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第6話 彼女は飢えていた。
しおりを挟む俺がとっている宿についた。
一瞬、此処でも嫌な顔をされたが俺が睨んでいると何時もと同じ対応になった。
貧乳聖女!一体どれだけ巨乳を嫌っていたんだ。
今度詳しく調べて見るか?
大体俺は元勇者パーティでS級冒険者でそれなりに有名人だ。
その俺が横に居ながらトラブルが起きる。
逆に一周して『凄いな』と言いたくなる。
部屋に入り弁当を収納袋から取り出し差し出した。
「あの…これは、どういう意味…なの…」
「君の分だよ! 色々と話をしたいけど、まずはお腹が空いているだろう? 飯を食ってからだ」
「これ…本当に私が食べて良いの」
「どうぞ!」
「いただきます…」
そういうとすぐに彼女は、凄い勢いで食べ始めた。
「誰もとらないから、スプーン位使えば?」
「あっ、ごめんなさい…」
いきなり犬食いプラス手掴みで食べ始めた時は驚いたぞ。
しかも椅子に座らず、地面に置いてだ。
地面で食べているのは奴隷によってそういう扱いを受けていたかも知れないから今は放って置こう。
しかし、凄く悩ましい格好だな。
床に座って屈みこんで食べているからメロン並みの大きさの胸が服の隙間から見えている。
体型だけでなく顔も凄く可愛くて綺麗だ。
これだけ可愛ければ、前髪ぱっつんでロングヘア―でも似合いそうだし、逆にショートでもいけるような気がする。
100年に1人とか、1000人に1人、なんて名称を持つグラビアアイドルも居たけど、それ以上。
いや体型を抜いて顔だけ勝負ならアイドルの中でも『童顔美少女』のジャンルで上位に入れる。
その位綺麗だ。
それが巨乳というだけでキワモノ扱い。
意味が解らない。
幼馴染の三人も顔は美少女だったが、比べ物にならない。
クラスの可愛い子VS芸能人レベルの差がある。
しかし、パクパクガツガツと凄い勢いで食べるな。
「うんぐっゲホゲホッ…もぐもぐ」
喉を詰まらせても食べている。
仕方ないな。
「ほら、喉を詰まらせたら危ないから、水もしっかり飲んだ方が良いぞ」
「うん…ゴクッゴクッぷはぁ」
水を飲んだら、すぐに食べ始めた。
しかし、凄い世界だな。
体型がこの世界では不人気だとしても、顔がこれだけ綺麗なら需要はありそうなのに…駄目なのか。
胸がでかくて背が少し高い…それで終わりなんだな。
これじゃ『貧乳聖女』じゃなくて『貧乳悪魔』の呪いみたいじゃないか?
最も、呪いなら解けば良いが、これは『貧乳聖女』の功績に対し国が認め、価値観が変わり、凄く馬鹿らしいが世の中が変わった。
だから、もうこの世界は『こういう世界』そう納得するしかない。
別に俺はガイアみたいなハーレムが欲しいなんて欲は無いから1人傍に居る存在が出来ただけで『半分どうでも良い』
もし、この1人が『世の中』に居なかったら…絶望して教会と国に喧嘩を売ったかもしれないけどな。
どうやら食べ終わったみたいだが、なんとなくまだ物足りなさそうだ。
「もう一個食べるか?」
「いいんですか…」
「ああっ、どうぞ」
まぁ良いや。
後でまた買って来れば良い。
俺は自分の分の弁当を彼女に差し出した。
しかし、お腹が空いた処じゃ無く飢えていたんだな。
勢い止まらずにまた食べ始めたよ。
食事が終わるまで、話は出来ないな。
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