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牢屋で目覚めて
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ぴちゃーん。
ぴちゃーん。
水が滴る音がする…
此処は何処だ。
「ようやく目を覚まされましたな、魔族の手先め!」
此処は多分、王国の城の地下だ。
その証拠に騎士が王国の近衛騎士の物を纏っている。
「貴方が誰かは解らない、だが何故俺が地下牢に閉じ込められているんだ」
「ふん、白々しいお前は勇者と共に戦っていた英雄だと思っていたら、魔族だったのだな、あの様な醜い姿、魔族以外にありえんわ」
そうか、ブレーブキラーのあの姿か。
俺は前世で特撮ヒーローを知っているから、カッコ良く見えるが知らなければ、確かに蜂の化け物だ。
だが、こんな横暴は無い。
少なくとも四天王を退けたんだぞ俺は。
「俺は四天王を退けた、しかも今迄だって勇者リヒトと共に魔族と戦っていた、その俺が魔族だとふざけるな!」
「なら、あの醜い姿はなんだ」
「あれは鎧だ」
「あんな生き物みたいな気持ち悪い鎧があるか! 鎧とは我々が着ているような物を言うんだ、しかも鎧は消えたでは無いか? あの姿こそがお前の姿であろう」
確かに消えている。
理論はどんな物か解らない。
だが、あの鎧に高周波ブレードはどういう原理か俺の体の中にある。
恐らく『キラー発動』それを口にすればブレーブキラーに俺は何時でもなれるのだろう。
「そうか、お前は『今迄魔族と戦ってきた俺を魔族の手先』と言うんだな、お前のその言葉次第で俺は人類の敵に回るかも知れないぞ? なぁよく考えろ! ドラムキングと互角に戦った俺をこんな檻で防げると?」
「貴様、俺を脅すのか?」
俺は軽く檻を蹴飛ばした。
その瞬間檻が大きな音を立てて壊れた。
「脅しじゃねーよ! お前俺を舐めているの? お前等騎士が勝てないから、俺が戦ったんじゃねーのか! この城の騎士全部で掛かって来ても皆殺しにして王の首をとる。俺はそれが出来るんだぞ…さぁ話そうか? 俺はお前達の敵なのか? お前の言葉一つで王が死ぬかも知れない、さぁ言ってみろ?」
「私は、只の騎士です、そんな責任は持てない」
「そうか、だったら今なら『取り消し』を認めるぞ、謝罪をして取り消せ」
「それは」
「あのさぁ、俺はもう檻の外だ、俺が行動を起こした場合、真っ先に死ぬのはお前だよ、さぁどうする?」
「お許しください、セレス様」
「謝罪を受け入れた、それでは俺が魔族側の者だと言った人間の元へ連れていけ」
「はい」
騎士は青ざめている。
俺の言葉遣いは乱暴だが『これは此奴の為だ』
もし、俺の無罪が晴れてしまったら勇者支援法に則るなら此奴は死刑になる。
だからすぐに謝罪させた。
乱暴なのは…腹位立てても良いだろう?
命懸けで戦った結果が牢なのだからな。
◆◆◆
そのまま騎士の後についていった。
名前は敢えて聴かない。
その方が相手の為だからな。
「おい貴様、なんで罪人セレスを連れて歩いている」
「お前の方が此奴より位が上なのだな、言葉に気をつけろ、俺は『準勇者』だ、もし無罪だったら、お前は勇者支援法で裁かれる。 そしてこの法律についてはゼルド王でなく責任者は教皇様だ..お前の一言にこの国の運命は掛かっている、さぁ俺は罪人なのか? その言葉一つで『お前は家族郎党皆殺し、国王はかなり不味くなる、さぁどうする』
「撤回いたします」
「なら、俺を『罪人』として扱うようにした奴、いや面倒くさい、ゼルド王の元に連れて行け」
「それは出来ません」
本当に腹が立つ。
そうこうしているうちに騎士や衛兵が集まってきた。
「それなら良い、お前達が悪いんだ、俺はたった今からこの国に戦争を挑む『その責任は全てお前だ』」
「待ってください! 止めて下さい」
「俺が止められるかな? まぁ良いやまずは聴かせろ『罪人扱い』の俺はどうなるんだ?」
「それは..」
「言えよ、言わねば…」
「解りました、言います、その異端審問に掛けて黒だった場合は死刑です」
「あのさぁ、お前等手順間違ってないか? 異端審問で黒になってからじゃないのか?もし間違っていたら、俺を牢屋に入れる判断した人間全員が、下手したら首が飛ぶぞ? 解っているのか?」
騎士達の顔が青ざめる。
騎士である以上は勇者支援法について知らない筈が無い。
「だんまりか? まぁ戦争は止めてやる。こっちで良い、俺は他国の国王にしてこの国では『自由伯爵』それはどうなっている?こんな短期間で取り上げられて無いだろう? 言いたくない、俺は騎士を蔑ろにしたくない。戦場で一緒に戦う仲間だとも思っている…だから言わなかった。だが、こういう扱いをするなら、もういいや。 セレス伯爵の名で命令する。今直ぐ王にとりつげ」
「セレス伯爵様…解りました」
一番身分の高そうな騎士が動いた。
お互い頭に血が昇っていたのだろう。
俺の身分を忘れているぞ。
まぁ、俺すら『言葉で聞いた』だけだから今の今まで忘れていた。
◆◆◆
どの位、待っただろうか?
