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1巻
1-2
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その日の夕方、町に戻ってきた俺達は早速ギルドに報告しに行った。
「お帰りなさい、ケイン様! 依頼の方はどうでしたか?」
微笑みかけてくるギルドの受付嬢に、俺は上機嫌で答える。
「もちろん、こなしてきたよ。それで倉庫を使わせてくれないか? 後、今日の報酬は即金で支払ってもらえると助かる」
「良いですよ、そのくらい融通します。それじゃあ、倉庫に行きますか?」
「ああ、ちょっと待ってくれ……」
俺はそう言って、傍らにいるクルダに声をかける。
「クルダ、悪いけど倉庫まで付き合ってくれ。他の皆は酒場で飲み物でも飲んで休んでて」
「了解しました」
「「「は~い」」」
その後、受付嬢とクルダとともに倉庫に移動する。
「それじゃクルダ、出してくれ」
「はーい」
クルダが収納魔法でしまっていたワイバーンを、目の前に積み重ねていく。
それを見た受付嬢は驚いて笑ってしまっていた。
「あはははっ、一体じゃなかったんですね? 十八体! 騎士団でも一体を相手にするのが精一杯なのに……とりあえず、ギルドマスターを呼んできます!」
そう言うと、受付嬢は走って行ってしまった。
しばらくして、ひげもじゃでがっしりした体格の男、ギルドマスターのアウターが倉庫に入ってきた。
「久しぶりだな。ギルドマスター」
「やっぱりケインだったか……派手にやったもんだ。ワイバーンの買い取りと言ったな。だが、この数だと恐らく依頼料と合わせて金貨千枚ほどになる。さすがに即金は難しい」
この世界の金貨一枚は、日本円でおよそ十万円。千枚だと約一億円だ。
「だが、俺は今すぐパーティハウスが欲しいんだ」
俺が拠点の話を切り出すと、ギルドマスターはぽんと手を打った。
「なら話は簡単だ! パーティハウスはギルドが斡旋している。そこから選んでもらって、ハウス分の金額を差し引いた報酬を支払うよ」
「それなら構わない」
その後、メンバー全員で受付に行き、物件の情報をいくつか見せてもらった。
パーティハウスは皆が住む場所だ。全員が気に入らなければ意味がない。しかし、皆遠慮しているのか、なかなか決まらない。
だったら一番良いのにしとくか。俺は早速提案する。
「これなんかどうかな? 部屋がたくさんあるからそれぞれ自分の部屋が持てるし、倉庫や調理場も十分だ。何より他の家と違って風呂場がある」
「だが、これ金貨五百枚だぞ! 高額すぎないか?」
俺の選んだ家の資料を見たアイシャが、驚きの声を上げた。
アリスやメルル、クルダもうんうんと頷いている。
しかし、俺はこの家の有用性を主張する。
「君達は冒険者だけど、女の子でもあるんだよ? この家がある地域は治安がいい。それにギルドも衛兵の詰め所も近いから安全だ!」
声高に説明する俺をまじまじと見つめる四人。
やがて渋々ながらも納得してくれた。
皆の許しを得た俺は、家の資料を見せてくれていた受付嬢に向き直って言う。
「それじゃ、このハウスにするよ。名義はパーティメンバー全員で」
「これにするんですね。かしこまりました。では、早速手続きいたします」
こうして俺達は最初の目標であるパーティハウスを、パーティ結成からわずか一日で手に入れた。
◇◆◇◆◇
パーティハウスを購入した次の日。
俺達は新居で使う家具を買いに行く事にした。
待ち合わせ場所に到着すると、女の子達四人は既に揃っていた。
「皆、早いね……それじゃ買い物に行こうか。資金はたっぷりあるから、必要な物を全部買い揃えよう! 元から持っている物があっても、くたびれているならこれを機に新品に買い替えても良いからね」
俺がそう言うと、皆は顔を見合わせた。
「Aランクとはいえ宿屋暮らしだ。ろくに家具など持ってない。すまないが、全部買う事になる」
「私も同じ、持ち物は杖と着替えしかない」
アイシャの言葉にアリスも頷いた。
「あたしも似たようなものですね」
