僕はその昔、魔法の国の王女の従者をしていた。

石のやっさん

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第7話【過去①】魔法の国のカブラ

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どこかの世界の魔王城にて

「カブラ、カブラはおるか?」

「はい、魔王様ここにおります!」

「おおっカブラよ!よくぞ参った」

探している時に居ないと怒るんだよな。

基本は紳士的で良い人なんだけど、容赦ないんだよな。

「それで、魔王様一体なんの御用ですか?」

「うむ、この度娘のサリナが修行を兼ねて1年間人間界に行く歳となった」

「確かにサリナ様もそういう歳ですね」

「それでな、カブラよ! すまぬがその一年間娘の従者としてサリナに仕えて貰えぬか?」

え~いやだな。

面倒くさい。

「魔王様、サリナ様なら1人で大丈夫かと……」

「あら、カブラ、私に仕えるのがそんなに嫌なのかしら?」

何処から来たんだ……気がつかなかった。

「さ……サリナ様!? 決してその様な事はございません」

サリナ様は見た目は亜麻色の髪で可愛らしいんだけど、性格が結構滅茶苦茶なんだよな。

それに怒らせると怖いし。

「そう? それなら良かったわ! だけど、カブラはもう少し可愛い方が良いと思うのよ……」

嫌な予感がする。

「サリナ様、それはどう言う事でしょうか?」

「私、前から弟が欲しかったんだ。だから……マジック、マジ―アーカブラよ!子供になれーーっ」

「ちょっとサリナ様、止めて下さい……ああっ、あっ体が……これではまるで子供じゃないですか?」

「子供にしたんだもん!」

「魔王様も何か言って下さい」

「まぁ、サリナの従者だし、それで良いんじゃないか……それでカブラよ!あとは頼んだぞ」

「ちょっと……」

「それじゃカブラ、行こうか?」

「行こうかって、まさか人間界ですか?いつから?」

「今から……ほら」

「解りました」

「むっ、余り可愛くないわね……そうだ、これからカブラは私の事をサリナお姉ちゃんって呼んで」

「サリナ様……」

「お姉ちゃん……そう呼ばないなら犬に変えちゃおうかしら? マジック、マジーア」

やばいな。

「サリナ……お姉ちゃん」

「解かれば良いのよ……さぁ行くわよ! カブラ」

「はい……」

こうして僕は人間の国に王女サリナに連れられて行く事になったんだ。

◆◆◆

「着いたわね」

「サリナ様、人間界になんて魔法の扉で片道なら一瞬で行けるのに何で箒で飛んできたんですか? 正直いってお尻が痛いです」

「魔法使いは箒に乗って空を飛ぶものよ」

「確かに昔はそうでしたが、今は」

「まぁ、良いじゃない? それよりこの場所、家を作るのに良い場所だと思わない?」

「そう思いますが、女王様の時と違って今は色々大変みたいですよ! 戸籍や住民票を用意して土地の所有者に許可を」

「うん……カブラ任せたわ」

笑顔で言われても……

「サリナ様……ハァ~言っても無駄ですね」

「サリナお姉ちゃん……」

「サリナお姉ちゃん……解りましたよ! 私……」

「カブラ……もう少し可愛く」

「僕がやるんですね」

「うん」

「マジック、マジ―アー 僕とサリナお姉ちゃんがここに昔から住んでいるように世界がなれー。この土地もサリナお姉ちゃんの物になれー」

魔法って凄いよね。

原理は解らないけど、これでサリナお姉ちゃんと僕の戸籍と住民票が出来て昔から此処に住んでいる事になっちゃうんだから。

そして、空から1枚の紙が降って来た。

『土地の権利証』

「はい、サリナお姉ちゃん」

「なにカブラ?」

「土地の権利証」

「カブラが保管して置いて」

「はい」

「それじゃ、次頑張って」

「なんでサリナお姉ちゃんは何もしないの?」

「理由はないわ……カブラ任せるわ」

「ハァ~解りました。マジック、マジ―アー」

僕は自分にとっての理想の家をイメージした。

すると地面から次第に家が出来て来る。

ものの10分も掛からず立派な家が出来上がった。

平屋の6LDK。

二人だしこんな物で良いんじゃないかな?

「やっぱり細かい魔法はカブラの方が上手いわね……家具は勿論ついているわよね?」

「勿論、だけどサリナお姉ちゃんの好みに合うかどうかまで解らないよ」

「別に良いわ……気にいらなかったら魔法で変えるから」

「そう……」

こうして僕とサリナ王女の人間界での生活が始まった。




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