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1巻
1-3
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◇◆◇◆◇
パーティハウスに着々と家具などが届き始めた頃――
よく考えれば、家事だけでなくハウスの留守番や管理をする人間が必要だと気付いた。
これは俺だけで決めてはいけない事だ。
「すまないが、急ぎうちのメンバーを一人、誰でも良いから捜してきてほしい」
前世ならスマホがあるから楽だけど、今はこうやってギルドに頼まなければならない。
こんな事なら泊まっている宿屋を聞いておくべきだった。
「そうですね、それならまた見習い冒険者に依頼しましょう」
すると、またもやあっという間に、依頼書を手にした見習い冒険者の女の子がやってきた。
「ケイン様、これ私が受けても良いよね!」
「うん、お願いするよ。俺のパーティメンバーから誰でも良いから一人連れてきて」
「わかった!」
彼女はかなり優秀で、三十分ほどで見つけてきた。
「はい、捜してきました、確認のサインをください」
「早いね……はい、これでいいかな。後これ、お駄賃ね!」
俺はお駄賃として銀貨二枚を手渡した。
「さすがケイン様、太っ腹! ありがとう!」
「ご苦労様!」
彼女が連れてきてくれたのはクルダだった。
「ケイン、どうしましたか? 急用ですか?」
不思議そうに尋ねてくるクルダに、用件を伝える。
「いや、ちょっと付き合ってほしいんだ……」
「どこに行くのかわかりませんが……了解しました」
「それじゃ、お願いする」
そうして俺はクルダを連れて目的の場所に向かった。
「あの、ケイン……ここは奴隷商ですが……まさか、うちを売り飛ばす気ですか!?」
急にこんなところへ連れてこられてクルダは驚いたらしい。
「何を言ってるんだ……俺がそんな事するわけないだろ? 大事なパーティメンバーなんだから。ここには奴隷を買いに来たんだ」
それでもクルダの不安は拭えなかったらしい。
今度は別の心配をされた。
「あの、ケイン……そういうのが必要ならうちに言ってください……ちゃんとお相手しますよ……?」
「だから、違うんだ!」
俺はハウスの管理をしてもらう奴隷が必要な事を、クルダに一から説明した。
「あっ、そういう事ですね……あはははっ、うち誤解しちゃいました」
納得してくれたようで何よりだ。
「さぁ入るか」
「はい」
俺がクルダを促して店に入ると、店員らしき男が声をかけてきた。
「これは、これは……またケイン様に来ていただけるとは光栄です。今日はどんな奴隷をお探しですか?」
この店員は俺の事を知っているらしい。
そういえば前に一度来た事があったな。
俺は早速希望を伝える。
「そうだな……女が良いかな」
俺の言葉にクルダがぎょっとしていたが、説明するのも面倒だしもう無視しておこう。
「女ですか? そういう事なら、とびっきり美人の性処理奴隷がおりますよ!」
こいつもクルダと同じ勘違いをしているのか……
俺は仕方なく説明する。
「違う、違う……家事奴隷が欲しいんだ! 大体そういうのが欲しいなら女性同伴で来るわけないだろ」
「ふむ、そうでしたか。ですが、今は家事奴隷がちょうどいないんです。先日貴族の方がまとめて買っていかれまして」
なるほど、少しタイミングが悪かったか。
「そうか、まあ家事ができれば良いから、人族で年齢が高い人から見せて……」
「はい、わたしは料理とか掃除が得意ですよ! 二十七歳です」
俺が店員に伝え終わる前に、店の奥の方から声が聞こえてきた。
店員が怒鳴りつける。
「お前は黙っていろ! 誰も買わねーよ!」
「わたしだってここから出たいんです!」
店員の怒鳴り声に負けじと、その女性の声も大きくなる。
俺は気になって店員に尋ねる。
「あの、その人……自分から売り込んできたんだし、見せてもらえませんか?」
「いや、見ても良いですが……気を悪くしないでくださいよ」
俺達は声の主の女性が収容されている檻の前に来た。
その女性は髪の毛が黒くて黒目、可愛らしい顔つきをしていた。
「ねっ、ケイン様。見るだけ無駄だったでしょう?」
「これは……ケイン」
店員とクルダが俺の方を見てくる。
しかし、俺には何が無駄なのかわからない。
