友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん

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セレスは改造人間?

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ふぅ~ようやく帰ってきた。

ドラムキングとの戦いの後、すぐに帰るつもりが、色々とゴタゴタしてこんなに掛かってしまった。

本音で言えば、もうかなりお金も溜まっている。

皆んなで遊んで暮らせるお金がある。

『働きたくない』それが本音だ。

美しい妻たちに囲まれて、少し贅沢しながら生活しても一生困らないお金。

前世なら、もうリタイヤして暮らせる環境なんだ。

だけど…何故か勇者になってしまったから戦いから逃げられない。

なんだか、リヒト達の気持ちが解かった気がした。

まぁ2か月位したら、また魔王軍との戦いに出なくちゃならないが…

今は帰って来られた喜びを噛みしめよう。

ようやく『宝石姉妹』にも会えるし、一休み出来る。

手紙を送ったから、待っていてくれるよな?

屋敷の前を見ると、マリが1人でたっていた。

えーと、なんでマリ1人なんだ。

「えーと、なんでマリちゃん1人なんだ?」

「皆は、寝てるだけだから、安心して、大丈夫!」

まだ昼前なんだけどな可笑しく無いか?

まぁ起きるまで待てばいいだろう。

「セレス、凄く心配したんだよ!」

マリが俺の胸に飛び込んできた。

確かに通信が途絶えて、すぐに手紙を送ったとはいえタイムラグがあるから..心配かけたよな。

小柄のマリから良い匂いがしてきて、そのまま抱きしめようとしたが…

『プスッ』

何が起きたんだ、腕に痛みを感じると、俺は意識が遠くなっていった。

最後に目にしたのは注射器を手に持ったマリの姿だった。

誰か私に何が起きたのか教えて下さい…それだけが…

なんて思わない。

だけど、本当に一体なにが起きたんだ。


◆◆◆

『セレスは改造人間である』

そんな感じのベッドに寝かされて縛り付けられている。

まぁ前世で言うなら手術台だ。

「流石セレス、ドラゴンですら眠らせる薬を100倍濃くしたのにもう起きるなんて」

「マリちゃん、これ何?」

「セレスが居ない間に改造したの、結構カッコ良いでしょう?」

悪の組織の秘密基地に見えてしまうのは俺だからか…

「マリちゃんは凄く心配しました。 いざと言う時の為の『ブレイブキラーマリちゃんスペシャル』これですらドラムキングに負けてしまうなんて…ショックでした」

「あの、相手は四天王ですよ? 寧ろよくやったと…」

「負けは負け、しかもドラムキングなんて四天王最弱…これが他の三人だったら死んでいたんだですよ! 反省して下さい」

マリが怖い。

だけど、心配させたのは本当だし、マリが居なかったら死んでいた。

素直に謝るしかない。

「ごめん」

「解ってくれたらいいよ、それでねセレス、もう負けない様にもっと強くしてあげる!」

そう言うと真理は凄くグロテスクな虫を持ってきた。

「マリちゃん、その肉腫みたいな何かの幼虫みたいな気持ち悪い虫なに」

「こっちの虫がね..マリちゃんの細胞から作った『寄生生物 賢者マリちゃん』 前の時には作れなかったし、ヒントも浮かばなかったんだけどね。なぜか、最近『マリちゃんって賢者の血をひいているよね?』そんな事が浮かび上がったの…そして頑張ったらつくれたの…そしてもう一つの虫が『剣聖くん』マリちゃん的には『勇者くん』だけで良いかなって思って兼ねさせていたの..だけど今回の事で懲りたから..勇者くんの補助役としてつける事にしたの」

「それどうする気なんだ? 凄く嫌な気がするんだが」

「勿論、セレスに寄生させるよ! これでマリちゃん比、元のセレスから考えて13倍位強くなるから安心、安心」

「止めろ~止めてくれ」

俺は叫んだ..しかもこの拘束具、解けない。

「無理だよ、その拘束ベッドは超合金Mなんだからぁ~ブレイブキラーの外骨格の余りから作ったんだからね…それに今更だと思うな~既にセレスには2匹既に寄生しているんだから2匹加わっても一緒、一緒」

そういうとマリは笑顔で俺の体の上に虫を置いた。

「うぐぐっ痛…くない」

虫は俺の体を食い破ると体の中に潜り込んだ。

虫が潜り込むと俺の体の傷がそのまま口を閉じた。

「あれれっ可笑しいな~ 幾ら何でもこんな一瞬で傷が閉じる訳ないんだけど~セレス、何か知らなかなぁ~」

俺の体にあんな寄生虫が居るなんて。

あれじゃエイリアンの方がまだマシに見える。

「セレスってば」

「何、マリちゃん?」

「だーかーらー、何か変な事してないかって聞いているの」

変な事…あっあれだ..

