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第14話 結局、尻ぬぐいも俺か...
しおりを挟むドルマンの落ちっぷりは俺の予想を超える。
彼奴、解っているのか?
これで、良縁はもう無くなった。
魔王討伐後の褒賞はきっとかなり少なくなる。
俺の話をやっぱり真剣には聞いてくれなかったんだな…
まぁ良い。
精々、この状況を利用させて頂こう。
「あの、リヒト様…その本当に大丈夫なのでしょうか?」
「ああっ、ドルマンが君を選んだんだ気にしなくて良いよ、更に言うなら戦いには参加しなくて良いからね」
「そうですか...不安で仕方ないですが頑張ります」
ドルマン、お前の願いは叶えた。
だが、此処から先…どうすんだ?
◆◆◆
「ドルマン、待たせたな!約束通り連れてきたぞ!」
「流石、親友! ありがとうな!」
凄く満悦な笑顔だが…三人の様子が可笑しい。
「ドルマン、リヒト、その女性は誰?」
「もしかして、護衛の仕事でも入ったの?」
「緊急な護衛任務なんだ、それなら仕方ないよね」
「ドルマン…お前、説明して無いのか?」
「悪い、まだだ、悪いがリヒト、頼む!」
此奴、この状況でなにを説明しろって言うんだよ!
此処くらいは自分でやろうぜ…
「ドルマン、悪いが、お話しようか?」
「いや、リヒト、俺はサキュバと…」
「お.は.な.し.が必要だ! 勇者を辞めたくないならな…ここで話をしないともう終わるからな、それで良いなら構わない自由にしろ」
「リヒト…解ったよ、サキュバ後でな…」
此奴、此処まで俺任せかよ。
◆◆◆
4人と少し離れた所で、俺は結界を張った。
「あのなぁ、3人には話をつけて置いてくれなかったのか?」
「いや、そこもお前がどうにかしてくれるんじゃ無かったのか?」
ハァ~、そこも俺任せな訳か。
「それじゃ、どうにかするけど、現況を説明したい…これだけは聞いて欲しい」
「しゃーねーな、解った」
此奴、お前の事なんだぞ!
「流石に、ナンバーワンのサキュバを身請けする金は無いから『勇者保護法』を使わせて貰った」
「勇者保護法、ああっ超法規的な、なんちゃらとか言う奴だな」
お前、自分を守る為の法律なんだから、それ位目を通して置けよな。
「まぁ、それだ! 身請け金を払わずにサキュバを手に入れる為に、その中にある法律の『何人とも勇者パーティの召喚を拒んではいけない!』を使った」
「どういう事だ!」
「簡単に言うなら『ブラックウイングの6人目のメンバーにする』そういう名目で貰い受けてきた…そう言う事だよ」
「へぇ~上手く考えたな」
「そう言う事だ…それなりにリスクはあるからな」
「まぁ良い…説明は任せるし、後の事は頼んだ」
「これ他の三人に俺から説明するのか? ドルマンがどうにか…」
「無理だ、そう言うのはお前の方が得意だろう?俺に出来ると思うか?」
「仕方ない、解った…三人には俺から説明するから、先にサキュバを連れて、次行く予定の村へ向かってくれないか?」
「お前達はどうするんだ?」
「どうにか、説明、説得をした後…追いかける」
「頼んだ」
やっぱりこうなるのか?
◆◆◆
「ドルマン、これはどういう事なの? 彼女は一体誰なのよ!」
「彼女が護衛対象なのか? どういうフォーメーションで行く?」
「何処に向かえば良いのかな?」
「あ~、それについてはリヒトが説明するからな、それじゃサキュバさん行こうか?」
「はい…これから、宜しくお願いします!」
「それじゃ、後は頼むわ!」
そう言うとドルマンは手を振りながら行ってしまった。
「リヒト、どういう事なの?」
「どう見ても、護衛じゃないよね?」
「どういう事なのかな?」
仕方が無い…話すしかないな。
「解ったよ! 説明するけど…そうだな!まずはセシリア…それから全員、そういう順番で話すよ!」
「なんで、セシリアだけ、最初1人な訳?」
「最初から、全員一緒じゃ不味いの?」
「悪い、前にセシリアに話した事があって、その事を補足してから話した方が早い! だから、エルザとイザベルは少し待ってくれ!」
「そう言う事なら構わないよ」
「後で話してくれるなら良いけど…」
結局、尻ぬぐいも俺か…
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