確かにこの世界の寿命は約五十歳だから、二十七歳はもうおばさんだ。
だが、その他に特筆すべき問題はないように思える。
「まさか、犯罪奴隷なのか?」
気になって聞いてみると、店員は首を横に振った。
「貧乏農家の嫁でしたが、子供も産めないからと売られてきたんです。どうしてもお金にしたいという事だったので〝なんでもあり〟という条件で私が買いました」
「それだけ?」
「だって、黒目、黒髪の女ですよ……」
店員の言葉に俺は少しむっとして言う。
「俺だって黒目で黒髪だ」
すると店員は半ば呆れたように説明した。
「はぁ~良いですか? 男の黒髪はカラス髪、女の黒髪は闇髪と言うんです。男の黒髪はカラスのように艶やかだと評価される一方、女の黒髪は闇みたいで好まれない。当たり前じゃないですか」
そんな事は初めて聞いた。俺はクルダの方を見る。
「そうなのか? クルダ」
「ええ……男の黒髪はいいけど、女の場合は最悪です……常識ですよ」
俺がこの世界に来てかなりの年月が経っているが、ずっと旅をしていた事もあってまともに物を知らない。
だから他の皆から見れば最悪なこの女性も、俺の目には素敵なお姉さんとしか映らない。
俺は店員に確認する。
「ちなみに買うとしたらいくらだ?」
「本当に買うんですか……銀貨一枚です」
異常に安いな。
理由を聞いてみると――
「誰も買わないような奴隷ですよ! ただでさえ黒髪だから価値は低い。二十七歳だから女としても価値はない! お店に置いているのは、なんでもありの奴隷が安く買えるという宣伝のためですよ」
俺はクルダをちらと見やる。
彼女は俺が買いたいならと、頷いてくれた。
「じゃあ、この人を購入しようかな?」
「嘘、本当に買ってくれるんですか!?」
驚きの声を上げたのは、売り込んできた女性の奴隷本人だった。
店員も驚きと呆れを隠そうともせずに、手続きの説明をする。
「奴隷は銀貨一枚ですが、奴隷紋に銀貨四枚かかるので合計銀貨五枚になります」
「構わない」
そうして俺は銀貨五枚を支払い、その女性の奴隷に奴隷紋を刻んでもらった。
「これで、こいつはケイン様に逆らえません。逆らえば激痛が走りますから」
奴隷紋についての説明を聞き終えると、俺達は奴隷商を出た。
そういえば、自己紹介をしてなかったな。
「俺はケイン、こっちがクルダだ。君の名前を教えてくれるかな?」
女性は頭を下げて名乗った。
「はい、シエスタと申します」
こうして家事の不安は奴隷を購入する事で解消された。
奴隷商を後にした俺達は服屋に来ていた。
シエスタがあまりにも酷い服装なので、着替えを買ってあげようと思ったのだ。
ここで俺が服を選んであげられれば格好良かったかもしれないが、残念ながら俺にはそのセンスがない。
「シエスタ、好きな服を選んで買ってくれ。俺はこういうのに疎い。後は生活に必要な物も揃えてくれ」
「あの……ケイン様、わたしは奴隷ですよ? 本当に良いんですか?」
不安そうにこちらを見上げてくるシエスタ。
俺は頷いた。
「気にしないでいいぞ。そうだ、クルダが見てあげてくれないか?」
「はい、わかりました!」
クルダは元気にシエスタの服を選び始める。
しかし、よく見るとクルダの服もあまり良い物ではないな……
俺はクルダに尋ねる。
「おい、クルダ。この前金貨二十枚も渡したのに、なんで服を買ってないんだ?」
「実を言うと、うちもおしゃれとは無縁で……」
クルダは申し訳なさそうに言った。
俺はそれならと、店員を呼んだ。
「すみません、彼女達に似合いそうな服をそれぞれ五着くらいと、女の子が普段から必要な物一式を選んでもらえませんか?」
「わかりました、お任せください!」
二人に選ばせるといつまで経っても決まりそうにないからな。
ややあって店員が選んでくれた商品をまとめて購入する。
早速買った服をシエスタに着てもらった。
今まで奴隷商で閉じ込められていたから、まだ清潔感はちょっと足りない。
それでもかなりましになった。
これで、飯屋に入る分には問題ないだろう。
「あの……こんなに洋服買ってもらって良かったのですか?」
シエスタはまた不安そうに聞いてくる。
「気にしないで良いよ。それじゃお腹も空いたし、飯でも食うか……クルダも一緒にどうだ」
「お供します! 後、うちの服まで買っていただきありがとうございます」
俺は笑って頷くと、二人を連れて服屋を出た。
