勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!

石のやっさん

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第25話 二つの別れ

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「ドルマン、本当にこれで良いのか?」

「ああっ、最高だ! 凄いだろう?」

確かに凄いな、女騎士にエルフのアーチャー、女メイジ、そして何故か没落貴族の令嬢。

教会から凄腕のヒーラーが派遣されるから6人パーティ。

いやサキュバを含めて7人か?

お金で買える存在だとこれ以上の戦力は無理だな。

『綺麗な女だけ』

その条件ならな。

皆が美形だ。

外見を気にしなければ、女ならアマゾネスの剣士等、更に戦力になる奴隷も居た。

だが、美少女、美女だけで組んだこのパーティ。

正にドルマンらしい。

「そうだな…ドルマン、解っていると思うが…」

「解っている、もう俺には王族との婚姻も上位貴族との婚姻も無い…魔王を倒しても恐らくはかなり褒賞は減らされる…そう言う事だろう…」

「ああっ、恐らく良くて貰える爵位は子爵、下手したら男爵だろうな…そして縁談も…」

「ああっ、解っている…あの時俺はどうかしていたし、聖剣にあんな力があるなんて思わなかった。自分で成功の切符は燃やしてしまった、解っているさ…済まないな…そのあいつ等を頼んだ」

少しは反省しているんだな…

「頼まれた」

「精々、俺はもがいて、頑張ってみるさ」

「ああっ、頑張れよ」

「お別れだな」

「そうだな」

ドルマンは新しい仲間と旅立っていった。

これでハーレムパーティじゃ無ければカッコ良いんだけどな…

お別れだ。

◆◆◆

問題はこっちだ。

「取り敢えず、今日は宿屋に泊って…」

「ハイハイ、犯りまくるんでしょう? もう良いって」

「うんうん、これから一生迷惑かけるんだから」

「僕は片手は使えないけど、まぁ相手出来るよ!、初めてだから優しくしてね」

ハァ~なんだかな。

「それじゃ、宿屋に行くか?」

なんだか調子狂うわ。

まぁ良いや、今日は宿屋に泊って、明日からどうするか決めれば良い。

宿屋へ向かっている途中話声を聞いてしまった。

「シルカ村が盗賊に襲われているそうだ!」

「今どうなっているんだ?」

「自警団が守っているが、もう無理だろうな…領主はそのまま見捨てるらしく、街から兵は出さないらしい」

まぁ、小さな村だし恐らく税収も低いから斬り捨てる。

そんな所だな。

「リヒト…どうする?」

「そうだな、エルザ、2人を頼んで良いか?」

「やっぱり行くんだ、流石『英雄』は違うね、2人は引き受けたから」

「なんだかんだ言ってもリヒトって、そんな奴だよね」

「相変わらずのお人よしだね」

ちげーよ。

「まぁ良い、行ってくるわ」

俺はシルカ村へと走りだした。

◆◆◆

俺がついた時シルカ村の自警団は負け、既に殺された後だった。

村の人間は広場に集められて、物資や貴重品を運ばされている。

女は縛りあげられて、まぁ売り物にでもするんだろうな。

恐らく、この後楽しんでからどこかに売り飛ばすんだろう。

正規の奴隷商じゃ買い取らないから、酷い所に…まぁ知らね。

それより、ルミナス、ルミナスと…居た。

「どうも~」

「お前何者だ! げっ勇者パーティのリヒト!そうか討伐に来たのかーーっ糞っ!こうなれば玉砕覚悟で…行くぞ」

「「「「「「「「「「おうっ」」」」」」」」」」

ざっと10数人か…

「リヒト様だ、リヒト様が助けに来てくれた」

「リヒト様….」

「待て!待て!待て!…女1人と1/5の分け前でどうだ?」

