上 下
14 / 38

第14話 結局、尻ぬぐいも俺か...

しおりを挟む

ドルマンの落ちっぷりは俺の予想を超える。

彼奴、解っているのか?

これで、良縁はもう無くなった。

魔王討伐後の褒賞はきっとかなり少なくなる。

俺の話をやっぱり真剣には聞いてくれなかったんだな…

まぁ良い。

精々、この状況を利用させて頂こう。

「あの、リヒト様…その本当に大丈夫なのでしょうか?」

「ああっ、ドルマンが君を選んだんだ気にしなくて良いよ、更に言うなら戦いには参加しなくて良いからね」

「そうですか...不安で仕方ないですが頑張ります」

ドルマン、お前の願いは叶えた。

だが、此処から先…どうすんだ?

◆◆◆

「ドルマン、待たせたな!約束通り連れてきたぞ!」

「流石、親友! ありがとうな!」

凄く満悦な笑顔だが…三人の様子が可笑しい。

「ドルマン、リヒト、その女性は誰?」

「もしかして、護衛の仕事でも入ったの?」

「緊急な護衛任務なんだ、それなら仕方ないよね」

「ドルマン…お前、説明して無いのか?」

「悪い、まだだ、悪いがリヒト、頼む!」

此奴、この状況でなにを説明しろって言うんだよ!

此処くらいは自分でやろうぜ…

「ドルマン、悪いが、お話しようか?」

「いや、リヒト、俺はサキュバと…」

「お.は.な.し.が必要だ! 勇者を辞めたくないならな…ここで話をしないともう終わるからな、それで良いなら構わない自由にしろ」

「リヒト…解ったよ、サキュバ後でな…」

此奴、此処まで俺任せかよ。

◆◆◆

4人と少し離れた所で、俺は結界を張った。

「あのなぁ、3人には話をつけて置いてくれなかったのか?」

「いや、そこもお前がどうにかしてくれるんじゃ無かったのか?」

ハァ~、そこも俺任せな訳か。

「それじゃ、どうにかするけど、現況を説明したい…これだけは聞いて欲しい」

「しゃーねーな、解った」

此奴、お前の事なんだぞ!

「流石に、ナンバーワンのサキュバを身請けする金は無いから『勇者保護法』を使わせて貰った」

「勇者保護法、ああっ超法規的な、なんちゃらとか言う奴だな」

お前、自分を守る為の法律なんだから、それ位目を通して置けよな。

「まぁ、それだ! 身請け金を払わずにサキュバを手に入れる為に、その中にある法律の『何人とも勇者パーティの召喚を拒んではいけない!』を使った」

「どういう事だ!」

「簡単に言うなら『ブラックウイングの6人目のメンバーにする』そういう名目で貰い受けてきた…そう言う事だよ」

「へぇ~上手く考えたな」

「そう言う事だ…それなりにリスクはあるからな」

「まぁ良い…説明は任せるし、後の事は頼んだ」

「これ他の三人に俺から説明するのか? ドルマンがどうにか…」

「無理だ、そう言うのはお前の方が得意だろう?俺に出来ると思うか?」

「仕方ない、解った…三人には俺から説明するから、先にサキュバを連れて、次行く予定の村へ向かってくれないか?」

「お前達はどうするんだ?」

「どうにか、説明、説得をした後…追いかける」

「頼んだ」

やっぱりこうなるのか?

◆◆◆

「ドルマン、これはどういう事なの? 彼女は一体誰なのよ!」

「彼女が護衛対象なのか? どういうフォーメーションで行く?」

「何処に向かえば良いのかな?」

「あ~、それについてはリヒトが説明するからな、それじゃサキュバさん行こうか?」

「はい…これから、宜しくお願いします!」

「それじゃ、後は頼むわ!」

そう言うとドルマンは手を振りながら行ってしまった。

「リヒト、どういう事なの?」

「どう見ても、護衛じゃないよね?」

「どういう事なのかな?」

仕方が無い…話すしかないな。

「解ったよ! 説明するけど…そうだな!まずはセシリア…それから全員、そういう順番で話すよ!」

「なんで、セシリアだけ、最初1人な訳?」

「最初から、全員一緒じゃ不味いの?」

「悪い、前にセシリアに話した事があって、その事を補足してから話した方が早い! だから、エルザとイザベルは少し待ってくれ!」

「そう言う事なら構わないよ」

「後で話してくれるなら良いけど…」

結局、尻ぬぐいも俺か…




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...