俺達は近くにある、ちょっと高級な飯屋のテラス席についた。
そこでクルダとシエスタの椅子を引いてあげたのだが……
「どうした、座らないのか?」
シエスタに尋ねると、彼女は恐る恐る聞いてくる。
「あの……ケイン様、わたしは奴隷ですよ?」
確かに主人によっては奴隷を座らせない者もいる。
この店でもそういう奴がいるが……
「俺は気にしないから座ろう」
「……はい」
心なしか嬉しそうにシエスタは席についた。
俺はこほんと咳ばらいをして、改めて宣言する。
「いいか、俺達が目指すのは、全員が楽しく暮らすパーティだ! ポーターだから、奴隷だからって言うのはもうやめてくれ」
「あのですね……うちはそういう贅沢に慣れてなくて……」
クルダの言葉を遮って、俺は言う。
「それでもだ。すぐには無理かもしれないけど、君はSランクの俺のパーティメンバーだ。おしゃれをして贅沢をしても誰も文句言わない。俺のためにも人生を楽しめ」
「ケインのため、ですか?」
「ああ。メンバーのクルダが楽しくなさそうだと、俺も楽しくないからな!」
これだけは胸を張って言える。
クルダも納得してくれたようだった。
「そうですね……はい、わかりました」
「よし、話はおしまい! 今日は俺が奢るから美味しい物を食べよう! クルダもシエスタも好きな物を頼んでくれ」
「「はい!」」
返事は良かったものの、彼女達はなかなかメニューを決められなかった。
結局は……
「すみません、ミノタウロスのステーキ三つ……これでいいか?」
「「はい」」
彼女達が贅沢に慣れるのはまだまだ先になりそうだ。
飯を食べ終わった後、俺達はシエスタの家具を注文して解散しようとしていた。
別れ際、シエスタが尋ねてくる。
「そういえば、ケイン様は今どこに住んでいらっしゃるのですか?」
「今はパーティハウスにいるけど……シエスタが泊まれる環境じゃないし、今日は宿屋にしようかな」
シエスタの家具は注文したばかりなので、ハウスに彼女の寝る場所がないのだ。
「わたしの事なら気になさらないでください。藁の上で寝ていた事もありましたから」
「藁?」
「はい、農村での暮らしなんてそんなものです。ベッドがあるのは裕福な家ですね」
なんとも悲しい話を聞いてしまった。
「……それなら寝具を買ってハウスに帰ろう。それで良いか」
「はい、十分です!」
するとクルダがはい、と元気よく手を挙げた。
「ちょっと待ってケイン! それならうちも行きたいです。ポーターも野営が多いから、地べたに寝るのも慣れていますし」
「わかった。でも、部屋の割り振りは皆が揃ってから決めるからな」
「はい!」
そうして俺達は三人でハウスに向かって歩き始める。
「あの……そういえばさっき家具を買っていただきましたが、置ける部屋があるんでしょうか?」
道すがら、シエスタが尋ねてきた。
俺は頷いて答える。
「もちろん、シエスタの部屋もあるよ」
「っ! ありがとうございます!」
その後、シエスタとクルダの寝具を買って、そのままハウスに帰ってきた。
いったん部屋に荷物を置いて集まる。
「シエスタとクルダは奥のお風呂を使うと良いよ。そっちの方が大きいからね。男は俺一人だから手前の小さい方を使うよ」
「お風呂まであるんですか!?」
シエスタはとても驚いたようだ。
確かにこの世界で風呂は贅沢だからな。
多くの人は水浴びで済ませてしまう。
「ここは温泉が引かれているらしいから、お湯は使いたい放題だ。シャボンも洗髪料もあるし遠慮せず使って」
「「はい」」
風呂に向かう二人を見送って、俺は一息ついた。
「上がりました~」
「お先にいただきました」
クルダとシエスタが戻ってきた。
俺は二人に飲み物の入ったコップを差し出す。
「冷たい物を用意しておいたよ。後シエスタ、これ」
シエスタは首を傾げる。
「これはなんでしょう?」
「財布だよ。金貨五枚入っている。さすがにシエスタは一緒に冒険するわけじゃないから同じ金額は渡せないけど……好きに使って」
「あの、こんな大金もらえません。わたしは奴隷ですよ!」
そんなシエスタの言葉を俺は笑って受け流す。
「気にしない、気にしない。そうだな……シエスタには月に金貨十枚支給するつもりだから、屋敷の掃除や雑用を頑張ってね」
「あのですね……何度でも言いますが、奴隷なんですよ、わたしは」