ようやく俺はゼルド国王の元に通された。
しかし、何だこれは、教皇ロマーニ六世にローアン枢機卿、それに聖騎士が沢山いる。
「どうしたと言うのだ!セレス殿? 其方には魔族の間者の疑いがあるから騎士に頼んで謹慎させた筈じゃ」
教皇様が居るから取り繕っているのか?
「疑いがあり謹慎ならまだ解る、だが俺は牢にぶち込まれて『罪人』と騎士から言われたのだが」
「それは余の間違いであった。直ぐに客室を用意するゆえ謹慎じゃ」
「ゼルド国王、貴方に『準勇者』の俺を監禁する権利はあるのか?」
「こざかしい、セレス、お前が魔族に変わったという報告を騎士から受けたのだ、しかも複数からな、だからこれから異端審問を行う、その結果しだいでは死刑だ。騎士が罪人扱いするのも仕方無かろう」
「待ちなさい、ゼルド王、貴方は疑わしいというだけで、勇者と共に戦っていた『元英雄』で準勇者のセレスを騎士が罪人扱いするのを許すのですか?」
「ですが、教皇ロマーニ様見た騎士の数は50名を超えるのですぞ、ほぼ確定でございます」
「ならば、もしセレス殿が無罪の場合は、その50名は死罪、解っておるのですね」
「枢機卿、解っておる、だが何代にも渡り仕えた騎士50名の発言決して嘘とは取れません」
俺は手を挙げた。
「セレス殿、何か言いたい事があるのかね」
教皇様から許しが出た。
「はい、私は四職で無いので、装備は自前です。勇者パーティは皆がミスリルを始め輝く装備ですが、私はそんな装備を用意できませんので『実を取っております』」
「それはどういう事なのでしよう?」
「ローアン様、私の将来を誓い合った者の1人が、私が死なない様にと用意してくれた装備が禍々しいのでございます」
「見せて頂いても?」
「はい」
俺は小さな声で『キラー発動』と唱えた。
すると外骨格の鎧に俺は身を包まれ、右手に高周波ブレードが現れた。
「やはり魔族ではないか…これで確定だ」
だが、俺はその状態で頭部だけ引っ込む様に念じた。
すると頭部がそのまま無くなった。
「違います、ゼルド王、これは鎧に御座います」
「その様に禍々しい鎧など知らぬ、しかもいきなり現れおったじゃないか?」
「これをどう思うローアン」
「確かに可笑しいですな、勇者様の装備なら聖なる力や何だかの力が宿り、不思議な力を持った物もありました。だがそれは勇者様以外では稀にしか御座いません」
「確かに勇者様の伝説で女神様から『虫の加護』を貰った少年勇者の剣は禍々しかったという話しを聞きましたが…セレス殿は勇者ではない、ならば可笑しい..」
「待って下さい、稀にはあるのでしょう」
「「…」」
「教皇様、ならば異端審問官の私が見れば済む事です。この『看破』のスキルを持つ私めミルダが見て見ましょう」
「そうですね、その様に頼みます」
「はい教皇様」
どうした、まさか俺は不味い事になっているのか?