「どういう事だ? 討伐に来たんじゃないのか?」

「勇者パーティは解散した!今は冒険者だからな、別に討伐の義務は無い! 個人的に恩がある女が居るから、そいつの引き渡しと1/5の分け前で手をうとう! どうだ?」

「嘘じゃねーよな! だまし討ちするんじゃねーよな?」

「しない、しない、条件を飲むなら、村人を殺そうが知らない女が犯されようがどうでも良い! 分け前は悪いが金でくれ」

「それで良いなら良いぜ…なぁ」

「ああっ、手を打つぜ」

村人は絶望しているが気になどしない。

「あんたは英雄、そう呼ばれていた筈です、助けて…」

「うるせーよ! お前等さぁ、そういう扱いしなかったんだろうが!仕方ないじゃん!世の中ギブ&テイクだ!それを怠ったお前らが悪い!それじゃ、そこの女をくれ…後は金の勘定が終わったら…」

けたたましいな…なんだ?

「衛兵が来たぞー!」

「衛兵だーーっ、貴様、騙したな」

来ない筈だったのに来たのか…

「騙して無いからな!俺は約束を守る男だ! 助けてやるから、そうだな?俺の女、除いて皆殺しにできるか?」

「冗談だよな?」

「冗談じゃねーよ! そのスカーフ貸せ」

「これか…どうするんだ!」

「良いから、貸せ」

俺はスカーフをひったくり、顔に巻き衛兵隊の討伐に向かった。

衛兵達に悪いが、今は取引中だ。

半グレでもヤクザでも取引中は仲間だ。

警察や敵対組織が相手でも『取引中』は一緒に対処する。

取引が成立した以上は盗賊が今の俺の臨時の仲間だ。

「いま、始末してくるから、ちゃんと分け前用意しておけよ」

「ああっ…」

唖然としやがって、此奴ら素人か。

◆◆◆


衛兵20人…まぁ俺なら余裕だ。

可哀そうだが死んで貰った。

ばれたらヤバいしな。

「さぁ、傭兵隊は殺して来たぞ…分け前寄越せ!」

「はい…」

「おめーら腑抜けているんじゃねーぞ! 衛兵が来たんだ、早く此奴ら皆殺しにして逃げるんだ」

「皆殺し…」

「馬鹿か?顔が割れているんだ、盗賊は死罪だ!バレて死にたくないならしっかり殺せ…良いな」

「ああっ、解った…やるぞ」

「「「「「「「「「「やるしかねーな」」」」」」」」」」

「助けて、助けて下さい、命だけは…」

「お願いです、息子の命だけは…」

「ううっ」

「お前等、まさか殺さないとか言わねーよな? しないならお前等を俺が…殺すからな!」

この盗賊、あまりキャリアが無いのか?殺すのに躊躇がある。

手が震え、泣きながら、村人を殺すさまを見て、俺はシルカ村をルミナスとともに後にした。

◆◆◆

街に戻ってきた。

「それじゃ、これをやるから、頑張って暮せよ…じゃぁな」

今回手に入れたお金は全部ルミナスに渡した。

「あの…何故私を助けてくれたのですか?それにお金迄」

「借りがあったから返したまでだ、その位あれば10年位は遊んで暮らせるだろう?まぁ頑張れ…」

「借りですか? 私何かしましたか?」

「体を恵んで貰った!俺にはこれは借りだ」

女の体には価値がある。

男の体に価値は無い。

だから、無償で俺が抱いた女には『借りがある』そう俺は考えている。

だから、楽しかったあの一夜の『借り』それを返しただけだ。

「あんなもので…その」

「俺には価値がある…それじゃあな!」

ルミナスが見送る中振り向かずに俺は立ち去った。

ずうっと傍に置いて置きたい、だが俺は頭が可笑しいから絶対にルミナスを傷つける。

善人の彼女に俺は似合わない。

ルミナスに借りを返した。

それだけで良い。

そしてドルマンの醜聞を知る者は皆殺し…まさに一石二鳥だ。












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