「俺はそうは思っていない。確かにお金を出して君を買ったけど、今はもう仲間だ。そう思っている。だから気にしないで良いんだ」
「……わかりました」
シエスタは渋々ながら納得したようだ。
その後、次々にやってくる家具の設置などに追われて、俺達は慌ただしく過ごしたのだった。
◇◆◇◆◇
なぜか俺は今、このシュベルター王国の国王アレフド四世の前にいる。
というのも、朝起きてしばらくするとドアを叩く音がしたのだ。
「ケイン殿、申し訳ないが王城まで来ていただけないだろうか?」
外には王家が使用する来賓用の馬車が待っていた。
「来ていただけないだろうか」と言っているが、実質は強制だ。
「支度をしますから、少しお待ちください」
俺はクルダとシエスタに後を頼んで、出かけた。
二人ともかなり驚いていたなあ……
一応、俺は勇者パーティに所属していたので、国王と何回か話した事はある。
と言っても、勇者、聖女、賢者、剣聖のついでの挨拶程度だったが。
今回は来賓仕様の馬車で迎えに来ているのだから、悪い話ではないだろう。
とまあ、こんな具合で王様の前に連れてこられたわけである。
「久しいな、英雄ケイン」
この英雄という呼び名はいつまでも慣れない。
俺のジョブは魔法戦士だが、勇者パーティにいたせいか英雄と呼ばれる事が多いのだ。
「お久しぶりです、アレフド四世様」
「あまり堅苦しくしなくて良いぞ! リヒト率いる勇者パーティを抜けたそうだな。それで今後どうするのか気になっただけだ」
この国王はそんな事で俺を呼び出したのかと呆れてしまったが、俺は素直に答える。
「私は今まで、勇者パーティで旅に次ぐ旅という生活をしてきました。ですので、今後は落ち着いた生活をするつもりです。ここ王都を拠点にして冒険者をしようかと」
「それはここ王都にいてくれる、そういう事で良いのだな?」
「少なくとも今はそのつもりです」
俺の返答に満足したのか、王はふうと息を吐いた。
「それは助かる……今まで大儀であったな。少ないが、王家から今までの謝礼として金貨三千枚を授ける。これを生活の足しにすれば良い」
「ありがたくちょうだいいたします」
「後はこれをやろう」
国王はそう言って一枚のカードを取り出した。
俺はそれを受け取る。
「これは一体なんでしょうか?」
「特別なカードだ。それを出せばいつでも余に会えるし、貴族に見せれば余の知り合いとわかる」
「よろしいのでしょうか?」
「構わぬよ……それでは、王都での活躍、余は楽しみにしておるぞ」
国王はそう言うと、俺を下がらせた。
パーティハウスに着々と家具などが届き始めた頃――
よく考えれば、家事だけでなくハウスの留守番や管理をする人間が必要だと気付いた。
これは俺だけで決めてはいけない事だ。
「すまないが、急ぎうちのメンバーを一人、誰でも良いから捜してきてほしい」
前世ならスマホがあるから楽だけど、今はこうやってギルドに頼まなければならない。
こんな事なら泊まっている宿屋を聞いておくべきだった。
「そうですね、それならまた見習い冒険者に依頼しましょう」
すると、またもやあっという間に、依頼書を手にした見習い冒険者の女の子がやってきた。
「ケイン様、これ私が受けても良いよね!」
「うん、お願いするよ。俺のパーティメンバーから誰でも良いから一人連れてきて」
「わかった!」
彼女はかなり優秀で、三十分ほどで見つけてきた。
「はい、捜してきました、確認のサインをください」
「早いね……はい、これでいいかな。後これ、お駄賃ね!」
俺はお駄賃として銀貨二枚を手渡した。
「さすがケイン様、太っ腹! ありがとう!」
「ご苦労様!」
彼女が連れてきてくれたのはクルダだった。
「ケイン、どうしましたか? 急用ですか?」
不思議そうに尋ねてくるクルダに、用件を伝える。
「いや、ちょっと付き合ってほしいんだ……」
「どこに行くのかわかりませんが……了解しました」
「それじゃ、お願いする」
そうして俺はクルダを連れて目的の場所に向かった。
「あの、ケイン……ここは奴隷商ですが……まさか、うちを売り飛ばす気ですか!?」
急にこんなところへ連れてこられてクルダは驚いたらしい。
「何を言ってるんだ……俺がそんな事するわけないだろ? 大事なパーティメンバーなんだから。ここには奴隷を買いに来たんだ」
それでもクルダの不安は拭えなかったらしい。
今度は別の心配をされた。
