはついていけないし、この世界での最低限生活出来る知識だけ学ばせてくれる。

それだけみたいだ。

そして……

◆◆◆

「ハァハァゼぃぜぃ……もう駄目だぁ~」

「それじゃ、街から出られないぜ。最悪ゴブリンにすら殺されかねないぞ」

「そう……ですか」

僕に訓練をしてくれているのは一般兵。

同級生は騎士に教わっているが、僕の体力じゃついていけないそうだ。

これからも城に居る同級生と違い、兵士から学べることは学び……あとは自分一人で生きていけ。

そういう事らしい。

遠くで同級生が魔法の練習をしているのが見える。

火の玉やら水の玉を飛ばしているんだけど……

『あれが魔法なの』

何故か頭の中にそんな疑問が浮かんだ。

「もう少し早く走れないと冒険者にもなれないぞ」

僕は相当、体力が無いらしい。

「ハァハァ……はい」

何故か、頭の中で……あれは魔法じゃない。

そんな事が浮かぶ。

魔力も無く魔法が使えない癖に何を言っているんだか。

だけど……『魔法には愛と希望があるのよ』

そんな事を言う少女が浮かぶ。

また妄想しているのか僕は。

生きて行くのもままならないのに。

「走るのが終わったら、簡単な訓練だ。それが終わったら座学だから頑張れ」

「はい……」

本当に僕は馬鹿な事をした。

今になって後悔してももう遅いよな。

◆◆◆

体が痛い。

今日一日の予定を終え自分の部屋に戻ってきた。

狭い部屋にベッドと水差しがある。

それだけの部屋だ。

勿論、同級生の扱いとは違い、ここは使用人ようの部屋だ。

まぁ、この国の為に役立たない人間なのだから、これも仕方ないな。

◆◆◆

むしむしと暑く寝苦しい。

エアコンがある部屋が懐かしい。

なかなか寝付けない。

この部屋の唯一の取り柄が窓がある所だ。

仕方なく窓をあけ、夜風にあたりながら月を見ていた。

月?

何かが引っかかる。

「カブラ……お久しぶり!」

宙に女性が浮いている。

ここは異世界だからそう言う事もあるのかな。

「貴方はだれですか?」

「そうね、貴女は罰を受けて記憶を消されて転生していたんだから仕方ないか!? だけど、お姉ちゃんを忘れるなんてひどいなぁ~。まぁ先に話すわね。 あれから月日が経ってね。お父さまが引退して……」

「意味が解らないんだけど」

「まぁ聞くだけ聞いてよ! 私が魔法の国の女王になったのよ。それでね、カブラがした罪を恩赦で許す事になったのよ……まぁあの件は私のせいでもあるし……」

「あの……」

「それじゃ行くわよ! マジック、マジ―アー! カブラの封印を解き記憶を戻しなさい」

頭が痛い……

思い出した……

思いだした……僕は昔『魔法使い』だった。

「サリナ様」

「お姉ちゃん」

相変わらずだな。

「サリナお姉ちゃん」

「それで良いわ。懐かしいわ、だけどカブラぁ~ここはお姉ちゃんとは全く関係が無い世界なのよ」

「えっ、魔法の国はどの世界とも繋がっているんじゃないの」

「普通はそうなんだけど……此処は違うみたいね。だから魔法の国の掟やルールなんて守らなくて良いから、自由気ままに生きていいわ」

「そう……」

「うん、それじゃカブラ。今度こそ自由に生きなさい……さようなら」

「さようならお姉ちゃん」

僕がお別れを言うとサリナお姉ちゃんは去っていった。

さようならサリナお姉ちゃん。

立派に女王様になって……うんうん良かった。

◆◆◆

お腹がすいたし試してみようかな?

「マジック、マジ―アー シシカバブー」

空中にシシカバブーが現れた。

昔みたいに魔法が使えるみたいだ。

僕は手にしたシシカバブーを齧った。
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