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元聖女VS剣聖 ~そして競りへ~

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私はその顔を知っていた。

何故此処に居るのかしら!

勇者パーティブラックウイングの剣聖ケイトに聖女のソニアが居る。

これは不味い、私は『元聖女』、現役の聖女に敵う筈が無い。

「見逃して貰えないかしら?」

「う~ん、そうしたいのは山々なんだけどね、僕も仕事できているからね」

「無理ね、ブラックウイングへの正式依頼ですから、しかも私達の所属の国へ依頼ですから」

駄目ね、『魔王が存在する時の勇者パーティは凄く強い』

私の時とは違う、勝てる道理が無い。

「そう、降参するわ」

私は油断を誘い、逃走しようとした。

だが、門から少し離れた所で…

「残念、僕には敵わないよ」

そう言う剣聖ケイトの声が聞こえた途端に私は頭に激痛が走り、意識を手放した。


◆◆◆

此処は何処?

あの時、私はブラックウイングの二人と戦って..あれ、それならお城の地下牢に行くはずなのに。

私は檻に入った状態で馬車に積まれていた。

手には鎖が掛けられ、猿轡がされている。

無詠唱が使えれば、良いのだけど、私には使えない。

私はどうなるのかしら?

「気が付いたね」

「気が付いたわね」

剣聖ケイトに聖女ソニアが私を覗き込んでいる。

「猿轡をしているし、その鎖はミスリル合金だから脱出は出来ないよ、ただね僕なりに同情はしたんだ、だから君はあの国には渡さない」

「まぁ話せないんだから、聞くだけ聞いておきなさい。 私も聖女だし同情はする、だからねあの国に貴方を渡す事は止めたの、まぁ門から出たから『領地以外での捕獲』そういう扱いにしたわ、このまま3つ先の国の街アリアスの街で国が主催する奴隷市場が開催されるわ、そこの国営の奴隷商に引き渡す事にしたわ」

この人たちは何を言っているのかしら?

この上、私を何処まで侮辱すれば気がすむのかしら。

「…….」

「僕の国が関わる団体が、そこが一番近いんだから諦めてね、本来は『僕たちは魔王討伐の旅』の途中なのに『お金は幾ら掛かっても構わない』なんて依頼だったんだから仕方なく引き受けたけど、すぐに合流しなくちゃいけないんだ。 ちなみにルランス王国なら気にしなくて良いよ? 勇者パーティ2人の招聘に凄く貴重な転移石4個、多分国の財政が傾くと思うから」

勇者パーティを無理やり呼んで、転移石2人往復分、確かに小国なら傾くわね。


まぁ、あの国に引き渡さないだけ親切だわね。

「それでね、引き渡したら、私達は居なくなるわ、恐らく貴方は国家反逆罪の犯罪奴隷として競りにかけられるわよ。まぁ『元聖女』だから死刑は無いし、無期の鉱山送りも無い。
だけど、あくまで元だから、恐らくはそうなるわ。 まぁ面倒くさいから、私とケイトで略式裁判で勝手に決めたのよ。 まぁ私達が居なくなったら『勝手に逃げて頂戴』」

※勇者パーティメンバーの特権です。

だけど、これで本当に良いのかしら?

「変な顔しているね? 僕たちは『捕獲』ではなく『どうにかして欲しい』という依頼で受けたんだよ、君が居なくなれば解決、戦利品は僕達の物だよね」

確かに、勇者パーティの二人が居なければ逃げ出すのは難しくないかも知れませんわね。

「そうね、どうせ国家反逆罪の奴隷は誰も買わないから、そのまま本当なら処分だけど、元聖女だから、永久監禁とかになるかしらね、まぁ解らないけど、逃げるチャンスは沢山あるんじゃない…あっこれ独り言ね」

勇者パーティ、随分と優しいですわね。

◆◆◆

こうして私は奴隷商に引き渡され、虎視眈々と逃げるチャンスを狙っていたのですが…

気が付いたら『競り』に掛けられていました。

まぁ、誰も買わないでこのまま終わるのですわね。

その後、監禁される前位がチャンスですわね。

「さて、次の出品は犯罪奴隷マリアーーっ! その罪は国家反逆罪、金額は銀貨1枚から~」

元聖女、回復魔法の天才とか言わないのですわね…売る気が無い証拠ですわ。

こんな紹介で売れる訳は無いですわ。

よく考えたら主催は『勇者パーティ』の所属国。

元聖女の私が邪魔なのかも知れませんわ。

今回の事は『元』とはいえ聖女のイメージマイナスになるかも知れませんからね。

まぁ良いわ、どうせ逃げるのだから。

「銀貨1枚、誰かいませんか、銀貨1枚からーーっ」

まぁ国家反逆罪の犯罪奴隷、誰も買うなんてしませんわね。

「銀貨1枚!」

えっ、手が上がりましたわ。

大罪人なのに買う方が居ましたの?

随分と奇特な方ですわ。

どんな方なのでしょうか?

結構な美少年ですわね…はぁうちの糞息子と大違いですわね。

一体、あんな美少年が、なんで私を買うのでしょうか?

暫く様子見で買われて見るのも悪くないかも知れませんわ。





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