上 下
26 / 38

第26話 ガールSIDE リヒトの愛

しおりを挟む

「我ながら凄い格好だわ」

「だけど、男ってこういうのが好きなんだよね?」

「それで合っていると思うよ?」

リヒトがシルカ村に討伐に向かい、私達の宿をとったあとエルザに頼んで下着を買いに行って貰ったのよ。

ほうら、今日がそのアレだからね…

「自分で選べないのがいけないんだけど? こんなスケスケで良いの? これ下着として意味無いんじゃない?」

「セシリア、こう言うのがいいんだってさぁ~僕のなんてこれほぼ紐だよ?」

「まぁ私のも結構凄いよ…まぁ初めての夜なんだからこれ位してあげて良いんじゃない?」

「そうね」

本当にリヒトの馬鹿は素直じゃないんだから、言っている事ややっている事は無茶苦茶だけど全部愛情の裏返し。

もうそんな事解っているんだから、本当に馬鹿ね。

大体、この容姿になった私達なんて嫁どころか奴隷としての価値すらないわ。

ただ、抱きたいだけなら娼婦で充分だし、傍に居て欲しいなら奴隷で充分。

ドルマンみたいに、綺麗で可愛い奴隷を買えば良いだけだわ。

大体、私にくれた、この宝石だけで奴隷が何人買えると思っているのよ…馬鹿じゃないの。

ハァ~本当に馬鹿。

「さっきからセシリアが握りしめている袋、何が入っているの?」

「此処暫く、良く眺めているよな?」

「なんでもないわよ…なんでも…」

「なら良いや、それじゃ、一旦下着を脱がさせて貰って順番にお風呂に入れてあげるから、どっちから入る?」

「私は後で良いわ」

「そう、それじゃイザベルからね!OK、OK」

「それじゃセシリアお先に!」

「どうぞ…」

しかし、凄いわね…全くもう…

『リヒト専用』『リヒト命』『リヒト愛している』『リヒトの物』文字でこんなに自分の物なんだって刻み込んで、ハートと薔薇は解るけど、変な模様に骸骨、凄く気持ち悪いわ、それに背中の変な女神。

どれだけ私が好きなのよ。

最初、これをされた時、復讐されたんだ。

そう思ったけど。

それなら、気持ち悪い刺青だけで充分だわ。

なに、この『自分の物だ』って主張する名前。

入れられた時はショックを受けたけど、此処迄して私を『自分の物』にしたかった?

『病んでいるわよね』

だけど…ハァ~此処迄、愛していた訳。

確かに、今迄嫌な顔しないで何でもしてくれていたわ。

だったら言葉にするべきよ。

そうしたら…駄目だわ。

あの時の私はドルマンが好きだったから…

だけど、此処迄好きだったなんて知らなかったんだもん。

仕方ないじゃない。

「ハァ~」

「セシリア、イザベルが終わったから、ほらお風呂!セシリアは歩けるんだから肩貸すから行こうか?」

「ええっ」

「また複雑そうな顔してる! 此処迄来たら観念するしかないよ」

「解っているわよ、つくづくこの体凄いわね」

「うん、やる事はクズだけど…あはははっ愛情も詰まっているよね」

「やっぱり、そう思う?」

「当たり前ジャン! これだけ自分の物って主張しているんだから『愛』もあるよ? それにリヒト言っていたじゃん? 私達が宝物なんでしょう…子供が大切な物をとられたくないから名前書くのと変わらないよ」

「そうね…」

「今更考えても仕方ないよ! 凄く病んでて可笑しくなってるけど、僕たちをリヒトが愛しているのは間違いないから、もう受け止めるしかないよ…今日は頑張ろう」

「そうね、頑張るしかないわ」

待つ時間があると色々と考えてしまうわ。

早く帰ってこないかしら….


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【石のやっさん旧作】『心は』●●勇者…さぁ勇者褒美をとらす! 欲しい物をなんでも言うが良い! 「はい、では●●●で!」

石のやっさん
ファンタジー
主人公の理人(りひと)はこの世界に転生し、勇者に選として、戦い続けてきた。 理人は誰にも言っていなかったが、転生前は42歳の会社員の為、精神年齢が高く、周りの女性が子供に思えて仕方なかった。 キャピキャピする、聖女や賢者も最早、子供にしか見えず、紳士な彼からしたら恋愛対象じゃない。 そんな彼が魔王を倒した後の物語… 久々の短編です。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...