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第15話 セシリア説得
しおりを挟む「それでどういう事なの?」
「セシリアはもう気がついていると思うけど、サキュバはドルマンの愛人、もしくは恋人としてこのパーティに迎えた…そう言う事だ」
「冗談ですよね…ドルマンは勇者です! 幾らなんでも、そんな事をする訳ないわ!」
そろそろだな…
「ドルマンは…悪い、そういう奴だよ…」
「嘘よ…嘘…」
「あのな、よく考えて見ろよ! 勇者の複数婚は義務じゃない! 本当にセシリアが好きなら、セシリア1人を娶る事も出来る!だが、ドルマンはそうはしなかっただろう?」
「そうね、だけどエルザもイザベルも、幼馴染だしドルマンに想いを寄せていたから…」
「そうだな、幼馴染だ…俺にとって三人は大事な宝物みたいな存在だ、ドルマンが俺と同じに思っていても可笑しくは無い…だが、もう解っただろう? 政治的にも絡んでいない、只の一般人、しかも娼婦だ。」
「娼婦なの…そう...」
娼婦だから、そう言う関係にある。
まぁしょげるよな...
「続けるよ!俺はドルマンは王族や貴族の令嬢との婚姻を最低限で済まして5人を娶り、ドルマン含んで6人位で暮らすのかと思っていたが、どうも違ったようだ…」
「リヒト…はっきり言って良いわ」
顔が引き攣っている。
まぁ、プライドもズタズタだろうな。
「余り言いたくないが、王族や貴族の婚姻をしない状態で、もうセシリアは2番目だって事だよ…それだって何時まで2番か解らない、これからどんどん、セシリア達より上になる愛人みたいな存在が増えていく、そう言う事だ」
「そうね…馬鹿じゃないから言われなくてもその位は解るわ」
「だが、俺はこれで良かったと思っている」
「ふふふ、そうよねリヒトは、私が好きだったんなら、これでドルマンとは終わり…さぞかし嬉しいでしょうね…でも酷いわ…本当に酷い…私が好きなら、大切だと思ってくれていたなら、なんで反対してくれなかったの!なんで娼婦をパーティに入れたのよ! 今の私、凄く惨めだわ…ずっと好きだったのに、永く付き合っていたのに…ただの娼婦に負けたのよ…王族でも貴族でも無くね…馬鹿みたい」
「それを俺は否定しない。好きな子が彼氏と別れてホッとした。それは本当だ!当たり前だろう? だが『セシリアを含む皆が『傷物』だと思われなくなって良いな』そっちの思いの方が強い。だから、俺は受け入れたんだ」
これで良い筈だ。
「それ、どう言う事?」
「あのな、あれだけドルマンと人前でイチャついていたら、男女関係にあると普通は思うよ! そういう風評が広がったら、もう良い縁談は来ない! だが、此処で愛人が仲間に入れば、あれは、ただ幼馴染同士仲が良かっただけ、そう思う可能性が高い、セシリア達にとっても良い話の筈だ、そう思ったから、敢えて反対しなかった」
これ位しか言い訳が思いつかなかった...少し強引だがこれしか無い。
「それはもしかして、私達の為にもなるから、だから仲間にしたそう言う事?」
「まぁな」
「リヒトさぁ、あんたにとっては私が傷物だと思われていた方が良かったんじゃない?」
「確かに自分の事だけを考えたらそうだ! だがセシリアの事を考えたら、それは違うと思った…傷物だと周りから思われるのも嫌だし、幸せのチャンスが減るのも何だか嫌だな」
「随分、難儀な性格だったんだね、知らなかったわ」
「『好き』とか『愛』ってそういうもんじゃない? 自分がどうこうより『好きな人の幸せを願う』そういうもんだと俺は思う」
「随分、ドルマンとは違うのね」
「そう? まぁ良いや…これでセシリアだけに話したい事は話し終わった。此処からはエルザとイザベルも呼んで話そうと思うけど良いか?」
「ええ、良いわ…呼んで頂戴」
最難関のセシリアはどうにかなった。
あと二人どうにかなるか...
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