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勇者パーティSIDE 後悔
しおりを挟む俺は今凄く後悔をしている。
『俺の唯一の親友の心を壊してしまった』
そう、思ったからだ。
他の仲間も少なからず、同じような思いの様だ。
「僕がいけなかったのかな…だけど、どうすれば、よかったの?二番目に好きな男には何もしてあげられないのかな?」
「まだ、ケイトは良いわよ、私は、一応付き合っていたのよ、どうしたら良いの…セレスがババコンに走るなんて」
「もし、そうだとしても仕方ないんじゃない? 思いつめる必要は無いわ だけどまだ決まった訳じゃないわ」
俺は、彼奴から余りに女を奪い過ぎたのだろうか?
それでパーティの仲間に、あんな母親の様な歳の女を選んだのか?
俺は確かに凄く我儘だ。
彼奴を好きになる女は全員俺の物にしてしまった。
確かに俺の女好きが原因だが、もう一つ別の原因がある。
それは『親友』のセレスが他の人間を好きになるのが何となく嫌だったからだ。
酷い奴なのは解っている。
自分は友情より愛が優先の癖に、セレスの中に俺以上の存在が生まれるのが嫌だったのだ。
彼奴は、俺にとって唯一の親友だからな。
彼奴が俺と馬鹿やるより、他の女とのデートを優先するのが、何となく許せなかった。
だから、彼奴を好きそうになりそうな女は全員口説いた。
だが、それが失敗だったのだ。
幼馴染の三人、ケイト、ソニア、そしてリタ。
その中からリタだけはやはり、彼奴にくれてやるべきだったんだ。
いや、幼馴染を誰1人渡したく無いなら、他の女をやはり世話するべきだった。
『彼奴はそこそこモテる』だからこのパーティから抜けただけで、女が寄って来るだろう。
そう考えた俺が悪いのか?
俺が居るから、彼奴が霞んでしまう。
俺から離れれば、彼奴にもきっと恋人が出来る。
彼奴も15歳、流石に恋人も必要だろう。
本来、彼奴はこのパーティには必要な人間だ。
料理は上手いし、細かい事にも手が届く。
彼奴が居ないとケイトが料理を担当する事になるが、肉や魚に塩を振った物ばかり。
それでも『セレス以外では一番真面だ』
だが、このパーティに居たら俺は彼奴の恋愛を邪魔してしまう。
それは、ケイト、ソニア、リタも同じだ。
彼奴らにとっては『俺が一番』『セレスが二番』。
そこは『二番』に対しても、すこしは気持ちはあるのだろう。
彼奴らも『セレスの恋愛』の邪魔をしまくっていた。
だから、外に出したんだ。
これで、セレスは幸せになれる。
彼奴はこれから自由に恋愛できる。
そう、皆で思っていたのだぞ。
それなのに、なんだ!これは?
折角自由にしてやったのに…なんでパーティメンバ―がオバサンなんよ。
家のかーちゃんに近いじゃないか。
「なぁ、俺はやっぱり、セレスに酷い事をしていたのだろうか」
「仕方ないよ、僕もリタも、ソニアも体は、一つしかないのだから」
「だからって…これは酷いわ、私のお母さんは29歳よ26歳と27歳なんて殆ど私のお母さんと同い年だよ」
「リタ、私のお母さんだって33歳だわ、だけど、パーティだから『そういう男女関係』とは限らないわ」
「まぁ、彼奴には親がいなかったからな、まさか母親離れが出来ていなかった、そういう事か? ソニア」
「その方が自然じゃない」
「そう言えば、子供の頃、よくお手伝いをしていたのはセレスだったよね?僕も良く『セレスくんを見習いなさい』ってお母さんに言われたな」
「案外、若い子をパーティに入れたら『またリヒトに取られる』そう思ったからだったりするんじゃないかな」
「俺は、もうそういう事はしないつもりだ」
「だけど、セレスはそんな事知らないんだからね。うん、僕の感は『リヒト対策』の様な気がする」
「そうね」
「その可能性が高そう」
「まぁ良い、この先時間が取れたら、彼奴に会いに行く、一応は親パーティのリーダーだからな俺は、会いに行っても可笑しくない。まぁ相当先だがな」
「その時まで、セレスの気持ちは解らないよね?」
俺は、彼奴をもしかしたら歪めてしまったのではないだろうか?
そう思うと、気が気じゃ無かった。
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