「ポーターは稼ぎが少ないので……すみません、何も持っていません!」
メルルとクルダもすまなそうに俺を見てくる。
だが、そんな事はなんの問題もない。
「心配しなくてもいい。俺も同じだ」
そもそも冒険者なんてしていれば、よほど安定して稼いでいない限り賃貸すら借りられない。
冒険者として成功していても、家を持たず宿で生活している者が大半だ。
だから、皆が装備と着替えくらいしか持っていなくても驚かない。
俺だって勇者パーティにいたが、お金は勇者であるリヒトが管理していたので、大金を使う機会などなかった。
「さて、大きい物から買おうか……まずは家具からかな」
俺達は早速家具屋へと向かった。
到着した家具屋で、俺達は店内を見て回る。
この世界では全ての家具がオーダーメイドだ。
なので店に置いてある物は、中古品かサンプルという事になる。
工場などの生産ラインがないからそれほど不思議ではないのだが、この世界に来た当初は驚いた記憶がある。
全ての家具で全員の希望を聞いていたらきりがないので、全員で使う物は俺が頼んで、各自の部屋の家具は各々で注文する事にした。
「お金は気にしなくて良いよ! 家具は長く使う物だからよく考えて頼んで」
「「「「はい」」」」
その後は俺も自分なりのこだわりを伝えて、家具を注文した。
思ったよりも時間がかかるらしく、家具の完成まで約三週間との事。
完成したら配達してくれるそうだ。
寝具やカーテンや絨毯のみならず、調理器具なども同じくらいの時間がかかるらしい。
そうなると今買える物は、食器や小物しかない。
だが、それらは今あっても仕方ないので後日買う事にした。
俺は皆に確認する。
「これで、必要な物は全部注文し終わったかな?」
アイシャが首を傾げながら言う。
「こういった経験がないからわからないが、たぶん大丈夫ではないか……?」
「皆宿屋暮らしだったんだから仕方ないわ。足りなければ後で買えば良いのよ」
きっぱりと言うアリスに、メルルとクルダは頷く。
「そうですね……自分がパーティハウス持ちのメンバーなんだって、今頃になって実感してきました」
「ポーターなのに部屋持ち……信じられません」
なんだかんだ言って皆、満足のいく買い物ができたのかな。
「今日はもうやる事はないし、そのあたりでお茶でも飲みながら少し話さないか?」
パーティを結成してまだ二日しか経っていない。
これから一緒に暮らすのだから、親睦を深めておいた方がいいだろう。
そう思っての提案だったが、皆乗り気のようだ。
「そうだな! パーティの連携は重要だし、意思疎通をスムーズにするためにもそのような場は重要だ」
「そうね」
「あたし暇ですから大丈夫です」
「うちももちろん暇です」
アイシャ、アリス、メルル、クルダは元気よく返事をしてくれた。
それから俺達は喫茶店のような場所で、今後の事を色々と話し合った。
「昨日のワイバーン狩りで思ったより稼げたから、生活費もかなりの額を分配できるな。家具がない間はハウスもほとんど使えないから、今のうちにお金を分けておこう」
「それは助かるな。一人当たりどのくらいになる?」
俺はアイシャの質問に答える。
「そうだな……後でパーティのお金が足りなくなると困るから、今回は金貨二十枚ずつにしようと思う。どうかな?」
「金貨二十枚……そんな大金良いの?」
アリスがびっくりしたように聞き返してきた。
メルルとクルダも困惑気味だ。
「あの……あたしはBランクですが、そんなに……?」
「う、うちはポーターです。金貨なんて手にするのは初めてです」
金貨二十枚だと、日本円にして二百万円くらいになる。
確かに大金ではあるが、アイシャやアリスは冒険者ランクが高く、そこそこ名前も売れている。
このくらいの金額なら、稼いだ事もあると思っていたが。
皆今までどのような待遇を受けてきたのだろうか……気になるな。
まあ、今はランクだとかそんなものは関係ない。
俺の目標は〝無理をしないで全員が楽しく暮らす〟だ。
「三週間もあるんだ。まずはそのお金でゆっくりしてくれ。今泊まっている宿の支払いもあるだろう? それに今後は、月に金貨四十枚ずつ分けられるようにするつもりだ。一応、パーティとして活動するのは週に三日くらいで、残りは休みにしようと思っている」