「あの、ケイン……そういうのが必要ならうちに言ってください……ちゃんとお相手しますよ……?」
「だから、違うんだ!」
俺はハウスの管理をしてもらう奴隷が必要な事を、クルダに一から説明した。
「あっ、そういう事ですね……あはははっ、うち誤解しちゃいました」
納得してくれたようで何よりだ。
「さぁ入るか」
「はい」
俺がクルダを促して店に入ると、店員らしき男が声をかけてきた。
「これは、これは……またケイン様に来ていただけるとは光栄です。今日はどんな奴隷をお探しですか?」
この店員は俺の事を知っているらしい。
そういえば前に一度来た事があったな。
俺は早速希望を伝える。
「そうだな……女が良いかな」
俺の言葉にクルダがぎょっとしていたが、説明するのも面倒だしもう無視しておこう。
「女ですか? そういう事なら、とびっきり美人の性処理奴隷がおりますよ!」
こいつもクルダと同じ勘違いをしているのか……
俺は仕方なく説明する。
「違う、違う……家事奴隷が欲しいんだ! 大体そういうのが欲しいなら女性同伴で来るわけないだろ」
「ふむ、そうでしたか。ですが、今は家事奴隷がちょうどいないんです。先日貴族の方がまとめて買っていかれまして」
なるほど、少しタイミングが悪かったか。
「そうか、まあ家事ができれば良いから、人族で年齢が高い人から見せて……」
「はい、わたしは料理とか掃除が得意ですよ! 二十七歳です」
俺が店員に伝え終わる前に、店の奥の方から声が聞こえてきた。
店員が怒鳴りつける。
「お前は黙っていろ! 誰も買わねーよ!」
「わたしだってここから出たいんです!」
店員の怒鳴り声に負けじと、その女性の声も大きくなる。
俺は気になって店員に尋ねる。
「あの、その人……自分から売り込んできたんだし、見せてもらえませんか?」
「いや、見ても良いですが……気を悪くしないでくださいよ」
俺達は声の主の女性が収容されている檻の前に来た。
その女性は髪の毛が黒くて黒目、可愛らしい顔つきをしていた。
「ねっ、ケイン様。見るだけ無駄だったでしょう?」
「これは……ケイン」
店員とクルダが俺の方を見てくる。
しかし、俺には何が無駄なのかわからない。
確かにこの世界の寿命は約五十歳だから、二十七歳はもうおばさんだ。
だが、その他に特筆すべき問題はないように思える。
「まさか、犯罪奴隷なのか?」
気になって聞いてみると、店員は首を横に振った。
「貧乏農家の嫁でしたが、子供も産めないからと売られてきたんです。どうしてもお金にしたいという事だったので〝なんでもあり〟という条件で私が買いました」
「それだけ?」
「だって、黒目、黒髪の女ですよ……」
店員の言葉に俺は少しむっとして言う。
「俺だって黒目で黒髪だ」
すると店員は半ば呆れたように説明した。
「はぁ~良いですか? 男の黒髪はカラス髪、女の黒髪は闇髪と言うんです。男の黒髪はカラスのように艶やかだと評価される一方、女の黒髪は闇みたいで好まれない。当たり前じゃないですか」
そんな事は初めて聞いた。俺はクルダの方を見る。
「そうなのか? クルダ」
「ええ……男の黒髪はいいけど、女の場合は最悪です……常識ですよ」
俺がこの世界に来てかなりの年月が経っているが、ずっと旅をしていた事もあってまともに物を知らない。
だから他の皆から見れば最悪なこの女性も、俺の目には素敵なお姉さんとしか映らない。
俺は店員に確認する。
「ちなみに買うとしたらいくらだ?」
「本当に買うんですか……銀貨一枚です」
異常に安いな。
理由を聞いてみると――
「誰も買わないような奴隷ですよ! ただでさえ黒髪だから価値は低い。二十七歳だから女としても価値はない! お店に置いているのは、なんでもありの奴隷が安く買えるという宣伝のためですよ」
俺はクルダをちらと見やる。
彼女は俺が買いたいならと、頷いてくれた。
「じゃあ、この人を購入しようかな?」
「嘘、本当に買ってくれるんですか!?」
驚きの声を上げたのは、売り込んできた女性の奴隷本人だった。
店員も驚きと呆れを隠そうともせずに、手続きの説明をする。
「奴隷は銀貨一枚ですが、奴隷紋に銀貨四枚かかるので合計銀貨五枚になります」
「構わない」
そうして俺は銀貨五枚を支払い、その女性の奴隷に奴隷紋を刻んでもらった。
「これで、こいつはケイン様に逆らえません。逆らえば激痛が走りますから」
