『異世界は貧乳が正義でした』~だから幼馴染の勇者に追放されても問題がない~ざまぁ? しませんよ!マジで!

石のやっさん

文字の大きさ
上 下
59 / 85

第59話 【閑話】 勇者去る

しおりを挟む



「勇者ガイア、聖剣を速やかに返還し、此処を立ち去って貰います…今後は教会からの支援は無い…そう思い下さい!」

「いきなり、どういう事だ!」

様子が可笑しい。

まさか、マリアンとリラの奴、本当に教会に届けに行ったのか?

ただの脅しだと思い追いかけなかったが、あいつ等そこ迄馬鹿なのか。

「先程、聖女様と賢者様から『何があっても魔王討伐には参加しない』そういう報告がありました! その決意は固く、お二人とも聖杖を返却して去って行きました。三職のうち二職が討伐に不参加。これで魔王討伐は実質終わった事になります」

「だが、俺はまだ勇者を辞める気は無い!」

「もう無理ですよ…5人居た貴方のパーティに残った存在はガイア貴方1人だ! 聖女様も賢者様も、その足で冒険者ギルドへ解散届けも出しに行かれました…もう終わりですよ! 勇者ガイア…お疲れ様でした」

あいつ等が『魔王の討伐はしない』そう言った時にもう終わりが近い…確かにそう思ったが、まさか、全てが終わるとまでは思っていなかった。

パーティが無くなっても、義務さえ果たしていれば肩身は狭いが『勇者』としての扱いはされると思っていたが…違うのか?

「俺は勇者じゃ無くなる…そう言う事か?」

「いえ、四職のジョブがあるのですから、勇者、聖女、賢者、剣聖である事は変わりません…世間では勇者ですよ。ですが、教会や国が一切の支援をしない…それだけでございます」

「それじゃ…俺は此処を出ないといけないのか?」

「世間はどう言うか解りませんが『魔王と戦う勇気ある者』それが教会や国の望む勇者です!それゆえの特権です!魔王と戦う資格が無い者に支援が無くなるのは仕方が無いでしょう」

「ですが…俺は」

「諦めなさい…ですが、それでも貴方は『最強のジョブ勇者』を持っているだけで貴方は幸せです…さぁ立ち去りなさい」

どうやら、俺は…本当に全てを失ってしまったようだ。

「解ったよ!ほら、聖剣だ! だが覚えておけよ! 俺は他の奴らと違う…『勇者として戦う』と言ったのにお前らが俺を捨てたんだ! もう俺は目の前で誰かが死に掛けていても救うことは無い…覚えて置け…じゃぁな!」

どいつもこいつも…もう良い。

全部無くそうが、俺には最強のジョブ『勇者』がある。

冒険者としてのランクもS級だ。

これからは人なんか救わない。

この力の全てを自分の野望の為に使ってやる。

◆◆◆

最後に俺はリヒトの様子だけ見に行く事にした。

彼奴が狂ってしまった…そう噂を俺は聞いたからだ。

だが、マリアンとリラは彼奴が好きだった。

もしかしたら、幸せになっているかも知れない。

もし、そうなら、俺は彼奴を許さない…

俺から全てを奪った彼奴を…

彼奴を隠れてみた瞬間…背筋が凍った。

『化け乳だらけだ』

エルザはもう周りを気にしないで、あの吐き気がする醜い塊をリヒトに押し付けている。

そして、彼奴が最初に買ったであろう奴隷は更に醜い乳を持っていた。

その醜さは服の上からでも解る。

「うぷっ」

しかも…他に居る二人も化け乳だ。

真面な方でも…エルザ以上に気持ち悪い。

「うぷっうごばっ」

そして最後に見た彼奴の仲間は…これ以上の化け物は居ない位、気持ち悪かった。

「うごばっううううっげぇぇぇぇぇぇぇー―――――っ、うぷっ!ハァハァうぷっおげげげげー―――――っ」


良く回りの男は吐かないもんだ。

あれと、ヤル位なら…縛り上げたゴブリンやオークとした方がましだ。

『俺はリヒトをあそこ迄壊してしまったのか!』

化け物を愛す程に…俺は。

『したな』

良く考えたら、彼奴には親が居ない。

だから、俺を含み幼馴染だけが『世界の全て』だったのかも知れない。

俺はそこから彼奴を追い出した。

その結果が…これなのか?

今の狂ったリヒトはきっとマリアンもリラも受け入れないだろう。

あそこに居る女が『この世で一番醜い女だ』そう言われても信じる位酷いな。

何故…俺はリヒトを恨もうとしたんだ?

本当なら恨まれるのは俺だ…

『悪かったな』

お前には心で詫びるよ。

もう二度と会うことは無いだろう…

だが『本当にゴメンな』

俺はリヒトに心で詫びながら、この街を後にする事を決めた。




しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

処理中です...