俺がそう伝えると、アイシャが慌てて尋ねてくる。
「そのペースで金貨四十枚は、かなり厳しいのではないか?」
「あくまでこれは目標だ。だが、実現できると俺は考えている」
「どうだろうか……そんな夢のような生活ができるならしてみたいが……」
アイシャはなおも不安そうだ。
アリス、メルル、クルダもアイシャと同じような考えらしい。
「それは、冒険者なら誰もが送ってみたい生活ね」
「夢の先にある夢みたいなものですね」
「実現すればうちは世界で一番幸せなポーターになります」
まあ、最初は皆疑問に思うだろう。
だが、実現できるかどうかの不安はあれど、皆反対という感じではない。
「それじゃ、今日はこれで解散しよう。俺は家具はないがハウスの方になるべくいるようにする。その方が連絡も取りやすいだろう。何かあったら来てくれ。それじゃあ、また」
そうして俺は店を後にして、購入したばかりのハウスに向かうのだった。
◇◆◇◆◇
ケインが去った後、アイシャ達はその場に残り、話をしていた。
ケインのパーティに入ってから二日の間にイベントがありすぎて、彼女達は頭が追いついていなかった。
最初に口を開いたのはアイシャだ。
「Sランクって凄いな……」
「凄いなんてものじゃないわ。たった一日で金貨千枚よ! ありえない! しかも、普通の人なら自分の取り分を多くするのに……均等に分けるなんて信じられないわ」
アリスが語気を強めた。
アイシャもうんうんと頷く。
「確かにありえないな……私はただ立っていただけだ」
「私だって、数発魔法を放っただけだわ……正直に言うけど、パーティに入れてくれたのって体目当てかと思ったの」
勢いよく話すアイシャとアリスを、メルルとクルダは呆然と見ている。
「ケインに関してはそれはありえないだろうな……彼がその気になれば、いくらでも可愛い奴隷が買える」
「そうなのよ! さっきもらった金貨二十枚で美女奴隷が買えるわ」
アイシャもアリスも、自分の容姿が並み以上である事は十分自覚している。
幾度となく言い寄られた経験がある二人だったが、ケインからは全く下心を感じないのだ。
アリスは続けざまに言う。
「正直私はそういう関係になっても良いと思っていたわ。それで人生が保証されるなら十分と思っていたの」
「私はそこまで打算的ではなかったが、それで、Sランクのパーティに入れるならとは考えたな」
その時、アイシャはふと感じた事を口にした。
「それにしてもアリス。お前は〝アイスドール〟なんて言われているから、あまり喋らない奴だと思っていたんだが……」
「私は元々こういう性格なの。その名前は周りが勝手に呼んでるだけよ」
そこでようやくメルルとクルダが口を開いた。
「アイシャさんやアリスさんが好待遇なのはまだわかりますよ。Aランクで立派な二つ名までついているんですから……あたしなんてBランクの無名冒険者です。そんなあたしがパーティに入れてもらえるなんて」
「うちもまさかこんなに良くしてもらえるなんて思っていなかったです。ポーターなんて〝運び屋〟とか言われて蔑まれる存在ですからね」
この世界ではジョブによる格差が存在する。戦闘で活躍するクルセイダーなどは重宝されるが、ポーターのような地味なジョブは低く見られがちだ。
だが、アイシャは首を横に振った。
「ポーターでもクルセイダーでも変わらないさ。何せ相手は元勇者パーティ所属のSランク。ケインから見れば私達は皆同じようなものだ」
話が一段落したところで、皆で冷えたお茶をすする。
すると、今度はメルルが話し始めた。
「あの……皆さん、仕事の話ばかりですが、ケインは凄い美形ですよね? 艶のある黒髪に黒目、体は鍛えられているけど決して筋肉ダルマじゃなくて細い。しかも肌なんて女のあたしよりきめ細やかで綺麗なんですよ!」
クルダも同意する。
「そうですよ、あれは反則です! 勇者パーティにいた時はきっと目立たないようにしていたんでしょう」
その後も話は過熱していき、気付けばもう夜になろうかという時刻だった。