「竜王の肝を貰って食べた」

「そういう事はちゃんと言ってよ..もうそれじゃついでに検査もするよ」

そう言うとマリは俺の血液をとったり、細胞を取りながら色々調べていた。

「成程、成程、古代竜の肝を食べると筋肉と血液が変わるのね…あれれ可笑しいな、骨まで変わっている…マリちゃんの考えだと骨はこんな事じゃ変わらないんだけどな…しかもこの骨」

「マリちゃん…もう止めて」

痛くは無いけど高周波メスで斬られる感覚は気持ち悪い。

「嘘、この骨、なんで? 高周波メスで斬れない…まさか..」

「マリちゃん、聞いている」

「聖剣で使われる謎の金属だぁ~ 全部変わっているの? 凄い、凄いわ…はぁ素晴らしいよ」

「マリちゃんーーーーっ」

「あはははっごめん、凄くセレスが立派だからついね..ごめんもう終わるよ」

ようやく俺はマリの改造手術から解放された。

◆◆◆

俺はマリにジョブについて聞いてみた。

「うーん、それは科学者の分野じゃ無いから解らない」

とうとう、マリは機工師じゃなくて科学者と言いだした。

俺からしたら(とんでも)科学者だが、そこは突っ込まないでおこう。

「だけど、私なりの推測で良ければ答えるよ! 科学とは起きた現象を当てはめる学問でもあるからね」

「是非教えて下さい」

思わず、敬語になってしまったじゃないか。

「えーとね、今回マリちゃんが、作り出したのは虫位の大きさだけど純粋な『勇者』『聖女』『剣聖』『賢者』なのよ! 果たしてセレスの友人のリヒトさんの中の勇者の細胞とかどの位なのかな?」

マリがいう事にはスキルが入り込む細胞があるのでは無いかと言う事だった。

「細胞?」

「そう」

なんでも、俺の仲には4つの生命が宿っている。

それが『勇者くん』『マリアちゃん』『剣聖くん』『マリちゃん』まぁ四職をそのまま再現した寄生生物(寄生虫)らしい。
つまり、俺の仲には小さな四職が虫として住み着いている状態らしい。

あくまでマリが作った疑似生物な訳なんだが..

「だけど、もしねジョブに意思があって『よりそれらしい存在に宿る』としたらね、体の一部の細胞に勇者のスキルが入り込むリヒトさんより、小さいけど、ほぼすべての細胞が勇者細胞の寄生虫たちの方がより素晴らしい存在に感じたのかも知れない」

そんな事があるのだろうか?

まぁこれはマリがそう考えたというだけで真実は解らない。

「そんな事が本当に起きるのか」

「解らないよ、あくまでマリちゃんはそう思ったそれだけだよ…だけどね、あながち間違っていないと思うの、だってセレスの骨にね、聖剣とか聖杖の金属が混ざっていたから、案外、体の中の『勇者くん』と『マリアちゃん』がそれらを手にして、セレスが死なれると困るから組み込んだのかもしれない…」

「それって」

「簡単に言うと、セレスの体の中には寄生虫状態の四職が住み着いていて、それが常時セレスを守っている状態、そして骨格は聖剣と聖杖の能力を取り込み強固になった状態…そこにブレイブキラーが加わったなら…これなら流石のマリちゃんも安心だよ」

自分で言うのも何だが…今の俺は確実に強いと思う。

もし、今の俺の力が魔王に通じないなら、人類に対抗手段は無いな。

「マリ、一体何をしているんだ?」

「うん? ブレイブキラーの設計図を燃やしたの、私も忘れるからもう作れないよ…まぁ更にセレスの場合は運が加わって凄い事になってるけどね…私はもう満足、ご先祖様が残した最強のブレイブキラーが作れたんだから」

「それで良いのか?」

「良いの、今のセレスならもう、マリちゃんも安心だからこれで良い…これからは普通の機工師とセレスの奥さんとして頑張るよ」

「そうだな、マリがそう言うなら良い。 それでマリのご先祖様って何者なんだ」

「うん? 私も解らない、何でも凄く遠くから来て、不思議な物を沢山作ったみたい」

多分、転移者でチート持ちだった…そんな事か。

「そうなんだ」

「そうなの、残された本には沢山の道具が書いてあったけど、その殆どが誰もが作れなくて、後に『嘘つき呼ばわり』されたの…私はね、その本に書かかれた物を作って『ご先祖様は嘘つきじゃない』そう信じたかったのよ」

掃除ロボットに洗濯機…どれも俺は見たことがある。

ただ、それは前世で見た物。

此の世界には存在しない。

「多分、マリが作る様な物を作る人が沢山居て『魔法なんて必要ない』そんな世界が遙か遠くにあるんじゃないか?」

「セレスは信じてくれるの?」

「ああっ俺はブレイブキラーを貰ったし、実際に不思議な道具を見たからな…マリが作る道具を一からマリが考えたなら…天才どころじゃないからな」

こんな所で良い。

俺の前世の世界は『実在する事も』『何処にあるのか』も証明できないからな。

「セレス…」

「どうした?」

「真剣に話してくれて嬉しいな…マリって呼ばれるのはセレスなら嫌じゃ無いけど…やっぱり『マリちゃん』って呼んでくれた方が嬉しいよ」

「ああっ解ったよ」

やっぱり、そこはぶれないのな。


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