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第3話 善意でやっていた仕事を返しただけだ
しおりを挟む「リヒト、俺達の飯が無いんだが?」
「ご飯が用意されてないわ」
「ご飯、ご飯、ご飯…」
「これからなの?遅いよ」
此奴らは馬鹿なのか?
「用意してねーよ! 俺は外で食ってきた!自分達で用意するなり、食いに行くしか無いんじゃ無いか?」
「飯は何時もお前が作っていただろうが!」
「確かにそうだが? 用意して欲しいなら明日からは用意するよ? だけど3か月後には俺は居なくなるんだぜ! これからは自分でやる必要があるんじゃないか?ドルマンは兎も角3人はドルマンの妻になるんだろう?料理、洗濯、掃除位覚える必要があるだろう?違うか!」
「確かにリヒトの言う通りだな…今日は飯を食いに行くとして、悪いが3人が交代で家事にあたってくれ」
「え~、私が家事やるの?」
「なんでさぁ」
「リヒトがやってくれるんじゃないの?」
馬鹿か此奴ら…やるわけないじゃん!
「あのな、3か月の時間をドルマンに貰って考えたのは3人に自立して貰う事だ、これからは宿も出来るだけ別にするから頑張れよ…あとこれな!」
「この書類はなんだ?」
俺は収納袋から書類を出した。
「ドルマン、何もしないで国や教会から金が出る訳ないだろう?行動予定に成果証明、他必要予算の書類に経費書等などだ、特に行動予定については、しっかりと書かないと予算を削られるから生活が苦しくなるから注意が必要だ!」
「これもやらないといけないのか?」
この位当たり前なのも解らないのな…
「今迄は俺が書いて、皆にサインして貰っていただろう? だが、俺も3か月で居なくなるんだ、今から慣れて行かないと3か月なんてすぐだぜ! これだけじゃないぞ! 旅に必要な買い出し、泊る場所の確保、武器や防具の手入れは最低限必要だぞ…」
「ああっ、そうだな、それじゃ悪いがイザベル、悪いが書類は頼んだ」
「なんで私が、ズルく無い! ちょっと書類見せて…なにこれ凄く大変そうじゃない…これ、やるなら他の仕事は免除して欲しい」
「リヒトは1人で全部こなしていたじゃないか?」
「だったら、他の誰かがこれやって、私も他の仕事が良い!」
「仕方ないイザベル、それをやってくれ」
「…解ったよ」
「それじゃ、俺は隣の宿屋に移るから、なにか解らない事があったら呼んでくれ!あと、朝食が終わったら、誰か1人、俺の宿屋まで寄越してくれ!」
「まだ、何かあるのか!」
「買い出しと冒険者ギルドでの手続き方法について教えるから」
「そんなのもあるのか?」
「当たり前じゃないか?今回の買い出しが終わったら、預かっているパーティのお金も返すからな、その確認も頼むよ」
「ああっ、解った、もう無いよな?」
「いや、まだあるかも知れないが、取り敢えずはこんな物だ」
「そうか」
これは別に意趣返しでも何でも無い。
本来、ドルマンたちがやらなくちゃいけない仕事を『俺が善意でやっていただけだ』それを返しただけだよ。
普通の事だよな?
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