これだけ話していれば欠点の一つも出てきそうだが、ケインに関しては全くなかった。
「まあ、私達を拾ってくれたケインの期待に応えられるよう、これから一緒に頑張っていこう」
最後にアイシャがそう締めくくり、今回のお茶会はお開きとなった。
◇◆◇◆◇
家具が来るまでの間、何もせずにいるのも退屈なので、俺ケインは家の掃除をする事にした。
せっかくパーティハウスを手にしたのだから、綺麗にして皆を迎えようと思っていたんだが……これが案外難しい。
とにかく家が広すぎるし、掃除道具なども揃っていない。
早々に自力での掃除を諦めた俺は、ギルドを頼る事にした。
ギルドに着き、受付に向かう。
「依頼を出したいんだが……」
「Sランク冒険者のあなたが依頼を受けるのではなく出すのですか? どのような内容でしょう?」
受付嬢だけでなく、ギルドに居合わせた冒険者全員がこちらに聞き耳を立てている。
Sランク冒険者が依頼を出すのがそんなに珍しいか?
「ただの掃除の依頼だからFランクか見習いで十分だ……ついでに掃除のコツを教えてくれる奴だと助かる」
受付嬢は頷いた。
「わかりました。そういう依頼なら、一人当たり銅貨三枚も出せば良いと思います。何人必要ですか?」
掃除してもらう範囲が広いし、人数が少ないと可哀想だな……
「なら、六人ほど頼めるか」
受付嬢は再度頷いて、依頼書を作成する。
彼女がそれを貼り出した瞬間、子供の冒険者がひったくるように依頼書を持っていった。
「ケイン様、この依頼は僕達で引き受けても良いかな?」
依頼書を手にした男の子の冒険者が、俺に尋ねてくる。
「もちろんだよ。ついでに掃除の仕方も教えてくれないか?」
「了解、任せておいて!」
すぐに依頼に取りかかりたいと言うので、仲間を連れてきた彼を早速パーティハウスに案内し掃除を始めてもらう。
子供とはいえ、こういう依頼には慣れているのだろう。あっという間に家が綺麗になっていく。
そして、俺は……隅で休んでいた。
依頼書を持ってきた男の子が呆れたように笑う。
「はははっ、Sランクのケイン様でも苦手な事があるんだな」
そう、俺は掃除が壊滅的に苦手な事がわかった。
今まで旅をしていてずっと宿屋暮らしだったから、掃除なんてした事がない。
馬車の御者もできるし料理もできるのに、まさか掃除がここまでできないとは思わなかった。
邪魔をしちゃいけないので、掃除は彼らに任せる事にしたのだ。
三時間ほど経った頃には、家がぴかぴかの状態になっていた。
「それじゃ、依頼書にサインをくれるかな?」
子供達を代表して、先ほどの男の子が依頼書を俺に渡してくる。
「はいよ……後これ、お駄賃だ」
俺は通常の報酬に加えて全員に銅貨を一枚ずつ渡した。
「ほら皆、ケイン様が追加報酬をくれたぞ。お礼を言おうぜ」
「「「「「ありがとうございました」」」」」
声を揃えて頭を下げる子供達に、俺は笑顔で応える。
「また何かあったら頼むよ」
彼らは笑顔で帰っていった。
俺は綺麗になったパーティハウスを改めて見て回る。
勇者パーティの時はしょっちゅう野営をしていたが、ここには風呂とトイレ、自分の部屋まである。
家具が届くまでは三週間ほど。それまでは毛布一つあれば十分だろう。
俺は何かあった時に対応しやすいように、入口に一番近い部屋を自室にした。
他は皆で話し合って決めていけば良いと思う。
後は家事なんかができる人がいればなあ……
他のメンバーも俺と同じく冒険者だし、家事は期待しない方がいいだろう。
家事をしてくれる人がいたらかなり助かるのだ。
皆に相談する必要があるかもしれない。
「お帰りなさい、ケイン様! 依頼の方はどうでしたか?」
微笑みかけてくるギルドの受付嬢に、俺は上機嫌で答える。
「もちろん、こなしてきたよ。それで倉庫を使わせてくれないか? 後、今日の報酬は即金で支払ってもらえると助かる」
「良いですよ、そのくらい融通します。それじゃあ、倉庫に行きますか?」
「ああ、ちょっと待ってくれ……」
俺はそう言って、傍らにいるクルダに声をかける。
「クルダ、悪いけど倉庫まで付き合ってくれ。他の皆は酒場で飲み物でも飲んで休んでて」
「了解しました」
「「「は~い」」」
