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逃がして貰えなかった。
しおりを挟む「この人が新しいメイドさん」
「まぁな、だがアイシャ、使用人扱いはしないでくれ、俺の小さい頃の母親代わりで『勇者の母親』だ」
「「「勇者の母親!」」」
「セレス、あんた、なんでこうも『厄介そうな人』を仲間にするの?」
「アイシャ、貴方も同じじゃない! お初にお目にかかります、私はマリアと申しますのよ、仲良くして下さいね」
「私はマリ、研究者をしているわ! 色々と宜しく、ぐふふふふっ」
マリの目が何となく怪しいけど気のせいだよな。
「セレス、これはどういう事なの?私に近い歳に見えるんだけど?」
うっ困ったな。
いつも何時もこの話しばかりだ、そうだ…丸投げしよう。
「あのさぁ、マリア申し訳無いけど、俺の恋愛観について、説明してくれないか?」
マリアは元王妃だから、人の話を聞くのがプロだ。
それに王に変わって色々指示を出していたから『多分大丈夫だ』
「そうですわね、確かに毎回セレスに話をさせるのは酷ですから、此処は正室になるであろう、私が話しますわ」
「ちょっと待って! ふざけないで! なんであんたが正室になるの? セレスと私が最初に出会ったのよ」
「アイシャじゃ、人は仕切れないんじゃなくて? だから今回も私に頼まれたんですのよ? 私はこれでも元王妃ですので、仕切りは得意なのですわ」
「はぁ~仕切りが出来ないとなんで正室になれないのよ!わけわかんない」
「ちょっと二人ともセレスが困っているよ! ちゃんと話そうよ」
ああっ、本当は一番可笑しなはずのマリが真面に見える。
美人同士の喧嘩は見ていて楽しいと思った事があるが、当事者は大変なんだな。
前世の、大学時代に『リア充死ね』とか『リア充爆発しろ』なんて言っていたけど、苦労はあるんだな。
今少しだけ解った。
「セレス、これは一体どういう事? オバサンによく解るように話してくれない」
マリベルさんが慌てだしている。
仕方なく俺は自分で話す事にした。
俺の話を聞くとマリベルさんは驚いていた。
まぁあとの三人はもう知っているから驚かない。
「えーと、セレスは何かい? 私みたいなオバサンが本当に好きってことなのかい?」
俺は前世で40年。転生して15年、一番年上のマリベルさんだって十分若い。
31歳の美女。
40歳のサラリーマンからしたら生唾物だと思う。
転生者、此の世界ではあまり聞かない。
マリの祖先は多分『転移者』の可能性が高いが、子孫のマリですらその事は言わない。
もしかしたら、案外知られていない可能性も高い。
だから…誤魔化す事にした。
リヒト、お前は親友だ。
女関係は最悪な奴だけど、親友だ…それは変わらない。
だが『女を片端から奪って独占した』それは事実だ。
偶には俺が『女関係で利用しても良いよな』
「まぁ、同世代の女の子は全員リヒトに夢中な子が多かったし…それに何故か俺を好きになる子がいると、リヒトが口説き落とすから、村では恋愛が出来なかったですからね」
まぁこれは事実だ。
「たしかに、そうだったね、私達、まぁオバサンに思われても仕方ないけど、私達からしたらセレ坊が一番人気だったんだけどね、まぁ若い子は本当に見る目が無いね、リヒトなんか本当に何処が良いんだか」
俺は『若い子』なんて興味無いから近所の主婦や未亡人のお手伝いを遊びそっちのけでしていたからな、人気はあるのかも知れない。
「リヒトのせいで周りに居るのはリヒトを好きな女の子ばかり、そして俺はリヒトにとっての親友だから、自然とリヒト+リヒトを好きな女の子(幼馴染含む)+俺で遊んでいましたから」
「まぁそれは見ていて解ったけどね、主人もリヒトも私のいう事なんて聞かないからすまなかったねぇ」
「いえ、謝る必要なんてないですよ! おかげで年上の女性の良さが良く解るようになりましたから」
そこから俺は年上の女性が如何に素晴らしいか語った。
若い女の子と違い包容力がある事。
優しさんに溢れ慈愛に満ちている事。
抱きしめられると凄く安心する事。
等、エトセトラ。
「やだねぇ、そんな事言われると照れちゃうね、そんな風に言われた事はないからね」
しかし、何故か三人は会話に加わって来ない。
何で、真剣に聞いているんだ?
「という訳で、嘘偽りなく『本当にマリベルさんを含んで全員好みなんです』、年上だけじゃなくて、全てが『好き』なんですよ!流石に恥ずかしいから俺はちょっと外に出てきます」
「ハァ~まさか5歳の時から、本当に私を好きだったなんてね~ごめんよ、流石に本気だとは取れなかったよ、オバサン」
「それじゃ」
俺は顔が真っ赤で恥ずかしさから体も熱いので、話を聞かずに出て行こうとしたが..
「待って下さいまし、今のはマリベルへの想いですわね? 私達への想いはどうなのか? しっかりと教えて貰えますわよね」
マリアに捕まり逃がして貰えなかった。
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