俺を鑑定している『異端審問官』の様子が可笑しい。
青白くなり、急に怒り出した。
そのまま、ゼルド王の方に歩き出したぞ。
「お前~っ無礼者…無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者っ、死んでお詫びしろーっ」
杖でいきなりゼルド王を殴り始めた。
「貴様、王である余に何をするんだ、異端審問官とはいえぶはっ、誰か止めろ」
「「はっ」」
騎士が止めに入ろうとしたが止めない。
「今の私を止める者がいたら、その者は女神の名の元に地獄に落ちる、無礼者―――っ」
「ミルダ、何をしているんだ、相手は一国の国王だ、如何に其方でも問題だ」
「そうです、止めなさいミルダ」
「教皇様、枢機卿、この方に跪くのです」
「ミルダ、ちゃんと説明をしなさい」
「はぁ~解りました、教皇様、記録紙を下さい」
「記録紙は貴重品ですよ、枚数も」
「寄こしなさい、早くしないと後悔しますから」
「解りました、敬虔な貴方が言うのですから渡しましょう」
「セレス様、お許し下さい」
そう言うと目の前に記録紙を差し出した。
俺はその記録紙を触った。
記録紙には個人のデーターが印字される。
此の世界では凄く高価な物だ。
「教皇様、これでも私の行動は間違っているのでしょうか?」
「これは…ゼルド、貴方という人は良くも、良くも私に恥をかかせてくれましたね? 今迄生きてきてこれ程の屈辱は無い…聖騎士3名、セレス様を私に用意された客室にお連れしなさい、シスターも3人程つけて、最高のもてなしをするのですよ」
「「「はっ」」」
「後の事は私に任せて下さい、セレス様はただゆっくりとお寛ぎ下さい、全て終わらしてからお伝えしますから」
教皇が何故か優しく俺にいった。
理由は解らない、だが世界で一番の権力者がそう言うのだもう安心だ。
◆◆◆
「教皇様?何を言い出すのですか?」
「ローアンこれを見なさい」
「これはトリプル..『勇者』『聖人(聖女の男版)』『魔法戦士』これがセレス、いやセレス様なのですか?」
「私は今女神様に感謝しているのです『勇者リヒト』『聖女ソニア』が死んでもう5年間は『勇者様』に逢えない、そう思って心が痛かったのです。貴方も一緒にどれだけ女神に祈ったのか解りませんね」
「はい、我々にとっての勇者様や聖女様は女神様の代行者『この世で一番尊いお方』ですから」
「セレス殿は甲斐甲斐しく二人のお世話をなさっていました、時には二人の為にかなりの苦労も厭わないで、齢こそ若いがまるで親の様に接していました。いわば同志です。そのセレス様の善行がきっと女神様に届いたのです…本来は勇者様や聖女様が死んだら5年は現れない筈なのに、そのジョブがセレス様に現れたのですから。」
「はい、きっと教皇様の祈りが女神様に通じたのでしょう」
「いえ、私だけでなく同志の祈りが届き、最高の日になる筈でした『準勇者』それは見誤ったで許しても良い。ですが、我々が勇者様に会う輝かしい日を穢したのです。この男は、この国は『四天王を退けた勇者様』に冤罪を掛けて牢屋に放り込んだのです。許せますか?『勇者の凱旋』を潰した者を許せますか?」
「許せません、聖騎士達よ許せますか?」
全ての聖騎士が許せないと首を振った。
「ゼルド王、これを…」
「あっああああーーーーっ」
「セレス殿の冤罪は晴れた、しかも『準』等で無く、まごう事無き本物の『勇者』であった。まずは、冤罪を掛けた騎士50名の首を差し出せ、そして貴方にも相応の罪を償ってもらう」
「そうですな教皇様、良かったですね『異端審問官』もいますし、裁くのに丁度良いじゃないですか?」
「ローアン、そうですね、ミルダ頼みましたよ」
じたいを察した騎士達は誰も王の為に動けなかった。
ぴちゃーん。
水が滴る音がする…
此処は何処だ。
「ようやく目を覚まされましたな、魔族の手先め!」
此処は多分、王国の城の地下だ。
その証拠に騎士が王国の近衛騎士の物を纏っている。
「貴方が誰かは解らない、だが何故俺が地下牢に閉じ込められているんだ」
「ふん、白々しいお前は勇者と共に戦っていた英雄だと思っていたら、魔族だったのだな、あの様な醜い姿、魔族以外にありえんわ」
そうか、ブレーブキラーのあの姿か。