その後、受付嬢とクルダとともに倉庫に移動する。
「それじゃクルダ、出してくれ」
「はーい」
クルダが収納魔法でしまっていたワイバーンを、目の前に積み重ねていく。
それを見た受付嬢は驚いて笑ってしまっていた。
「あはははっ、一体じゃなかったんですね? 十八体! 騎士団でも一体を相手にするのが精一杯なのに……とりあえず、ギルドマスターを呼んできます!」
そう言うと、受付嬢は走って行ってしまった。
しばらくして、ひげもじゃでがっしりした体格の男、ギルドマスターのアウターが倉庫に入ってきた。
「久しぶりだな。ギルドマスター」
「やっぱりケインだったか……派手にやったもんだ。ワイバーンの買い取りと言ったな。だが、この数だと恐らく依頼料と合わせて金貨千枚ほどになる。さすがに即金は難しい」
この世界の金貨一枚は、日本円でおよそ十万円。千枚だと約一億円だ。
「だが、俺は今すぐパーティハウスが欲しいんだ」
俺が拠点の話を切り出すと、ギルドマスターはぽんと手を打った。
「なら話は簡単だ! パーティハウスはギルドが斡旋している。そこから選んでもらって、ハウス分の金額を差し引いた報酬を支払うよ」
「それなら構わない」
その後、メンバー全員で受付に行き、物件の情報をいくつか見せてもらった。
パーティハウスは皆が住む場所だ。全員が気に入らなければ意味がない。しかし、皆遠慮しているのか、なかなか決まらない。
だったら一番良いのにしとくか。俺は早速提案する。
「これなんかどうかな? 部屋がたくさんあるからそれぞれ自分の部屋が持てるし、倉庫や調理場も十分だ。何より他の家と違って風呂場がある」
「だが、これ金貨五百枚だぞ! 高額すぎないか?」
俺の選んだ家の資料を見たアイシャが、驚きの声を上げた。
アリスやメルル、クルダもうんうんと頷いている。
しかし、俺はこの家の有用性を主張する。
「君達は冒険者だけど、女の子でもあるんだよ? この家がある地域は治安がいい。それにギルドも衛兵の詰め所も近いから安全だ!」
声高に説明する俺をまじまじと見つめる四人。
やがて渋々ながらも納得してくれた。
皆の許しを得た俺は、家の資料を見せてくれていた受付嬢に向き直って言う。
「それじゃ、このハウスにするよ。名義はパーティメンバー全員で」
「これにするんですね。かしこまりました。では、早速手続きいたします」
こうして俺達は最初の目標であるパーティハウスを、パーティ結成からわずか一日で手に入れた。
◇◆◇◆◇
パーティハウスを購入した次の日。
俺達は新居で使う家具を買いに行く事にした。
待ち合わせ場所に到着すると、女の子達四人は既に揃っていた。
「皆、早いね……それじゃ買い物に行こうか。資金はたっぷりあるから、必要な物を全部買い揃えよう! 元から持っている物があっても、くたびれているならこれを機に新品に買い替えても良いからね」
俺がそう言うと、皆は顔を見合わせた。
「Aランクとはいえ宿屋暮らしだ。ろくに家具など持ってない。すまないが、全部買う事になる」
「私も同じ、持ち物は杖と着替えしかない」
アイシャの言葉にアリスも頷いた。
「あたしも似たようなものですね」
「ポーターは稼ぎが少ないので……すみません、何も持っていません!」
メルルとクルダもすまなそうに俺を見てくる。
だが、そんな事はなんの問題もない。
「心配しなくてもいい。俺も同じだ」
そもそも冒険者なんてしていれば、よほど安定して稼いでいない限り賃貸すら借りられない。
冒険者として成功していても、家を持たず宿で生活している者が大半だ。
だから、皆が装備と着替えくらいしか持っていなくても驚かない。
俺だって勇者パーティにいたが、お金は勇者であるリヒトが管理していたので、大金を使う機会などなかった。
「さて、大きい物から買おうか……まずは家具からかな」
俺達は早速家具屋へと向かった。
到着した家具屋で、俺達は店内を見て回る。
この世界では全ての家具がオーダーメイドだ。
なので店に置いてある物は、中古品かサンプルという事になる。
工場などの生産ラインがないからそれほど不思議ではないのだが、この世界に来た当初は驚いた記憶がある。