奴隷紋についての説明を聞き終えると、俺達は奴隷商を出た。
そういえば、自己紹介をしてなかったな。
「俺はケイン、こっちがクルダだ。君の名前を教えてくれるかな?」
女性は頭を下げて名乗った。
「はい、シエスタと申します」
こうして家事の不安は奴隷を購入する事で解消された。
奴隷商を後にした俺達は服屋に来ていた。
シエスタがあまりにも酷い服装なので、着替えを買ってあげようと思ったのだ。
ここで俺が服を選んであげられれば格好良かったかもしれないが、残念ながら俺にはそのセンスがない。
「シエスタ、好きな服を選んで買ってくれ。俺はこういうのに疎い。後は生活に必要な物も揃えてくれ」
「あの……ケイン様、わたしは奴隷ですよ? 本当に良いんですか?」
不安そうにこちらを見上げてくるシエスタ。
俺は頷いた。
「気にしないでいいぞ。そうだ、クルダが見てあげてくれないか?」
「はい、わかりました!」
クルダは元気にシエスタの服を選び始める。
しかし、よく見るとクルダの服もあまり良い物ではないな……
俺はクルダに尋ねる。
「おい、クルダ。この前金貨二十枚も渡したのに、なんで服を買ってないんだ?」
「実を言うと、うちもおしゃれとは無縁で……」
クルダは申し訳なさそうに言った。
俺はそれならと、店員を呼んだ。
「すみません、彼女達に似合いそうな服をそれぞれ五着くらいと、女の子が普段から必要な物一式を選んでもらえませんか?」
「わかりました、お任せください!」
二人に選ばせるといつまで経っても決まりそうにないからな。
ややあって店員が選んでくれた商品をまとめて購入する。
早速買った服をシエスタに着てもらった。
今まで奴隷商で閉じ込められていたから、まだ清潔感はちょっと足りない。
それでもかなりましになった。
これで、飯屋に入る分には問題ないだろう。
「あの……こんなに洋服買ってもらって良かったのですか?」
シエスタはまた不安そうに聞いてくる。
「気にしないで良いよ。それじゃお腹も空いたし、飯でも食うか……クルダも一緒にどうだ」
「お供します! 後、うちの服まで買っていただきありがとうございます」
俺は笑って頷くと、二人を連れて服屋を出た。
俺達は近くにある、ちょっと高級な飯屋のテラス席についた。
そこでクルダとシエスタの椅子を引いてあげたのだが……
「どうした、座らないのか?」
シエスタに尋ねると、彼女は恐る恐る聞いてくる。
「あの……ケイン様、わたしは奴隷ですよ?」
確かに主人によっては奴隷を座らせない者もいる。
この店でもそういう奴がいるが……
「俺は気にしないから座ろう」
「……はい」
心なしか嬉しそうにシエスタは席についた。
俺はこほんと咳ばらいをして、改めて宣言する。
「いいか、俺達が目指すのは、全員が楽しく暮らすパーティだ! ポーターだから、奴隷だからって言うのはもうやめてくれ」
「あのですね……うちはそういう贅沢に慣れてなくて……」
クルダの言葉を遮って、俺は言う。
「それでもだ。すぐには無理かもしれないけど、君はSランクの俺のパーティメンバーだ。おしゃれをして贅沢をしても誰も文句言わない。俺のためにも人生を楽しめ」
「ケインのため、ですか?」
「ああ。メンバーのクルダが楽しくなさそうだと、俺も楽しくないからな!」
これだけは胸を張って言える。
クルダも納得してくれたようだった。
「そうですね……はい、わかりました」
「よし、話はおしまい! 今日は俺が奢るから美味しい物を食べよう! クルダもシエスタも好きな物を頼んでくれ」
「「はい!」」
返事は良かったものの、彼女達はなかなかメニューを決められなかった。
結局は……
「すみません、ミノタウロスのステーキ三つ……これでいいか?」
「「はい」」
彼女達が贅沢に慣れるのはまだまだ先になりそうだ。
飯を食べ終わった後、俺達はシエスタの家具を注文して解散しようとしていた。
別れ際、シエスタが尋ねてくる。
「そういえば、ケイン様は今どこに住んでいらっしゃるのですか?」
「今はパーティハウスにいるけど……シエスタが泊まれる環境じゃないし、今日は宿屋にしようかな」
シエスタの家具は注文したばかりなので、ハウスに彼女の寝る場所がないのだ。
「わたしの事なら気になさらないでください。藁の上で寝ていた事もありましたから」
「藁?」