俺は前世で特撮ヒーローを知っているから、カッコ良く見えるが知らなければ、確かに蜂の化け物だ。
だが、こんな横暴は無い。
少なくとも四天王を退けたんだぞ俺は。
「俺は四天王を退けた、しかも今迄だって勇者リヒトと共に魔族と戦っていた、その俺が魔族だとふざけるな!」
「なら、あの醜い姿はなんだ」
「あれは鎧だ」
「あんな生き物みたいな気持ち悪い鎧があるか! 鎧とは我々が着ているような物を言うんだ、しかも鎧は消えたでは無いか? あの姿こそがお前の姿であろう」
確かに消えている。
理論はどんな物か解らない。
だが、あの鎧に高周波ブレードはどういう原理か俺の体の中にある。
恐らく『キラー発動』それを口にすればブレーブキラーに俺は何時でもなれるのだろう。
「そうか、お前は『今迄魔族と戦ってきた俺を魔族の手先』と言うんだな、お前のその言葉次第で俺は人類の敵に回るかも知れないぞ? なぁよく考えろ! ドラムキングと互角に戦った俺をこんな檻で防げると?」
「貴様、俺を脅すのか?」
俺は軽く檻を蹴飛ばした。
その瞬間檻が大きな音を立てて壊れた。
「脅しじゃねーよ! お前俺を舐めているの? お前等騎士が勝てないから、俺が戦ったんじゃねーのか! この城の騎士全部で掛かって来ても皆殺しにして王の首をとる。俺はそれが出来るんだぞ…さぁ話そうか? 俺はお前達の敵なのか? お前の言葉一つで王が死ぬかも知れない、さぁ言ってみろ?」
「私は、只の騎士です、そんな責任は持てない」
「そうか、だったら今なら『取り消し』を認めるぞ、謝罪をして取り消せ」
「それは」
「あのさぁ、俺はもう檻の外だ、俺が行動を起こした場合、真っ先に死ぬのはお前だよ、さぁどうする?」
「お許しください、セレス様」
「謝罪を受け入れた、それでは俺が魔族側の者だと言った人間の元へ連れていけ」
「はい」
騎士は青ざめている。
俺の言葉遣いは乱暴だが『これは此奴の為だ』
もし、俺の無罪が晴れてしまったら勇者支援法に則るなら此奴は死刑になる。
だからすぐに謝罪させた。
乱暴なのは…腹位立てても良いだろう?
命懸けで戦った結果が牢なのだからな。
◆◆◆
そのまま騎士の後についていった。
名前は敢えて聴かない。
その方が相手の為だからな。
「おい貴様、なんで罪人セレスを連れて歩いている」
「お前の方が此奴より位が上なのだな、言葉に気をつけろ、俺は『準勇者』だ、もし無罪だったら、お前は勇者支援法で裁かれる。 そしてこの法律についてはゼルド王でなく責任者は教皇様だ..お前の一言にこの国の運命は掛かっている、さぁ俺は罪人なのか? その言葉一つで『お前は家族郎党皆殺し、国王はかなり不味くなる、さぁどうする』
「撤回いたします」
「なら、俺を『罪人』として扱うようにした奴、いや面倒くさい、ゼルド王の元に連れて行け」
「それは出来ません」
本当に腹が立つ。
そうこうしているうちに騎士や衛兵が集まってきた。
「それなら良い、お前達が悪いんだ、俺はたった今からこの国に戦争を挑む『その責任は全てお前だ』」
「待ってください! 止めて下さい」
「俺が止められるかな? まぁ良いやまずは聴かせろ『罪人扱い』の俺はどうなるんだ?」
「それは..」
「言えよ、言わねば…」
「解りました、言います、その異端審問に掛けて黒だった場合は死刑です」
「あのさぁ、お前等手順間違ってないか? 異端審問で黒になってからじゃないのか?もし間違っていたら、俺を牢屋に入れる判断した人間全員が、下手したら首が飛ぶぞ? 解っているのか?」
騎士達の顔が青ざめる。
騎士である以上は勇者支援法について知らない筈が無い。
「だんまりか? まぁ戦争は止めてやる。こっちで良い、俺は他国の国王にしてこの国では『自由伯爵』それはどうなっている?こんな短期間で取り上げられて無いだろう? 言いたくない、俺は騎士を蔑ろにしたくない。戦場で一緒に戦う仲間だとも思っている…だから言わなかった。だが、こういう扱いをするなら、もういいや。 セレス伯爵の名で命令する。今直ぐ王にとりつげ」
「セレス伯爵様…解りました」
一番身分の高そうな騎士が動いた。
お互い頭に血が昇っていたのだろう。
俺の身分を忘れているぞ。
まぁ、俺すら『言葉で聞いた』だけだから今の今まで忘れていた。
◆◆◆
どの位、待っただろうか?