全ての家具で全員の希望を聞いていたらきりがないので、全員で使う物は俺が頼んで、各自の部屋の家具は各々で注文する事にした。
「お金は気にしなくて良いよ! 家具は長く使う物だからよく考えて頼んで」
「「「「はい」」」」
その後は俺も自分なりのこだわりを伝えて、家具を注文した。
思ったよりも時間がかかるらしく、家具の完成まで約三週間との事。
完成したら配達してくれるそうだ。
寝具やカーテンや絨毯のみならず、調理器具なども同じくらいの時間がかかるらしい。
そうなると今買える物は、食器や小物しかない。
だが、それらは今あっても仕方ないので後日買う事にした。
俺は皆に確認する。
「これで、必要な物は全部注文し終わったかな?」
アイシャが首を傾げながら言う。
「こういった経験がないからわからないが、たぶん大丈夫ではないか……?」
「皆宿屋暮らしだったんだから仕方ないわ。足りなければ後で買えば良いのよ」
きっぱりと言うアリスに、メルルとクルダは頷く。
「そうですね……自分がパーティハウス持ちのメンバーなんだって、今頃になって実感してきました」
「ポーターなのに部屋持ち……信じられません」
なんだかんだ言って皆、満足のいく買い物ができたのかな。
「今日はもうやる事はないし、そのあたりでお茶でも飲みながら少し話さないか?」
パーティを結成してまだ二日しか経っていない。
これから一緒に暮らすのだから、親睦を深めておいた方がいいだろう。
そう思っての提案だったが、皆乗り気のようだ。
「そうだな! パーティの連携は重要だし、意思疎通をスムーズにするためにもそのような場は重要だ」
「そうね」
「あたし暇ですから大丈夫です」
「うちももちろん暇です」
アイシャ、アリス、メルル、クルダは元気よく返事をしてくれた。
それから俺達は喫茶店のような場所で、今後の事を色々と話し合った。
「昨日のワイバーン狩りで思ったより稼げたから、生活費もかなりの額を分配できるな。家具がない間はハウスもほとんど使えないから、今のうちにお金を分けておこう」
「それは助かるな。一人当たりどのくらいになる?」
俺はアイシャの質問に答える。
「そうだな……後でパーティのお金が足りなくなると困るから、今回は金貨二十枚ずつにしようと思う。どうかな?」
「金貨二十枚……そんな大金良いの?」
アリスがびっくりしたように聞き返してきた。
メルルとクルダも困惑気味だ。
「あの……あたしはBランクですが、そんなに……?」
「う、うちはポーターです。金貨なんて手にするのは初めてです」
金貨二十枚だと、日本円にして二百万円くらいになる。
確かに大金ではあるが、アイシャやアリスは冒険者ランクが高く、そこそこ名前も売れている。
このくらいの金額なら、稼いだ事もあると思っていたが。
皆今までどのような待遇を受けてきたのだろうか……気になるな。
まあ、今はランクだとかそんなものは関係ない。
俺の目標は〝無理をしないで全員が楽しく暮らす〟だ。
「三週間もあるんだ。まずはそのお金でゆっくりしてくれ。今泊まっている宿の支払いもあるだろう? それに今後は、月に金貨四十枚ずつ分けられるようにするつもりだ。一応、パーティとして活動するのは週に三日くらいで、残りは休みにしようと思っている」
俺がそう伝えると、アイシャが慌てて尋ねてくる。
「そのペースで金貨四十枚は、かなり厳しいのではないか?」
「あくまでこれは目標だ。だが、実現できると俺は考えている」
「どうだろうか……そんな夢のような生活ができるならしてみたいが……」
アイシャはなおも不安そうだ。
アリス、メルル、クルダもアイシャと同じような考えらしい。
「それは、冒険者なら誰もが送ってみたい生活ね」
「夢の先にある夢みたいなものですね」
「実現すればうちは世界で一番幸せなポーターになります」
まあ、最初は皆疑問に思うだろう。
だが、実現できるかどうかの不安はあれど、皆反対という感じではない。
「それじゃ、今日はこれで解散しよう。俺は家具はないがハウスの方になるべくいるようにする。その方が連絡も取りやすいだろう。何かあったら来てくれ。それじゃあ、また」
