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第18話 絶望 2人

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なんだ、この光景は…

村長の家が半壊している…そして、その先には裸のサキュバが胸を隠して座りこんでいる。

そして、その前には同じく裸で聖剣を抜いたドルマンが居た。

その先には血だまり?

その中に居たのは…人形? 

違う!セシリアとイザベルだ!

冷静になれ、冷静に…

ドルマンは再び聖剣を振り上げ、下ろそうとしていた。

不味い、俺は瞬歩を使い間合いを詰めて間にはいった。

ガキンッ…聖剣と俺の剣がぶつかり、俺の剣が弾け折れた。

「ドルマン、これはどういう事だ?」

一体、何があったと言うんだ?

「リヒトか?俺がサキュバとやっていたら、しつこくノックしてくるんだわ…それで渋々出て見るとセシリアがしつこく説教してくるわけよ? 俺も最初は我慢していたんだぜ!だが、あまりにくどくど、くどくど、しつこくて止めろって言っても止めないんだぜ!だからつい、手が出ちまった訳よ? そうしてセシリアが倒れたら、イザベルが後ろからファイヤーボールを放ってきやがったから、つい二人纏めて斬っちまったんだ…」

サキュバが怯えている。

まぁ、普通の人間が『勇者パーティ』の揉め事を見たんだ、そうなるよな。

「そうか…後の事は明日、話そう…俺は2人を連れて行くから、そっちは頼むわ」

「お前は親友だから許すが、もう来させるなよ」

「解った」

彼奴、俺が思った以上に可笑しいぞ…

冷静になれ、冷静に…いま怒っても仕方が無い。

俺は2人をそのまま、俺が借して貰っている部屋に連れ帰った。

◆◆◆

不味いな、2人とも気を失っているし、血が凄い流れている。

それに、傷が凄い有様だ…

セシリアは袈裟懸けに斬られたからかその傷は骨まで達していた。

肩から右腕がぶら下がっている…そして問題なのは、その傷は顔まで繋がっている。

薬草を擦り付けてもポーションでも傷口が塞がらない。

これは、聖剣で斬られたからか…不味い。

傷が残るけど、仕方ないな…

『縫うしかない』

これ以外、この傷をどうにかする方法はないかも知れない。

俺は手持ちの道具で、傷口を縫い始めた。

縫った傷口にポーションを振りかけ、薬草を張り付け包帯を巻いた。

もし、聖剣で斬られた傷が塞がらないならもう終わりだ。

頼むから永続的な物じゃないでくれ…そう祈るしかない。

セシリアはこれで良い。

次はイザベルだが…はぁどうすれば良いんだよ…

同じく袈裟斬りにされているが…手で庇ったのか右手が肘から先が無い。

よく見ると左足もか。

仕方ない、拾ってくるか?

仕方なく村長の家に戻ったが…

「ハァハァハァ…もっとだ、もっと腰を使ってくれ」

「はい…ハァハァ、ドルマン様」

サキュバが怯えていたから今日は無い。

そう思っていたが、まだやっているのか? 

こんな廊下が血だらけの状態で良く出来るな…それより右腕は…こんな所に引っ掛かっている、左足は…あったが結構酷いな。

しかし、エルザは何処に行ってるんだ…まぁ良い、今はそれよりイザベルの方が先だ。

糞っやはり同じか、聖剣で斬られると傷が簡単にはくっつかないのか…傷が塞がらない。

俺は、そんな事は知らなかった。

きっとドルマンも知らなかった筈だ。

だから、こんな事したのか…

同じように顔から体まで縫合していった。

そして、ポーションを振りかけ、薬草をシップするように貼り付け包帯を巻く。

たが、イザベルはこれだけじゃない、手足も縫合しないと…

ポーションを振りかけ、薬草を刷り込む…その状態で縫合した。

前世は俺は半グレだ。

外科でも何でも無い。

医者に掛かれないような傷を縫合した事はあるが、それだけだ。

この世界には外科なんてない。

薬草、ポーション、魔法頼みだ。

魔法は、それ担当の聖女のセシリアが被害者だから無理だ。

今は動かす事は出来ない。

馬車で揺られたら、傷が開き終わりだ。

これ以上、してあげられる事は無い。

本来なら、塞がる傷が塞がらない。

こんなのは初めて見たから…これも聖剣のせいなんだろう。

「頼むから、死なないでくれ」そう願うしかない…

そして…「ヒール」

俺の使える回復魔法はヒールしかない。

魔力が枯れるまでヒールをかけ続ける…それしか無い。




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