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第23話 なんだか負けた気がする
しおりを挟む「ううっ痛い、痛いよーーーっ助けて、お願いだよ!」
通常に痛みなら、自分で腕を切り落としても平気でいたが、聖剣で斬られると痛みが増すのかもな。
「助けてやるのは良いとして、エルザは俺達と来たいのか? どうだ?」
「うん、僕は1人は嫌だから…うぐっ、助けて」
「そう…それじゃ…お揃いにしないとな」
そう言って俺は2人の毛布を捲った。
「ううっ、それ…」
「刺青っていうんだ…これを彫って良いなら、助けてやるし、今後も面倒見てやるけど?」
「ううっ、解ったよ」
◆◆◆
「うぐうっ」
同じようにタオルを猿轡にして体を縛り上げた。
手を治して逃げられたら困るからな。
先に手を縫い付けた後にポーションやヒールで治したが、やはり聖剣は凄いな。
ただ、ついているだけ、この手は動かないだろう。
同じように刺青を入れて、背中は竜にした。
そして…
此奴にだけは『顔に刺青』を入れた。サソリを模したものを右頬にいれリヒトと英字で…
「ほら、完成だ…」
「ううっ、酷いよ…二人は顔になんて入ってないじゃん、なんで僕だけ…こんなんじゃ外歩けないよ…グスッ」
「歩かせるから気にするな! 傭兵なんかで彫っている奴いるじゃんか」
「居ないよ…そんなの…」
うん、待てよ! どこかで…あれは前世か…
確かに、この世界じゃ、見た事はない…紋様みたいなものしか…
「そうか、そうか、知らん」
「刺青は犯罪者が入れるだけだよ…こんなのじゃ無いけど…」
「まぁ、これでエルザも、仲間って事で良いだろう、手も治ったし、良かったじゃないか? それと二人が起きたら、これからは下の世話を頼むな」
「下の世話?」
「あのな…今迄は俺が男だからオムツにしていたが、ちゃんと、2人とも、尿意や便意は伝えられるから、まぁ幼子にする様に足を抱えてしてやってくれよ、ちゃんと終わったら拭いてやってくれ…あとは体も拭いてやってくれな」
「それ、僕がやらないといけないの?」
「当たり前だろう? それに故郷じゃお前等遊んでばかりでサボっていたけど、普通に肥溜めや家畜からの肥料作り、臭い作業は山ほどあっただろうが…」
「え~と」
「あのな、2人だって男の俺よりはお前の方が良いに決まっている、嫌なら、自由に暮らせば良い…出ていきたいなら…」
まぁ、こんな全身刺青女、もう真面な奴は相手しないだろう…
「解ったよ、僕頑張るよ」
取り敢えずは、これで良い…
◆◆◆
俺は大八車を村で貰って、街へ向かっている。
ドルマンとサキュバは先に向かって貰った。
まぁ、大八車から、2人から恨み事言われたからだけどな。
村人からの冷ややかな目とルミナスさんの唖然とした顔は見物だったな。
人の冷ややかな目が嫌なら半グレなんてやれないからな。
しかし、ドルマンの顔も面白かったな。
一応、冷静さを保っているが、顔は青い。
もう夢が無くなった事に流石に気がついたのだろう。
「ねぇ、聞いても良い?」
大八車の毛布を押さえながらセシリア達が聞いてきた。
「別に良いけど? 何が聞きたい?」
「こんな状態の私達をなんで引き取る気になったの…役立たずだよ…」
「私も…聞きたいな」
「あのな…お前等動けないだろう? もう逃げられない…これから自由にさせて貰う、まずは今夜は…」
「嘘ね、そう言う事がしたいなら、幾らでもチャンスはあったじゃない」
「そうそう、そう言う人間なら、そのオムツ交換した時にするんじゃないの? その丸見えなんだから…手を出さない方が可笑しいよ」
「弱っている女に手を出しても楽しくねーよ!」
「嘘ね! 大体、この刺青って言うのも可笑しいのよ! 私達はもう動けないし、そのままでも良い筈だわ…真面に動けないんだから、幾らでも弄んで捨てられても可笑しくない…態々、一生消えない、こんな物入れなくても、幾らでも自由にできるじゃない? リヒト、あんたね、色々意地悪な事言うわりには、手を出さないし…その、優しいわよ」
「んな訳あるか! 馬鹿じゃねーの」
「最近、急に、その悪人みたいな言葉使いするようになったよね?なんで、そんな言葉使いしているか解らないよ…だけどさぁ、私はリヒトを裏切ってドルマンに走ったんだよ? しかも、リヒトが買ってくれた指輪まで捨てたんだよ? それでもこんな状態なのに引き取ってくれてさぁ…どう考えても優しいとしか思えないな…」
「そんな訳あるか!お前等の体に刺青を入れるような奴だぞ」
「今更ですよ…これはリヒトの決意の現れでしょう?一生懸けて私の面倒を見る、その覚悟よね、他の男に抱かせたくない…絶対に他の男には渡したくない…そういう意味じゃない? それ愛以外のなんなの?」
「私が浮気をしたから二度と浮気させないようにしたんでしょう? こんな寝たきり女に全くもう…確かに凄く歪んでいるけど、それ、私が好きだって事じゃない? もう良い…もう解ったから、リヒトがこれでもかって私が好きだって事はね」
「あははは、それじゃ僕もそうなんだね」
「うるせーよ…俺は街に行ったらな、お前達3人に奴隷紋刻むんだからな…そして…自由に弄んで」
「はいはい、別に良いよ、それ位、流石の私も一生面倒見るなんて口説かれたら、もう良いよ…奴隷紋を刻む事で安心できるなら、その位良いよ、夜の相手がして欲しいなら…拒まないわよ」
「うんうん、一生面倒見てくれるんだから、他はどうでも良いよ、大体、リヒトはさぁ、頭が可笑しいんだよ…S級冒険者なんだから.幾らでも相手なら探せるし、器量が良い女なら買えるよね」
「僕も好きだって事だよね…なら仕方ない」
なんなんだ、此奴ら…ハァ~
「もう知らねーからな」
なんだか負けた様な気がする。
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