そうして俺は店を後にして、購入したばかりのハウスに向かうのだった。
◇◆◇◆◇
ケインが去った後、アイシャ達はその場に残り、話をしていた。
ケインのパーティに入ってから二日の間にイベントがありすぎて、彼女達は頭が追いついていなかった。
最初に口を開いたのはアイシャだ。
「Sランクって凄いな……」
「凄いなんてものじゃないわ。たった一日で金貨千枚よ! ありえない! しかも、普通の人なら自分の取り分を多くするのに……均等に分けるなんて信じられないわ」
アリスが語気を強めた。
アイシャもうんうんと頷く。
「確かにありえないな……私はただ立っていただけだ」
「私だって、数発魔法を放っただけだわ……正直に言うけど、パーティに入れてくれたのって体目当てかと思ったの」
勢いよく話すアイシャとアリスを、メルルとクルダは呆然と見ている。
「ケインに関してはそれはありえないだろうな……彼がその気になれば、いくらでも可愛い奴隷が買える」
「そうなのよ! さっきもらった金貨二十枚で美女奴隷が買えるわ」
アイシャもアリスも、自分の容姿が並み以上である事は十分自覚している。
幾度となく言い寄られた経験がある二人だったが、ケインからは全く下心を感じないのだ。
アリスは続けざまに言う。
「正直私はそういう関係になっても良いと思っていたわ。それで人生が保証されるなら十分と思っていたの」
「私はそこまで打算的ではなかったが、それで、Sランクのパーティに入れるならとは考えたな」
その時、アイシャはふと感じた事を口にした。
「それにしてもアリス。お前は〝アイスドール〟なんて言われているから、あまり喋らない奴だと思っていたんだが……」
「私は元々こういう性格なの。その名前は周りが勝手に呼んでるだけよ」
そこでようやくメルルとクルダが口を開いた。
「アイシャさんやアリスさんが好待遇なのはまだわかりますよ。Aランクで立派な二つ名までついているんですから……あたしなんてBランクの無名冒険者です。そんなあたしがパーティに入れてもらえるなんて」
「うちもまさかこんなに良くしてもらえるなんて思っていなかったです。ポーターなんて〝運び屋〟とか言われて蔑まれる存在ですからね」
この世界ではジョブによる格差が存在する。戦闘で活躍するクルセイダーなどは重宝されるが、ポーターのような地味なジョブは低く見られがちだ。
だが、アイシャは首を横に振った。
「ポーターでもクルセイダーでも変わらないさ。何せ相手は元勇者パーティ所属のSランク。ケインから見れば私達は皆同じようなものだ」
話が一段落したところで、皆で冷えたお茶をすする。
すると、今度はメルルが話し始めた。
「あの……皆さん、仕事の話ばかりですが、ケインは凄い美形ですよね? 艶のある黒髪に黒目、体は鍛えられているけど決して筋肉ダルマじゃなくて細い。しかも肌なんて女のあたしよりきめ細やかで綺麗なんですよ!」
クルダも同意する。
「そうですよ、あれは反則です! 勇者パーティにいた時はきっと目立たないようにしていたんでしょう」
その後も話は過熱していき、気付けばもう夜になろうかという時刻だった。
これだけ話していれば欠点の一つも出てきそうだが、ケインに関しては全くなかった。
「まあ、私達を拾ってくれたケインの期待に応えられるよう、これから一緒に頑張っていこう」
最後にアイシャがそう締めくくり、今回のお茶会はお開きとなった。
◇◆◇◆◇
家具が来るまでの間、何もせずにいるのも退屈なので、俺ケインは家の掃除をする事にした。
せっかくパーティハウスを手にしたのだから、綺麗にして皆を迎えようと思っていたんだが……これが案外難しい。
とにかく家が広すぎるし、掃除道具なども揃っていない。
早々に自力での掃除を諦めた俺は、ギルドを頼る事にした。
ギルドに着き、受付に向かう。
「依頼を出したいんだが……」
「Sランク冒険者のあなたが依頼を受けるのではなく出すのですか? どのような内容でしょう?」
受付嬢だけでなく、ギルドに居合わせた冒険者全員がこちらに聞き耳を立てている。
Sランク冒険者が依頼を出すのがそんなに珍しいか?