「はい、農村での暮らしなんてそんなものです。ベッドがあるのは裕福な家ですね」
なんとも悲しい話を聞いてしまった。
「……それなら寝具を買ってハウスに帰ろう。それで良いか」
「はい、十分です!」
するとクルダがはい、と元気よく手を挙げた。
「ちょっと待ってケイン! それならうちも行きたいです。ポーターも野営が多いから、地べたに寝るのも慣れていますし」
「わかった。でも、部屋の割り振りは皆が揃ってから決めるからな」
「はい!」
そうして俺達は三人でハウスに向かって歩き始める。
「あの……そういえばさっき家具を買っていただきましたが、置ける部屋があるんでしょうか?」
道すがら、シエスタが尋ねてきた。
俺は頷いて答える。
「もちろん、シエスタの部屋もあるよ」
「っ! ありがとうございます!」
その後、シエスタとクルダの寝具を買って、そのままハウスに帰ってきた。
いったん部屋に荷物を置いて集まる。
「シエスタとクルダは奥のお風呂を使うと良いよ。そっちの方が大きいからね。男は俺一人だから手前の小さい方を使うよ」
「お風呂まであるんですか!?」
シエスタはとても驚いたようだ。
確かにこの世界で風呂は贅沢だからな。
多くの人は水浴びで済ませてしまう。
「ここは温泉が引かれているらしいから、お湯は使いたい放題だ。シャボンも洗髪料もあるし遠慮せず使って」
「「はい」」
風呂に向かう二人を見送って、俺は一息ついた。
「上がりました~」
「お先にいただきました」
クルダとシエスタが戻ってきた。
俺は二人に飲み物の入ったコップを差し出す。
「冷たい物を用意しておいたよ。後シエスタ、これ」
シエスタは首を傾げる。
「これはなんでしょう?」
「財布だよ。金貨五枚入っている。さすがにシエスタは一緒に冒険するわけじゃないから同じ金額は渡せないけど……好きに使って」
「あの、こんな大金もらえません。わたしは奴隷ですよ!」
そんなシエスタの言葉を俺は笑って受け流す。
「気にしない、気にしない。そうだな……シエスタには月に金貨十枚支給するつもりだから、屋敷の掃除や雑用を頑張ってね」
「あのですね……何度でも言いますが、奴隷なんですよ、わたしは」
「俺はそうは思っていない。確かにお金を出して君を買ったけど、今はもう仲間だ。そう思っている。だから気にしないで良いんだ」
「……わかりました」
シエスタは渋々ながら納得したようだ。
その後、次々にやってくる家具の設置などに追われて、俺達は慌ただしく過ごしたのだった。
◇◆◇◆◇
なぜか俺は今、このシュベルター王国の国王アレフド四世の前にいる。
というのも、朝起きてしばらくするとドアを叩く音がしたのだ。
「ケイン殿、申し訳ないが王城まで来ていただけないだろうか?」
外には王家が使用する来賓用の馬車が待っていた。
「来ていただけないだろうか」と言っているが、実質は強制だ。
「支度をしますから、少しお待ちください」
俺はクルダとシエスタに後を頼んで、出かけた。
二人ともかなり驚いていたなあ……
一応、俺は勇者パーティに所属していたので、国王と何回か話した事はある。
と言っても、勇者、聖女、賢者、剣聖のついでの挨拶程度だったが。
今回は来賓仕様の馬車で迎えに来ているのだから、悪い話ではないだろう。
とまあ、こんな具合で王様の前に連れてこられたわけである。
「久しいな、英雄ケイン」
この英雄という呼び名はいつまでも慣れない。
俺のジョブは魔法戦士だが、勇者パーティにいたせいか英雄と呼ばれる事が多いのだ。
「お久しぶりです、アレフド四世様」
「あまり堅苦しくしなくて良いぞ! リヒト率いる勇者パーティを抜けたそうだな。それで今後どうするのか気になっただけだ」
この国王はそんな事で俺を呼び出したのかと呆れてしまったが、俺は素直に答える。
「私は今まで、勇者パーティで旅に次ぐ旅という生活をしてきました。ですので、今後は落ち着いた生活をするつもりです。ここ王都を拠点にして冒険者をしようかと」
「それはここ王都にいてくれる、そういう事で良いのだな?」
「少なくとも今はそのつもりです」
俺の返答に満足したのか、王はふうと息を吐いた。
「それは助かる……今まで大儀であったな。少ないが、王家から今までの謝礼として金貨三千枚を授ける。これを生活の足しにすれば良い」
「ありがたくちょうだいいたします」
「後はこれをやろう」
国王はそう言って一枚のカードを取り出した。
俺はそれを受け取る。
「これは一体なんでしょうか?」
「特別なカードだ。それを出せばいつでも余に会えるし、貴族に見せれば余の知り合いとわかる」
「よろしいのでしょうか?」
「構わぬよ……それでは、王都での活躍、余は楽しみにしておるぞ」
国王はそう言うと、俺を下がらせた。
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信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
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スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
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この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
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しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
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18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
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友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
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だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
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屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
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母が死にました。
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わー、凄いテンプレ展開ですね!
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2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
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少し冷めた村人少年の冒険記
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優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
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レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
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同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
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*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
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