ようやく俺はゼルド国王の元に通された。
しかし、何だこれは、教皇ロマーニ六世にローアン枢機卿、それに聖騎士が沢山いる。
「どうしたと言うのだ!セレス殿? 其方には魔族の間者の疑いがあるから騎士に頼んで謹慎させた筈じゃ」
教皇様が居るから取り繕っているのか?
「疑いがあり謹慎ならまだ解る、だが俺は牢にぶち込まれて『罪人』と騎士から言われたのだが」
「それは余の間違いであった。直ぐに客室を用意するゆえ謹慎じゃ」
「ゼルド国王、貴方に『準勇者』の俺を監禁する権利はあるのか?」
「こざかしい、セレス、お前が魔族に変わったという報告を騎士から受けたのだ、しかも複数からな、だからこれから異端審問を行う、その結果しだいでは死刑だ。騎士が罪人扱いするのも仕方無かろう」
「待ちなさい、ゼルド王、貴方は疑わしいというだけで、勇者と共に戦っていた『元英雄』で準勇者のセレスを騎士が罪人扱いするのを許すのですか?」
「ですが、教皇ロマーニ様見た騎士の数は50名を超えるのですぞ、ほぼ確定でございます」
「ならば、もしセレス殿が無罪の場合は、その50名は死罪、解っておるのですね」
「枢機卿、解っておる、だが何代にも渡り仕えた騎士50名の発言決して嘘とは取れません」
俺は手を挙げた。
「セレス殿、何か言いたい事があるのかね」
教皇様から許しが出た。
「はい、私は四職で無いので、装備は自前です。勇者パーティは皆がミスリルを始め輝く装備ですが、私はそんな装備を用意できませんので『実を取っております』」
「それはどういう事なのでしよう?」
「ローアン様、私の将来を誓い合った者の1人が、私が死なない様にと用意してくれた装備が禍々しいのでございます」
「見せて頂いても?」
「はい」
俺は小さな声で『キラー発動』と唱えた。
すると外骨格の鎧に俺は身を包まれ、右手に高周波ブレードが現れた。
「やはり魔族ではないか…これで確定だ」
だが、俺はその状態で頭部だけ引っ込む様に念じた。
すると頭部がそのまま無くなった。
「違います、ゼルド王、これは鎧に御座います」
「その様に禍々しい鎧など知らぬ、しかもいきなり現れおったじゃないか?」
「これをどう思うローアン」
「確かに可笑しいですな、勇者様の装備なら聖なる力や何だかの力が宿り、不思議な力を持った物もありました。だがそれは勇者様以外では稀にしか御座いません」
「確かに勇者様の伝説で女神様から『虫の加護』を貰った少年勇者の剣は禍々しかったという話しを聞きましたが…セレス殿は勇者ではない、ならば可笑しい..」
「待って下さい、稀にはあるのでしょう」
「「…」」
「教皇様、ならば異端審問官の私が見れば済む事です。この『看破』のスキルを持つ私めミルダが見て見ましょう」
「そうですね、その様に頼みます」
「はい教皇様」
どうした、まさか俺は不味い事になっているのか?