「ただの掃除の依頼だからFランクか見習いで十分だ……ついでに掃除のコツを教えてくれる奴だと助かる」
受付嬢は頷いた。
「わかりました。そういう依頼なら、一人当たり銅貨三枚も出せば良いと思います。何人必要ですか?」
掃除してもらう範囲が広いし、人数が少ないと可哀想だな……
「なら、六人ほど頼めるか」
受付嬢は再度頷いて、依頼書を作成する。
彼女がそれを貼り出した瞬間、子供の冒険者がひったくるように依頼書を持っていった。
「ケイン様、この依頼は僕達で引き受けても良いかな?」
依頼書を手にした男の子の冒険者が、俺に尋ねてくる。
「もちろんだよ。ついでに掃除の仕方も教えてくれないか?」
「了解、任せておいて!」
すぐに依頼に取りかかりたいと言うので、仲間を連れてきた彼を早速パーティハウスに案内し掃除を始めてもらう。
子供とはいえ、こういう依頼には慣れているのだろう。あっという間に家が綺麗になっていく。
そして、俺は……隅で休んでいた。
依頼書を持ってきた男の子が呆れたように笑う。
「はははっ、Sランクのケイン様でも苦手な事があるんだな」
そう、俺は掃除が壊滅的に苦手な事がわかった。
今まで旅をしていてずっと宿屋暮らしだったから、掃除なんてした事がない。
馬車の御者もできるし料理もできるのに、まさか掃除がここまでできないとは思わなかった。
邪魔をしちゃいけないので、掃除は彼らに任せる事にしたのだ。
三時間ほど経った頃には、家がぴかぴかの状態になっていた。
「それじゃ、依頼書にサインをくれるかな?」
子供達を代表して、先ほどの男の子が依頼書を俺に渡してくる。
「はいよ……後これ、お駄賃だ」
俺は通常の報酬に加えて全員に銅貨を一枚ずつ渡した。
「ほら皆、ケイン様が追加報酬をくれたぞ。お礼を言おうぜ」
「「「「「ありがとうございました」」」」」
声を揃えて頭を下げる子供達に、俺は笑顔で応える。
「また何かあったら頼むよ」
彼らは笑顔で帰っていった。
俺は綺麗になったパーティハウスを改めて見て回る。
勇者パーティの時はしょっちゅう野営をしていたが、ここには風呂とトイレ、自分の部屋まである。
家具が届くまでは三週間ほど。それまでは毛布一つあれば十分だろう。
俺は何かあった時に対応しやすいように、入口に一番近い部屋を自室にした。
他は皆で話し合って決めていけば良いと思う。
後は家事なんかができる人がいればなあ……
他のメンバーも俺と同じく冒険者だし、家事は期待しない方がいいだろう。
家事をしてくれる人がいたらかなり助かるのだ。
皆に相談する必要があるかもしれない。
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※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
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スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
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しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
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突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
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それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
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「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
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2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
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追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
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*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
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