俺を鑑定している『異端審問官』の様子が可笑しい。
青白くなり、急に怒り出した。
そのまま、ゼルド王の方に歩き出したぞ。
「お前~っ無礼者…無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者無礼者っ、死んでお詫びしろーっ」
杖でいきなりゼルド王を殴り始めた。
「貴様、王である余に何をするんだ、異端審問官とはいえぶはっ、誰か止めろ」
「「はっ」」
騎士が止めに入ろうとしたが止めない。
「今の私を止める者がいたら、その者は女神の名の元に地獄に落ちる、無礼者―――っ」
「ミルダ、何をしているんだ、相手は一国の国王だ、如何に其方でも問題だ」
「そうです、止めなさいミルダ」
「教皇様、枢機卿、この方に跪くのです」
「ミルダ、ちゃんと説明をしなさい」
「はぁ~解りました、教皇様、記録紙を下さい」
「記録紙は貴重品ですよ、枚数も」
「寄こしなさい、早くしないと後悔しますから」
「解りました、敬虔な貴方が言うのですから渡しましょう」
「セレス様、お許し下さい」
そう言うと目の前に記録紙を差し出した。
俺はその記録紙を触った。
記録紙には個人のデーターが印字される。
此の世界では凄く高価な物だ。
「教皇様、これでも私の行動は間違っているのでしょうか?」
「これは…ゼルド、貴方という人は良くも、良くも私に恥をかかせてくれましたね? 今迄生きてきてこれ程の屈辱は無い…聖騎士3名、セレス様を私に用意された客室にお連れしなさい、シスターも3人程つけて、最高のもてなしをするのですよ」
「「「はっ」」」
「後の事は私に任せて下さい、セレス様はただゆっくりとお寛ぎ下さい、全て終わらしてからお伝えしますから」
教皇が何故か優しく俺にいった。
理由は解らない、だが世界で一番の権力者がそう言うのだもう安心だ。
◆◆◆
「教皇様?何を言い出すのですか?」
「ローアンこれを見なさい」
「これはトリプル..『勇者』『聖人(聖女の男版)』『魔法戦士』これがセレス、いやセレス様なのですか?」
「私は今女神様に感謝しているのです『勇者リヒト』『聖女ソニア』が死んでもう5年間は『勇者様』に逢えない、そう思って心が痛かったのです。貴方も一緒にどれだけ女神に祈ったのか解りませんね」
「はい、我々にとっての勇者様や聖女様は女神様の代行者『この世で一番尊いお方』ですから」
「セレス殿は甲斐甲斐しく二人のお世話をなさっていました、時には二人の為にかなりの苦労も厭わないで、齢こそ若いがまるで親の様に接していました。いわば同志です。そのセレス様の善行がきっと女神様に届いたのです…本来は勇者様や聖女様が死んだら5年は現れない筈なのに、そのジョブがセレス様に現れたのですから。」
「はい、きっと教皇様の祈りが女神様に通じたのでしょう」
「いえ、私だけでなく同志の祈りが届き、最高の日になる筈でした『準勇者』それは見誤ったで許しても良い。ですが、我々が勇者様に会う輝かしい日を穢したのです。この男は、この国は『四天王を退けた勇者様』に冤罪を掛けて牢屋に放り込んだのです。許せますか?『勇者の凱旋』を潰した者を許せますか?」
「許せません、聖騎士達よ許せますか?」
全ての聖騎士が許せないと首を振った。
「ゼルド王、これを…」
「あっああああーーーーっ」
「セレス殿の冤罪は晴れた、しかも『準』等で無く、まごう事無き本物の『勇者』であった。まずは、冤罪を掛けた騎士50名の首を差し出せ、そして貴方にも相応の罪を償ってもらう」
「そうですな教皇様、良かったですね『異端審問官』もいますし、裁くのに丁度良いじゃないですか?」
「ローアン、そうですね、ミルダ頼みましたよ」
じたいを察した騎士達は誰も王の為に動けなかった。
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平民同然の男爵家嫡子にして魔道具職人のローランは、旅に不慣れな勇者と四人の聖女を支えるべく勇者パーティーに加入するが、いけ好かない勇者アレンに義妹である治癒の聖女は心を奪われ、恋人であり、魔術の聖女である幼馴染を寝取られてしまう。
その上、何の非もなくパーティーに貢献していたローランを追放するために、勇者たちによって役立たずで勇者の恋人を寝取る最低男の悪評を世間に流されてしまった。
地元以外の冒険者ギルドからの信頼を失い、怒りと失望、悲しみで頭の整理が追い付かず、抜け殻状態で帰郷した彼に更なる追い打ちとして、将来継ぐはずだった実家の道具屋が、爵位証明書と両親もろとも炎上。
失意のどん底に立たされたローランだったが、 両親の葬式の日に義妹と幼馴染が王都で呑気に勇者との結婚披露宴パレードなるものを開催していたと知って怒りが爆発。
「勇者パーティ―全員、俺に泣いて土下座するくらい成り上がってやる!!」
そんな決意を固めてから一年ちょっと。成人を迎えた日に希少な鉱物や植物が無限に湧き出る不思議な土地の権利書と、現在の魔道具製造技術を根底から覆す神秘の合成釜が父の遺産としてローランに継承されることとなる。
この二つを使って世界一の道具屋になってやると意気込むローラン。しかし、彼の自分自身も自覚していなかった能力と父の遺産は世界各地で目を付けられ、勇者に大国、魔王に女神と、ローランを引き込んだり排除したりする動きに巻き込まれる羽目に
これは世界一の道具屋を目指す青年が、爽快な生産チートで主に勇者とか聖女とかを嘲笑いながら邪魔する者を薙ぎ払い、栄光を掴む痛快な物語。
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